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僕の学校は厨二病 ~厨二病でも平穏に学生生活を送りたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第一章 大学生?

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11.「目標管理のポイントは大体こんなものだ」

 土下座しそうな静村さん(静姫様)を何とか宥めて席に座らせ、タブレットを渡す。

 信楽さんが隣に座って説明していた。

 任せといていいか。

 信楽さんはなぜか静村さんの信奉者なんだよなあ。

 前世で命を救われたとかで。

 いや結局死んだんだっけ?

 まあいいか。

 さてどうしよう。

 ここまでは勢いで来たけどこれからどうすればいいのかさっぱりだ。

 信楽さんに押しつけようと思っていたんだけど。

(なら俺がやっていいか?)

 無聊椰東湖(オッサン)が言ってきた。

 やるって?

 何を?

(説明だ。

 お嬢ちゃんの構想は何となく理解した。

 でもお前、判ってないだろ?)

 ははは(笑)。

 バレバレだ。

 それはそうだよ。

 無聊椰東湖(オッサン)は僕なんだし、お互いの記憶というか思考が筒抜けなんだから。

 でも僕、駆け込み寺以降の話は全然考えてないんだけど。

 その辺りは信楽さんに振ろうと思っていたし。

(方法は色々あるが、やはり目標管理制度がいいだろうな)

 無聊椰東湖(オッサン)は自分で言って頷いた。

 何それ?

(会社の人事評価方法のひとつだ。

 何つったっけの経済学者だか誰だかが提唱した奴だと思う)

 いい加減ですね?

 まあいいか。

 だって僕、そもそも経済だの人事だのってまったく判らないし。

 心理歴史学講座をどうやって運営したらいいかなんて五里霧中だよ。

 そういえば無聊椰東湖(オッサン)はサラリーマンやっていたんだから少なくとも僕よりはそういうのに詳しいはずだよね。

 よし、任せた。

(おうよ)

 何か変に張り切った感じの無聊椰東湖(オッサン)

「説明を続ける」

 いきなり僕が言った。

 いや口が勝手に動いて。

 無聊椰東湖(オッサン)に乗っ取られた!

 まあいいけど(泣)。

 『僕』は何か気取った風に話し始めた。

「普通の大学なら、ある単位を取るために学生は講義に出席したりレポート出したり試験に受かったりする必要がある。

 その方法は講座の主宰者が決める。

 ここまでは判るな?」

 突然偉そうになった僕を驚く事もなく受け入れる学生たち(皆さん)

 変に思わないの?

「心理歴史学講座も基本的には同じだ。

 違うのは評価条件が一人一人独自だということだ」

「……と言いますと?」

 驚いた事にロンズデール姉妹のどっちかが聞いてきた。

 ていうか無聊椰東湖(オッサン)の日本語を理解しているらしい。

 こんな抽象概念までマスターしてるのか。

 今まで猫被ってたな?

「つまりだ。

 普通の科目だと学生の合格条件は共通だ。

 レポートをちゃんと出すとか試験で何点以上取るとか、あるいは出席日数が足りているとかだな。

 その基準を満たせば単位が貰えるし、駄目なら駄目だ。

 これは演習でもほぼ同様だ。

 なぜかというと学生ごとに合格条件が違ったりすると贔屓だの忖度だの問題になるからだ」

 なるほど。

 確かにそうだ。

 ていうかそれって当たり前だよね?

「だがサラリーマンになると違ってくる」

 無聊椰東湖(オッサン)が益々調子づいてきた。

 人の身体を乗っ取っていい気なもんだよね。

「なぜでしょうか」

 今度は高巣さんが聞いた。

 みんな集中しているなあ。

 無聊椰東湖(オッサン)って話が上手いとか?

 僕だと駄目だけど(泣)。

「高巣君なら判るだろう。

 谷君も同じだ。

 簡単だよ。

 サラリーマンも役員も軍人も、誰一人として同じ仕事をしていないからだ。

 やっていることも、求められている成果も違う。

 王宮で言えば、例えばメイドと事務官。

 その両者を同じ条件で評価出来ないのと同じだ」

「……そうか。

 なるほど」

 (アキラ)さんが頷いた。

「確かにな。

 学生だと思うからおかしくなる。

 要は評価の条件ということか」

「そうですね。

 わたくしにも何となく判ります」

 帝国の将軍と王国の王女が頷いている後ろではロンズデール姉妹がお互いに何かを囁き合っていた。

 嬉しそうなんだけど?

 ちなみに未来人の人たちはぼやっと僕を見ているだけだ。

 聞いてるかどうかも定かではない。

 (マッチョ)琴根(イケメン)は完全に石像と化しているしね。

 (エン)さんはというといつの間にか静村さんの隣に座っている。

 信楽さんの説明を一緒に聞いているらしい。

 何て悲しい魔王様なんだ(泣)。

「さて。

 組織マネジメントの分野で人事評価についてある方法論というか制度がある。

 『目標管理制度』というものだ。

 簡単に言えば組織の中で個人もしくはグループを評価する方法だな」

 無聊椰東湖(オッサン)はいきなり壁際に並んでいるホワイトボードの所に行くとペンをとって書き出した。

 読みにくい字だ。

 ていうか無聊椰東湖(オッサン)って教師みたいなことが出来たのか!

(俺も新人研修の社内講師やったことがあるからな。

 目標管理はハマルト機業でも使ってたし)

 そうなの。

 意外な才能?

(抜かせ。

 サラリーマンってのは何でもやるんだよ。

 命令されたら拒否権はない)

 出来ませんと言ったら?

馘首(くび)だ)

 そうなんだ(泣)。

 無聊椰東湖(オッサン)の記憶が流れ込んでくる。

 会社員(サラリーマン)って入社する時に会社と「契約」するのだそうだ。

 その契約書の中に「業務命令は拒否出来ない」という項目があるらしい。

 つまり拒否したら契約違反だから馘首(くび)になっても文句は言えないと。

 だから社内研修講師をやる羽目に?

(それもそうだが講師と言えないまでも後輩や部下を教育するのもサラリーマンの仕事だからな。

 嫌だとか出来ないとか言う奴は弾き出される)

 厳しいんだなあ。

 僕、サラリーマンになるのは止めようかな。

矢代大地(ガキ)はもう社長だろ?)

 そうでした(笑)。

 僕と心の中で掛け合い漫才をしながらホワイトボードに文章を書き終えた無聊椰東湖(オッサン)はみんなの方を向いて言った。

「目標管理のポイントは大体こんなものだ」

 みんながよく見えるように脇に引っ込む。

 その位置からでもホワイトボードが見えるので読んでみた。


 ①明確・具体的な目標

 ②適正な目標レベル

 ③期間

 ④目標達成の方法

 ⑤自分の役目の把握


 何か凄い。

(うろ覚えだけどな。

 そう酷くは間違ってないはずだ)

 信じていいんだよね?

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