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僕の学校は厨二病 ~厨二病でも平穏に学生生活を送りたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第一章 大学生?

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165.「魔王軍も来るの?」

 忘れようとしていたんだけど駄目だった。

 僕、これから何か末長家家臣の会とかそういう集まりに出席させられるんだよ。

 しかも先方は僕が末長家に婿入りすると思い込んでいるらしくて。

 もちろんそんな馬鹿な話は有り得ないんだけど、悪戯好きな末長さんが否定してくれないもんだから事実として認識されかけているそうだ。

 僕がその場に参加すれば間違いだと証言してくれるそうで、完全に遊ばれている(泣)。

 しかし今気がついたけど比和さんと信楽さんも本当に来るの?

 関係ないのでは。

「とんでもございません。

 下手をするとダイチ様が強引に婿入りさせられてしまうかもしれないのですよ。

 最大級の危機でございます」

「そうですぅ。

 最悪のぉ結果を考えて動きますぅ」

 最悪の結果って何だろう。

 まあいいや。

 (エン)さんがもうすぐ着くというので僕たちはいったん解散した。

 みんな部屋着だから着替えないとね。

 部屋に戻って服を脱ぎながら考える。

 服装はフォーマルっぽい方がいいだろう。

 どうも地域の偉い人の集まりらしいし。

 でも背広だと本気で末長家にご挨拶に伺ったみたいに見えてしまいそうだ。

 ということはやっぱりカジュアル的な服装か。

 厚手の黒いスラックスに灰色のセーターという無難な格好に決める。

 これなら下品とか遊び人とかじゃなしにカジュアルっぽい格好になるし、それでいてどこかに伺うのに不適切という事もない。

 上にコートを着込めば防寒対策はばっちりだ。

 スマホと財布だけポケットに突っ込んで玄関に行くとまだ誰もいなかった。

 女の子たちの着替えだから時間がかかっているみたい。

 そういえば今この家にはもう一人住民がいたと思い出したけど静村さんは行方不明だ。

 スマホで聞いてみたら「私は遠慮します」と戻って来た。

 直接行くらしい。

 何を企んでいることやら。

 インターホンが鳴った後、すぐに玄関のドアが開いて(エン)さんが入って来た。

 インターホン鳴らす意味なくない?

「すみません。

 癖で」

 さいですか。

 (エン)さんはいつもの服装というか、タカラヅカの男役が非番の日に着るようなシンプルかつ地味に派手な服装だった。

 一言で言うと売れっ子ホストの私服?

 僕にはファッションの知識なんか皆無なのでよく判らないけど、とりあえずただ者じゃない感がビンビンくるよね。

「そういう服ってどこで売ってるの?」

 つい聞いてしまった。

「これですか?

 判りません。

 クローゼットの中にあった奴を適当に着ているだけで」

 何と。

 ご本人が知らないファッションなのか。

「服買ったりしないの?」

「しませんよ。

 いつの間にかクローゼットの中身が増えているんです。

 多分、誰かが買うか作るかしているんだと」

 関心ないみたい。

 確かに(エン)さんって魔王だとか言ってカッコつけている割にお洒落には無頓着だよね。

 服についてもコーディネイトには気を遣っているみたいだけど、服そのものにはあんまり拘ってないみたい。

 素材がタカラヅカの男役だから何着ても似合うんだよなあ。

 細身で頭が小さくて手足が長くて。

 残念ながら女性美というよりは中性美だけど。

 まあいいや。

 しばらく話しながら待っていると比和さんと信楽さんが降りてきた。

「お待たせして申し訳ございません!

 ダイチ様」

「ご免なさいですぅ」

「……いや、いいけど」

 反応が遅れてしまった。

 だって二人とも振り袖なんだよ!

 何その初詣みたいな格好?

 ていうか未成年なのに人前で着ていいの?

「いやあ!

 綺麗ですね!

 いいなあ。

 私、そういうの全然似合わないんですよ」

 (エン)さんは脳天気に感心してるけど、そうじゃないでしょう!

 二人とも何する気なの?

「どうですかぁ?

 似合いますぅ?」

 信楽さんがちょっとポーズをとった。

「似合ってるよ。

 二人とも」

 女の子が着替えたら即褒める。

 親父と母さんの教えが反射的に出てしまった。

「でも何で振り袖?

 初詣じゃないよね」

「それはもちろん。

 今の私に出来る最大限の戦闘装備ですので」

「攻撃力にぃ特化したぁ服ですぅ。

 負けられないですぅ」

 二人とも何か興奮してるみたいで頬が紅潮していた。

 何があったのか知らないけど確かに戦闘力が高そうな格好ではあるよね。

 比和さんの振り袖はクリスマスパーティの時のとはまた違って落ち着いた色調の上品なものだった。

 未成年の女の子が着たら浮いてしまいそうだけど比和さんはしっとりと着こなしていた。

 貫禄が違う。

 それに対して信楽さんの振り袖は華やかで、高校生の美少女がちょっと大人ぶって着てみましたぁというような若さ感溢れる着物というか。

 いや二人とも本当に綺麗なんだけどね。

 もともと美女と美少女だから何着ても似合うんだけど、これは反則だ。

「では行きましょうか」

 空気を読まない(エン)さんの先導で家を出る。

 いつの間に用意したのか比和さんと信楽さんは高下駄みたいなサンダル? だった。

 多分振り袖とセットになっているんだろうな。

 二人は振り袖の上にショールみたいなものを被っている。

 これも正式な装備らしい。

「こちらです」

 振り袖で軽トラはきついんじゃないかと心配していたら、門の前で待っていたのはまたしてもリムジンだった。

「レンタルですぅ」

 信楽さんが囁いてくる。

 別に聞いてませんけど(泣)。

「いつもの通り魔王軍に送迎を命じようとしたら信楽さんに断られました」

 (エン)さんが教えてくれた。

 つまり最初から信楽さんの手の平の上だったわけね。

「魔王軍も来るの?」

「あいつらはまだ身分的に参加出来ません。

 広末の豊は来ると思いますが」

 豊くんって広末家の嫡男だったっけ。

 つまりはそういう集まりなわけだ。

 凄いな。

 こないだ参加させられた広末家の宴会には広末家の家臣だか配下だかの人たちがたくさん来ていたっけ。

 とすれば広末家は足軽なんかじゃなくて、むしろ侍大将レベルの家臣なんだろう。

 末長さんが織田信長だとすれば広末家は柴田勝家とか明智光秀レベルの「家臣」ということで。

 末長家って僕が思っていたより大きな勢力なのかもね。

 まあいいけど。

「どうぞ!」

 (エン)さんがリムジンのドアを開けて差し招いているけど気取ったホストにしか見えないから止めて。

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