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僕の学校は厨二病 ~厨二病でも平穏に学生生活を送りたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第一章 大学生?

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132.「ゲットーッ!」

 最後の二人は何と渡辺さんと迫水くんだった。

 静村さんが3人じゃんけんで勝って抜けたんだよね。

 なぜに神様がじゃんけんに弱い?

「よく判らないですぅ。

 ひょっとしたらぁ人間同士の駆け引きにぃ慣れてないからかもですぅ」

 信楽さんの分析は多分正しいんだろうな。

 神様(の依代)は人間同士の関係では弱者だったわけだ。

 ラノベのチート勇者がチートを抜いたら弱いみたいなものか。

 みんなが見守る前で渡辺さんと迫水くんが必死の形相で睨み合う。

「負けない!」

「それはこっちの台詞だ!」

 いやあの、もう二人しかいないんだし、勝ったとしてもあまり意味ないんだけど。

 でもそれからが凄かった。

 ある意味、二人とも本気を出したみたい。

 あいこを何十回も続けたりして。

 途中でみんな飽きて雑談を始めてしまったし、(エン)さんなんか居眠りしていた。

「お二人(柱)とも本気ですぅ。

 神通力の限りを尽くしてますぅ」

「まあ気持ちは判らんでもない。

 ほっといてやれ」

 信楽さんと静姫様が言うけど、これじゃいつまでたってもプレゼント交換が始まらないよ。

 しかも今は外部に影響はないみたいだけど、いつ暴走してホテルごと吹っ飛んだりしかねないし。

 僕は立ち上がって宣言した。

「二人ともいい加減にしてよ。

 次で決めて」

「しかし」

「この勝負は負けられんのだ」

 勝手な事を。

 まあ神様なんてそんなもんか。

「判った。

 だったらじゃんけん以外で勝負を決めさせて貰う。

 レディファーストで渡辺さんの勝ち!」

 静寂。

「おお、その手があったか」

 静姫様の感心した声が響くと渡辺さんが雄叫びを上げた。

「勝ったーっ!」

「負けた……こんなことで。

 男を選んだのが間違いか!」

 飛び上がって喜ぶ渡辺さんと崩れ落ちる迫水くん。

 どうでもいいけど大袈裟じゃない?

 ていうかいいの?

 僕のいい加減な介入をそのまま受け入れると?

「お見事ですぅ。

 一瞬でぇ勝負を決めましたぁ」

「心配するな。

 二人とも納得しとるよ」

 静姫様はそういうけど、過ぎてしまえば本当に二人ともけろっとしていた。

 まず渡辺さんが箱に手を突っ込んでくじを取り、そのまま箱を迫水くんに渡す。

 迫水くんもあっさり立ち直って最後のくじを取り出した。

 神様って判らん。

 だって二人とも、何か満足そうなんだよ。

「ダイチ様が決めたのですから」

 比和さんがニコニコしながら言ってくれた。

 もういい。

 どうせ厨二病の人たちの考えは判らないんだし。

 一同がソファーに戻った所で比和さんが宣言した。

「ではプレゼント交換を始めます。

 みなさん、お手元のくじをご確認下さい」

 やっとか。

 たかがプレゼント交換に何でこんなに手間をかけてるんだろう。

 ていうかそれが目的か。

 なるほど。

 「プレゼント交換」というイベント自体をプレゼントというか遊び(ギミック)にしちゃったわけね。

 さすが比和さん。

 いや信楽さん?

「やった!

 一番!」

 叫ぶ人がいたので見てみたら渡辺さんだった。

 何で?

「ああ、くそっ」

「力及ばず」

「フェアプレイが裏目に出たか」

「Heaven overlooked me..」

 何かみんなも変だ。

 ていうかパティちゃん、それほどのもん?

「私も残念です。

 ダイチ様。

 でも公正なくじの結果ですから受け入れます」

 比和さんが湿った声で言った。

 何なのよ!

 唖然としていたら渡辺さんがプレゼントの山に駆け寄って封筒をつまみ上げた。

 あれ、比和さんが用意したという封筒だ。

 「1」と書いてある。

「ゲットーッ!」

 奇声を上げる渡辺さん。

 ていうか渡辺さんってあんなキャラだったっけ?

 本体(神様)がこれ?

「ご免なさい。

 つい興奮してしまって」

 渡辺さんが僕に歩み寄ってきて言った。

「私が勝ちました。

 よろしく。

 矢代大地さん」

 手を差し出してくるので思わず握手する。

「おめでとうございますぅ」

 なぜか拍手する信楽さん。

 誰か説明して!(泣)

「これですぅ」

 信楽さんが渡辺さんから封筒を受け取って開いた。

 中には一枚の紙。

 僕に見せてくるので手に取ってみたらこう書いてあった。


 『ダイチ様デート券』


「その券でぇ、矢代社長と一回デート出来ますぅ。

 超プレミアム商品ですぅ」

 いや商品じゃないでしょ?

 じゃなくて何なんだよこれは。

 意味が判らない。

(メイドさんが用意したお前のプレゼントだろう。

 矢代大地(ガキ)を一日拘束出来る権利書みたいなものだな。

 なかなかやるじゃないか。

 まあ仕掛け自体はお嬢ちゃんだろうけどな)

 無聊椰東湖(オッサン)が適当な事を言った。

 そうなのか。

 僕は売られたらしい。

 比和さんなのか信楽さんなのか。

 まあいいけど。

「判った。

 渡辺さんとデートすればいいんだよね?」

「いいんですか?

 ありがとうございます!」

 なぜか最敬礼する渡辺さん。

 意外だ。

 純朴な田舎娘風な人格もあるのか。

「僕でいいんだったら」

「そんな!

 私こそ今になって気後れしそうです」

 そんなもんかねえ。

 ふと周囲が静かになっているのに気づいて見回すと全員が注目していた。

 見世物?

「そういえば信楽さん」

 (エン)さんが改まった口調で言った。

「何ですぅ?」

「これからもこういった催し(イベント)はあるんでしょうか。

 これきりじゃなくて。

 特にプレゼント交換会は」

「はいですぅ。

 矢代家ではぁ、今後は定期的にぃ内輪のパーティを開く予定ですぅ。

 当然、その都度プレゼント交換会を実施しますぅ」

 勝手に何かの企画をぶち上げる信楽さん。

 いや勝手にじゃないか。

 何せ矢代興業の影の支配者だもんね。

 そのお言葉は必ず実現する。

 ということはつまり、その度に僕はデート券とやらを出すことになるわけ?

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