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僕の学校は厨二病 ~厨二病でも平穏に学生生活を送りたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第一章 大学生?

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129.「いきなり日本新を出すよりはマシだ」

 外国(よそ)の神様というか救世主の誕生日を日本の神様(静村さんたち)が祝っていいのかと思うけど誰も気にしてなかった。

 まあ日本のクリスマスは「何かケーキとプレゼントの日」になっているらしいからね。

 某漫画で読んだけど。

 そもそもクリスマスって実はイエス・キリストとは何の関係もないらしい。

 もちろん誕生日なんかじゃないし、ていうか当時とは暦が違うので日付の特定なんか出来やしないんだけど。

 サンタクロースに至ってはもうキリスト教とは完全に無関係だそうだ。

 クリスマスの原形は今のドイツ辺りの地方の習慣で、木に何か吊して祝うとかそういうものだったとどっかで読んだな。

 赤い服を着た髭のおじいさんが貧しい家の子供にプレゼントを配って回るなどというのは後世にでっちあげられた伝説で、というよりは色々な伝承が混じり合ったものらしい。

 サンタクロースの元になったのはシンタクラースというパチモン臭い名前の聖者だということだった。

 これはオランダ語の聖者の意味だと。

 いや前にちょっと気になって調べたんだけど。

 まあいいや。

 僕がゴチャゴチャ考えている間にパーティが始まっていた。

 立食式かと思ったけど人数が少ないのでテーブルを囲む形になった。

 学生が思い浮かぶパーティって普通は立食式だもんね。

 バイキング形式にすれば安く上がるし人件費もかからない。

 でも比和さんだか信楽さんだかはマジだった。

 何とフランス料理のフルコースが出てきた。

 いやパーティって本来はそういうものだろうけど(泣)。

 僕、正式なディナーのマナーなんか知らないし。

「別にマナー教室じゃないですぅ。

 好きにやればいいですぅ」

 信楽さんは無責任に言うけどそういうわけにもいかないでしょう。

 これは僕が悪いのかもしれない。

 矢代興業の社長を張っている以上、いつかは正式なディナーとかに参加しなきゃならない日が来そうだもんね。

 ちなみに春に海外に行った時はそういう機会がなかった。

 僕たちのほとんどが未成年だったこともあるし、メンバーに英語しゃべれる人が少なくてパーティに出ても相手と会話が弾まないんだよ。

 僕にしたって高校生英会話(アメリカンハイスクールイングリッシュ)だ。

 それを察してくれたらしくて夕食(ディナー)は大抵気楽なブッフェスタイルだった。

 席が決まってなくて、みんなグラス片手に自由に歩き回るという。

 僕は大抵比和さんや信楽さんに連れられて偉い人の所をハシゴしていた。

 仕事だから(泣)。

 つまり今回のクリスマスパーティは仕事じゃないんだよね?

(仕事だとも言える。

 何せ参加者は全員、矢代大地(ガキ)の部下だ)

 無聊椰東湖(オッサン)、そういうことは言わない約束でしょ!

 まあ部下とか言ったって僕は仲間だと思っているし、更に言えば基本的に厨二病(人外)なんだから僕も気が楽だ。

 凡人なのは僕だけなんだよ。

 無聊椰東湖(オッサン)が中に棲んでなければそもそも無関係だったのに(泣)。

 僕は信楽さんとパティちゃんの間に座らされた。

 渡辺さんと迫水くんは僕の正面だ。

 その他の人たちもテーブルの両側に向かい合って座っているんだけど比和さんがいない。

「比和先輩はぁ本人のたっての希望でぇメイドをやりたいとぉ」

 なるほど。

 何となく判る。

 比和さんって外見も気品もお姫様そのものなんだけど、その本質はメイドなんだよ。

 ていうか妖精(フェアリー)でもあるけど。

 なのにずっと管理職とか役員の仕事をやらされていて欲求不満なのかも。

 だからクリスマスパーティとか言い出したのかなあ。

 まあいいや。

 ところで食事はどうも正式なフランス料理というか、結婚式で出てくるようなものなんだけどちょっと変だ。

 だって食材を載せたワゴンが既に部屋の隅に並んでいるんだよ。

 保温器みたいなのに入っているけど出来たてとは言い難い。

 まあ晩餐会なんかだと出来たての食事をとるなんて不可能らしいけどね。

 百人とか三百人とかに一斉に配膳するとしたら、どんなに急いでも一品出すのに30分くらいはかかるだろう。

 熱々の出来たてなんか出てくるはずがない。

 それはいいんだけど、だったら給仕は誰がやるの?

 ひょっとして?

「お待たせしました。

 これよりクリスマスパーティお食事の部を始めさせて頂きます」

 いつの間に着替えたのか、目立たないドアを開けて入って来た比和さんが宣言した。

 うわあ。

 フル装備の古典的なメイド服だ。

 最近比和さんのメイド姿を見てなかったから新鮮だったりして。

 いや、マジで凄いんだよ。

 何というか本物感がある。

 コスプレメイドとか秋葉原の客引きなんかとは比べものにならない。

 でも美人で巨乳過ぎるのはメイドとしてはどうかな?

「スープでございます」

 比和さんは一人で給仕をするつもりらしかった。

 優雅だけど流れるような動きで配膳している。

 全部で十人もいないから大丈夫らしい。

 でも比和さん、これだと自分が食べる暇、ないんじゃ。

「平気です。

 後から頂きます」

 いいのかなあ。

 罪悪感を感じながらスープをスプーンで掬って飲む。

 何これ?

 メチャクチャ美味しいんですけど?

「凄いですぅ」

「これもご加護なのですか?」

「こんなものですか」

「お見事です」

 あちこちで感嘆の声が上がっていた。

 いや一部はちょっと違うような。

「料理人泣かせだぞこれは」

「些か問題ではないかと」

「いきなり日本新を出すよりはマシだ」

 やっぱしか!

 誰だ犯人は?

 この理由が判らない美味しさは静村さん、じゃなくて静姫様臭いけど、本人は僕と一緒に車でここに来たから違う。

 比和さんでもない。

 だったら決まっている。

「迫水くんなの?」

 聞いてみたらニヤッと笑われた。

 態度でか!

静村(シズシズ)が料理名人の名を欲しいままにしていると聞いてな。

 試してみた」

 堂々と言ってのける迫水くん。

 何の神様なんだっけ?

 ていうかアンタもシズシズ呼ばわりですか(泣)。

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