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僕の学校は厨二病 ~厨二病でも平穏に学生生活を送りたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第一章 大学生?

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117.「その人たちは宝神に入学するの?」

 静姫様によれば神様の世界? は時間や空間を無視して繋がっているそうだ。

 でもそれは何でも自由に出来るというわけじゃなくて、むしろ見えているのに手出し出来ない状態らしい。

「テレビ、いやビデオに似ているな。

 画面上でストーリーが進んでどうなるのかは大体判るわけだ。

 先送りや巻き戻しも出来る。

 だが直接には触れられない」

「でも静姫様は現実に干渉していたような。

 雨を止めたりとか」

「そういう可能性を選択しただけだ。

 そうなっている世界にした」

 あいかわらず判りにくいな。

 でも僕が何とか理解した所によれば、静姫様を含む神様たちは色々制限はあるものの、ある程度はやりたいように出来るとか。

 ていうかそうなった時間線? を選択する。

 一見奇跡とかアンビリーバブルな状況が発生したとしても、偶然に偶然が重なって実現した可能性がある。

 そこには矛盾はないけど、ありそうにもない出来事は実現が難しいとか。

「例えばどんな?」

「いきなり宝神の構内にUFOが着陸したり、地底人が這い出てきたりとかだな。

 可能性としては限りなく低いというよりはまず無理だろう」

 それはそうだ。

 何の脈略もないからね。

 それに対して雨が降ったり降らなかったりするのは単なる可能性の問題に過ぎないとか。

「もちろん真夏に雪が降ったりするのは無理とは言えないまでも難しいぞ。

 地球規模の異常気象になってしまう」

「そんなこと頼まないから安心して」

 それでも凄い。

 つまり上手くいく可能性があったらかなり低くても実現させてしまえるわけか。

 これってやっぱり無敵じゃないの?

「違うな。

 無理に実現させた状況はその維持に手間がかかる。

 トラックに積載能力以上の荷物を載せるようなものだ。

 いずれは崩壊する」

 なるほど。

 厨二病の妄想としてはつじつまが合っていて上手く考えられているような。

 そうなんだよ。

 僕以外のみんなが根本的な所で勘違いしているのは、これが全部厨二病患者の妄想かもしれないってことだ。

 いやもちろん異常な状態が続けざまに発生してはいるよ?

 でもそれはまさしく今静姫様が説明してくれた通りに偶然に偶然が重なっただけかもしれない。

 だって偶然そうなった可能性は否定出来ないし。

(そうか?

 静姫様がいきなりフリル付きビキニで自由形の日本新記録を出したことも偶然か?)

 無聊椰東湖(オッサン)が痛いところを突いてきたけど、いいんだよ。

 静村さんが天才だっただけかもしれないし。

(別に俺は構わんけんどな。

 どっちみち矢代大地(ガキ)にとっても俺の存在も似たようなものだろうし)

 無聊椰東湖(オッサン)、最近きつくなってきているような。

 まあいいや。

 とにかく僕はこの異様な状況を何とか宥めて話を進めなきゃならない。

「話を戻すけど、静姫様のお友達って何人くらいいるの?」

 聞いてみた。

「まず何『人』ではないな。

 そもそも矢代殿は勘違いしている。

 我々は人格を持った存在ではないし、それぞれが独立しているわけですらない。

 言ったであろう。

 我々は感情のみの存在だと」

 禅問答みたいになってきた。

 でも確かに。

 僕、いつの間にかラノベ的にそれぞれ特性が違う神様がいるのかと思っていたけど。

 だって静姫様は人格神みたいに振る舞うし。

 あれ?

「静姫様は『龍神』だって聞いたけど」

「静香がそういう風に解釈したというだけだな。

 静香にそう認識されたから私はそういう存在になったわけだ」

 ややこしい。

 でも判ってきたような。

「つまり静姫様の基礎(ベース)は静村さんなんだ」

「その通り。

 静香を含めた皆が静姫として認識している人格はそうやって構築されたものだ。

 ある意味、静香の別人格とも言える」

 うわー。

 何か心理学の講義みたいになってきた。

 いやむしろ精神病理学か。

 だってこれ、多重人格の生成過程とそっくりなんだよ。

 原因は多分違うだろうけど。

「すると静姫様は静村さんに取り憑いたと」

「そう言ってもいいかもしれぬが違う。

 むしろ静香が呼び込んだ、と言った方が正しい。

 客観的にみたら静香が依代となって私が降りたわけだな」

 やっぱ厨二病か。

 ラノベで大昔に流行った設定じゃないか。

 平凡な少女が「覚醒」して悪と戦うとか。

 まあ静村さんは別に覚醒したわけでも悪と戦うわけでもないみたいだけど。

「そういう細かい話は後でいいや。

 とりあえず教えて。

 静村さんモドキはあと何人いるの?」

 すると外見上は静村さんとまったく同じ姿の神様は艶然と笑った。

「矢代殿、いやダイチ殿は理解が早いな。

 ちょっと人間には有り得ない反応だぞ」

 失礼な。

「厨二病患者との付き合いが長いせいだよ。

 このくらいで驚いていたら矢代興業の社長とかやっていけないから」

「なるほど。

 環境がダイチ殿を鍛えたか」

 頷く静姫様。

 って、今気づいたけど静姫様オンリーになってない?

「静村さん、いる?

 交代は許可制じゃなかったの?」

「いますよ。

 さっき静姫が矢代さんと直接話したいというから交代してそのままなので」

 良かった。

 何か疲れる。

 まあこの際もういいや。

 静姫様の方が話を進めやすそうだし。

「じゃあ静姫様。

 さっきの質問の答えは」

「とりあえず3神……人だな。

 今のところ個人として確定出来ているのはそれだけのようだ。

 依代を安定させるのが面倒なのでな」

 ちょっとちょっと!

 何か凄く不安になりそうな事を言われたんだけど?

「その、参考までに聞きたいけど依代を安定させるって?」

感情()は依代なしでは顕現出来ないのは知っているだろう。

 私とて静香がいるからこそダイチ殿とこうやって話せるわけで」

「てことは、えーと静村さんみたいな人があと3人来ると」

「今のところは、だな」

 今後もっと増えるんでしょうか。

 いや考えるな。

 とりあえず目の前にある問題をひとつひとつ片付けていくだけだ。

「その人たちは宝神(うち)に入学するの?」

「ああ、皆期待しているぞ。

 実の所突き上げがきつくてな。

 私だけが楽しんでいると思われている」

 やっぱアンタのせいかーっ!

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