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僕の学校は厨二病 ~厨二病でも平穏に学生生活を送りたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第一章 大学生?

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173.「私も皆さんと一緒に遊……帰省しますので」

 信楽さんが(カラス)の行水じゃないかと思えるくらい素早くシャワーを浴びて戻ってきた時にはテーブルに朝食の用意が出来ていた。

 僕は食べ終わりかけだったけどあまりにも美味しいのでご飯のお代わりを頼んでしまった。

 3人で雑談しつつ食べる。

「信楽さんはいつ帰省する予定?」

「すぐにでもぉと言いたいですがぁ護衛の都合がぁあるのでぇ」

 そうか。

 信楽さんの場合、普通の17歳の女の子が実家に戻るという訳にはいかない。

 四六時中(プライベートでも)護衛がつくようになってしまっているんだよ。

 これは黒岩くんたちだけじゃなくて矢代興業グループ全体からの要望だ。

 特に経営層は信楽さん専任の護衛隊(シークレットサービス)を組織しそうな勢いで。

「大袈裟だと思うのですがぁ判って貰えないですぅ」

「無理もないよ。

 信楽さんって狙われそうだし」

 実際、ロンズデール御大には拉致されかけたしね。

 身内からも狙われているんだから怖い。

「静村さん辺りについて貰えたら無敵だろうけど」

「無理ですぅ。

 理由がないですぅ」

 それもそうか。

 同じ理由で渡辺さんや迫水くんも駄目だ。

 やっぱり矢代興業の警備部隊頼りになるんだよなあ。

「信楽殿は本当に安全上の不安があります」

 比和さんが教えてくれた。

「矢代興業の対諜報部門(カウンターインテリジェンス)が近い将来、信楽殿を狙う動きがあると報告しています。

 ご本人だけではなく、ご家族も」

 そうなの!

(まあ、近親者を人質にとって云々というのはよくある話だ。

 ミステリなんかでは)

 そうだよね。

 ラノベにも出てくる。

 でも現実(リアル)でそういう話を聞くとぞっとする。

「ご家族は大丈夫なの?」

 思わず聞いてしまったら信楽さん自身が応えてくれた。

「実はぁ、既に護衛がついてますぅ。

 もちろん非公式ですがぁ」

 そうなのか。

 それはそうか。

 信楽さん自身のご家族の問題だもんね。

 手を抜くはずがない。

「実はぁ今度の帰省でぇその辺の事情を話すつもりですぅ。

 出来ればぁ矢代興業のぉ関連会社にぃ転職をお願いしますぅ」

 うわっ。

 そこまで来てるのか。

 既に冗談の範囲を超えてるなあ。

 僕、そんなハードボイルドな生活は全然望んでないのに!

 そういえば。

「比和さんは?

 ご両親やお姉さんは危なくない?」

 聞いてみたら肩を竦められた。

「私はそれほどの重要人物ではないとの評価です。

 現場の責任者(エキスパート)なら代わりはいますから。

 それに」

 比和さんの穏やかな表情に一瞬何かが走った。

「私の身内に手を出される方には相応のお覚悟が必要かと」

 怖っ!

 それはそうだよ。

 比和さんって矢代興業の役員とか宝神の教授とか色々肩書きはあるけど、全部取っ払った芯は妖精(フェアリー)なんだよ。

 人間の常識が通じない部分がある。

 静村さん(神様)すら一目置く存在だ。

 霊的な防御とかそういう厨二病を抜きにしても戦闘メイドだし。

 まあ、比和さんが実際に戦っている姿を見たわけじゃないから本当の所は判らないけど。

「じゃあ比和さんのご一家は安全と」

「そこまでは言いませんが。

 普通の家庭レベルでは危険かもしれません。

 でもそれも人生なので」

 その辺の切り替えは凄いね。

 僕なんかと覚悟が違う。

 考えるのはよそう。

 僕には関係ない話だ……って。

 あれ?

「そういえば僕にも護衛がつくの?」

 聞いてしまった。

 だって僕、矢代興業の社長だし。

 宝神総合大学の理事長でもある。

 誘拐とかされるのでは。

「ダイチ様は大丈夫です」

 比和さんがとてもいい笑顔で言ってくれた。

「矢代社長はぁ安全ですぅ。

 少なくともぉ誘拐とかぁ危害をぉ加えられる心配はぁないですぅ」

 信楽さんがのほほんと言った。

 どうして、とか聞いちゃいけないんだろうな。

 そのくらいは僕にも判る。

 よし、この話題は切ろう。

「ならいいや。

 話を戻すけどみんないつ帰る?」

 そういう話をしていたはずだよね。

「私はダイチ様の護衛の任に着きます。

 ご帰省までは」

 比和さんが澄まして言った。

 ああ、そういうことか。

「私ぃも同じですぅ。

 そうすればぁ護衛もぉ一隊で済みますぅ」

 なるほどね。

 つまりこの二人はギリギリまで僕にくっついてくる気満々なわけだ。

 一緒に帰省するってことは、帰省するまでは一緒にいるわけだからね。

「ようし。

 じゃあみんなで遊び倒そうか」

「はいですぅ」

「それ、いいですね!

 大賛成です」

 二人から賛同が得られた所で静村さんがやっと起きてきた。

「お早うございます……」

「お早う」

「お早うですぅ」

「すぐに朝食になさいますか?」

 いつものやり取りの後、静村さんは川に洗濯に、じゃなくて風呂場にシャワーを浴びに行く。

 これで最後か。

 (エン)さんは魔王軍と一緒に末長本家に戻っているから不在だ。

 パティちゃんはハワイでご家族とバカンス中。

 シャワーを浴びて戻って来た静村さんは朝食を食べながら僕たちの話を聞いて即断した。

「私も皆さんと一緒に遊……帰省しますので」

 さいですか。

 それはそうと今は静村さんらしい。

 静姫様の意見は聞かなくて良いのかな。

 神様仲間との予定(スケジュール)とかあったりして。

「何もないです。

 私は自由(フリー)です」

 何かのアニメに毒されているんだろうか。

 そういえばあのアニメの主人公たちも水泳選手(スイマー)だったっけ。

 それから僕たちは予定表(スケジュール)作りに熱中した。

 年末までの遊びのプランね。

 クリスマスバーティの時と違って県外に行くわけじゃないから護衛はいらないということだった。

 具体的には遊ぶにしても全部この辺りでやる。

 出来れば宝神(うち)の敷地から出ないで。

 宝神(うち)って何重もの防護壁に囲まれた砦みたいなものだから内部にいる限りは安全だそうだ。

 またどっかに遊びに行く案もあったんだけど、僕たちの我が儘に矢代興業の人たちを動員するのは止めた方がという意見が多かった。

 それに遊びに行くのに護衛がゾロゾロついてきたら興醒めだ。

「護衛の皆さんも帰省するはずですぅ。

 邪魔しちゃ悪いですぅ」

 でも僕たちの帰省にはついてくるんだよね?

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