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僕の学校は厨二病 ~厨二病でも平穏に学生生活を送りたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第一章 大学生?

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144.「混乱しない?」

 静村さんが泳ぐところを初めて見たけど、凄いというよりは恐ろしい。

 何か人間じゃないみたいなんだよ。

 水面にほとんど水飛沫が立たないですうっと進んでいくんだもん。

 幽霊か何かかと思った。

 静村さんは顔を出したまま一呼吸で僕のそばに寄ってきた。

 マジで怖いよ!

「どうしたんですか?」

 本人は何も判ってないみたい。

「いや静村さんの泳ぎ方って、何か独特だよね」

「ああ、それですか。

 確かに見た人から幽霊だの水妖だのと言われてましたが」

 やっぱし。

 マジで人間が泳いでいる姿じゃなかった。

 かといって魚とかでもない。

 イルカや鯨とも違う。

 強いて言えば魚雷?

「あ、魚雷も言われましたね。

 どうやって進んでいるのか判らないと」

自由形(フリー)だよね?」

 念のために聞いてみた。

 でも静村さん、今腕を水面より上に上げてなかったような。

 泳ぎ方としては両手を身体にぴったりつけたバタ足?

「それですか」

 静村さんがきまり悪そうな表情になった。

「その件では谷副社長に怒られました。

 自由形(フリー)だからといって本当に自由に泳いじゃ駄目だと」

 クロールじゃなかった!

 幽霊とか魚雷とか言われる理由はそれだよ!

 何もしてないのに物凄い速さで進んでいくように見えるからだよ!

「どうやってるの?」

「どうと言われても。

 身体をこうくねらせて」

 いや全然判りません。

「蛇みたいに?」

「あ、近いかも。

 蛇って上手に泳ぎますよね。

 手も足もないのに」

 のほほんとしているけど、本当に大丈夫なの?

 怪奇蛇女とか呼ばれない?

(蛇じゃないだろう。

 あれは身体を大きく蛇行させて進むはずだ。

 この龍神様はほとんど身体を伸ばしたままだったぞ)

 無聊椰東湖(オッサン)に指摘されるまでもないよ!

 ただ僕は蛇ってことにしておいた方が丸く収まると思って。

 ああ、そうか。

「龍だね。

 ああいう風に雲を掻き分けて空を泳いだりするんじゃないかな」

「それです!

 凄いです矢代さん!

 私より上手く説明出来るなんて」

 いや、今のは誤魔化しだから。

 どう考えても蛇とか龍の動きじゃなかったよね。

「それでどうするの?

 今の泳ぎを競技会とかでやったら記録(タイム)以前に大騒ぎになりそうだけど」

 だって推進方法が判らないんだよ!

 いくら自由形(フリー)とか言っても見逃されるレベルじゃないと思う。

 すると静村さんはしゅんとなった。

「それも言われました。

 だから今、練習しているんです。

 クロールですか?

 腕を使った泳ぎって難しいですよね。

 速度も落ちるし」

 それはアンタだけでしょう!

 ていうか変じゃない?

 静村さんは日本で高校まで出たんだから当然日本人としての常識は人並にはあるはずだ。

 クロールをよく知らないなんて有り得ない。

「ひょっとして今、静姫様なの?」

 聞いてみたらいきなり表情が変わった。

「よく判ったな。

 私の演技は完璧なはずだが。

 すみません!

 静姫がどうしてもというもので」

 またこれかよ!

 疲れる。

(どうでもいいが注目されてるぞ)

 無聊椰東湖(オッサン)に言われて気がついた。

 僕と静村さん、プールの真ん中で至近距離で向かい合ってお互いを見つめながら話してるんだよ。

 端からだとラブシーンでも始まりそうに見えるかも。

「とりあえずプールを出よう」

「私はもうちょっと練習してから上がりますから。

 矢代殿はジャグジーにでも」

 相変わらず静村さんなのか静姫様なのか判らない口調で言われてしまった。

 しょうがない。

 僕は大人しくプールから出てジャグジーに向かった。

 ジェットが出てないので円形プールかと思ったけど人が入ったら噴射する仕組みらしい。

 センサーで確認しているんだろうな。

 四六時中動かしていたらお金がかかるとか。

 感心しながら吹きつけられる泡に身体を洗われていたら、ようやく動揺が収まってきた。

 何というか不意打ちされたもんで身体が硬直してたんだよね。

 怖かった。

 だって静村さんの異常性を初めて見てしまったんだよ。

 今までは神通力とは言っても間接的に環境に効いてくるようなものばかりで、偶然だと思えばそれで済むようなことばっかりだったし。

 雨が降らないとかカラオケの曲が見つかるとか。

 でも今回のはショックだった。

 あれは断じて人間の動きじゃないよ。

 まだぼんやりしたままジャグジーを出てサウナに入る。

 益々頭がぼやけてしまった。

 すぐに出て水風呂? に飛び込んで目を覚まし、プール脇のベンチで休んでいたら静村さんがやってきた。

「お待たせしました」

 すぐだったような気がしたけど結構時間がたっているような。

「どれくらい泳いでた?」

「30分くらいです。

 今日はクロールの練習というか姿勢や腕の振りの矯正だけなので」

 やっぱり腕を使うと疲れますね、と言いながら僕の隣に腰掛ける静村さん。

「今は静村さん?」

「はい。

 静姫は何か用事があるとかでどこかに行きました」

 さりげなくぶっばなしてくる静村さん。

「着脱自由なの?」

「そうですね。

 静姫にとって私、というかこの身体は依代ですので、必要な時に使うという感じみたいです。

 もちろん私が呼べばすぐに戻りますし、いない間の記憶もあるみたいなんですが」

 頭が痛くなってきた。

 それって完全に乗っ取られてない?

 エイリアンが上手いこと言って静村さんを支配しているようにしか聞こえないんですが。

「うーん。

 何と説明していいか。

 あのですね。

 静姫も私なんです。

 だから私にも静姫の記憶があります。

 もっとも離れている間は判らないんですけど」

 それから静村さんが色々と説明してくれたけど、僕は途方に暮れるばかりだった。

 静姫様には独立した人格がない。

 ただ感情はあるからほぼ人間と同じような行動を取るし、存在が静村さんの身体に限定されているわけでもないので気が向いたら離れて出歩くこともあるとか。

 その間は静村さんの身体には静村さんしかいなくなるけど、スマホみたいに呼びかけると一瞬で戻ってくるらしい。

「その時に静姫の記憶が流れ込んできます」

「混乱しない?」

「ええと、静姫の記憶って何というか本で読んだ情報みたいなんですよね。

 それも凄く難解で、私には意味が判らないし理解も出来ないことが大半で」

 もういいです(泣)。

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