表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の学校は厨二病 ~厨二病でも平穏に学生生活を送りたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第一章 大学生?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/386

10.「何をするのかはぁ、学生の自由ですぅ」

「それではぁ心理歴史学講座についてぇ説明しますぅ」

 信楽さんが早速講義? を始めた。

 さっきまでは事務局次長だったけど今は心理歴史学講座の助教なのか。

 凄い。

 僕、教壇にいなくてもいいよね?

「駄目ですぅ」

 はい(泣)。

 でもこれ、全部信楽さんのシナリオじゃないの?

 僕なんか未だにここで何をしているのかすらよく判らないのに。

 そんな僕の葛藤をよそに信楽さんが相変わらず気の抜けた口調で続ける。

「皆さんはぁ『心理歴史学(Psychohistory)』という言葉自体が判らないと思いますがぁ、これは造語ですぅ。

 百年近く前にぃアメリカのSF作家がぁ自分の小説の中でぇ出しましたぁ」

 それから信楽さんはアジモフと「銀河帝国の興亡」だったかについて簡単に説明した。

「それってビッグデータの事じゃないのか」

 早速質問が出た。

 やっぱ(アキラ)さんって凄いね。

「どうでしょうかぁ。

 そもそも心理歴史学自体はぁ架空の学問ですぅ。

 作者も詳しい所まではぁ設定してなかったと思いますぅ。

 小説の中で出てくる説明はぁ単なる統計学に思えますぅ」

 まあ、そうだよね。

 確かにアジモフが心理歴史学について詳細に考えていたとは思えない。

 ただの道具(ギミック)のつもりだったんだろう。

 でも考えてみたらビッグデータの考え方に近いんだよ。

 まあどうでもいいけど。

「自分で作っといて判ってなかったと?」

「当たり前ですぅ。

 ガンダムやぁエヴァンゲリオンのアニメを作った人がぁ現実のぉロボットを作ったわけじゃないのと同じですぅ」

 そう来ましたか(笑)。

 まあ、作家なんかそんなもんだろうけど。

「だったら俺たちは設定すらはっきりしない専門分野で何をするんだ?」

 (アキラ)さんの追求が続く。

 それは僕も聞きたい。

「何をするのかはぁ、学生の自由ですぅ」

 信楽さんが淡々と凄い事を言った。

 自由(フリー)

 俺たちはフリーしかやらないと?(笑)

「全然判らんぞ。

 真面目にやれ」

 (アキラ)さんが投げたように身体を落とした。

 もう飽きたのか。

 さもありなん。

「矢代教授ぅ。

 説明をぉお願いしますぅ」

 そこで僕に振る?

 まあいいか。

 今の説明で大体判った。

(凄えな矢代大地(ガキ)

 俺なんぞ全然わからんのだが)

 無聊椰東湖(オッサン)には無理かもね。

 こういうのはラノベを読んでないと思いつかないから。

 あるいはサラリーマンという社会の現実にどっぷりハマった精神では理解不能かも。

 僕は信楽さんに頷いた。

 私が操縦桿を握る(アイハブコントロール)

 信楽さんが精神的な操縦桿を手放すのを感じてから話す。

「ええと。

 心理歴史学(Psychohistory)の説明はちょっと忘れて。

 で、一体ここは何をする講座なのかというと、仕事するわけです」

 シーン。

 (エン)さんすらぽかんとした表情で僕を眺めた。

 そんなに変かな。

「輪をかけて理解不能だ」

 (アキラ)さんが自ら髪をかき乱す。

 高巣さんは……無だね。

 悟った?

 未来人たちはタブレットを見ながらブツブツ話し合っているし(マッチョ)琴根(イケメン)は石像のように微動だにしない。

 ていうか今気づいたけどこの二人も僕の講座の所属なの?

「矢代教授ぅ」

 はいはい。

「僕もさっきまで気づかなかったんだけど、ここにいる人たちは言わば『規格外品(ガイバー)』なんだよ。

 例えば(アキラ)さん。

 (アキラ)さんは何の専門家になりたいの?」

 不意に指された(アキラ)さんは、それでも少しも慌てなかった。

 椅子に座り直す。

「そうだな。

 なるほど。

 そういうことか」

 判ってくれたらしい。

 (アキラ)さんって多分、この教室にいる人の中で信楽さんの次くらいに頭がいいからね。

 僕が思いつく程度のことはもっと早く気がついてもいい。

 そう出来なかったのは前世のせいだろう。

 帝国の将軍という責任がある地位で仕事をこなしてきたという経験が邪魔をするんだよ。

 僕みたいな無責任野郎と違って。

(アキラ)殿。

 どういうことでしょうか」

 高巣さんの問いに(アキラ)さんはにんまりと笑って僕に視線を向けてきた。

 判りましたよ。

 僕が言えばいいんでしょ。

「高巣さんは何の専門家になりたい、ていうかなるの?」

 矛先を向けられてちょっと慌てる高巣さん(王女様)

「専門家、でしょうか。

 いえわたくしは」

 そこで絶句する。

 気がついたな。

「武野さん」

「あたし?

 うーん。

 証券投資家(トレーダー)?」

 平気な顔で返してくる武野さん(未来人)

 相棒の鞘名さんも頷いている。

 嘘こけ。

 あんたらがそんな真面目な目標を立てるはずがない。

 (エン)さんは僕が視線を向けただけで慌てふためいていたのでスルーしてあげる。

 (マッチョ)琴根(イケメン)は……止めとこう。

 ていうかこの二人、僕の講座の所属じゃなかったよね?

 まあいいか。

 ロンズデール姉妹は不可触(アンタッチャブル)

 さわらぬ宇宙人に祟り無し。

「このように、みんなの目標はバラバラだよね。

 しかもそれだけじゃない。

 誰一人として今言ったり思ったりした事は実現するつもりはないでしょ?

 ていうかそもそも専門職(プロ)なんかになるつもりがない」

「続けろ」

 相変わらず上から目線の(アキラ)さん。

 でもこういう合いの手は助かる。

 誰も何も言ってくれないと僕は一人で延々と話し続けなきゃならないからね。

「もちろんみんながいい加減だとか人生を舐めているとかじゃなくて、そもそも無理なんだよ。

 専門家(プロ)にはなれない。

 なっちゃいけない。

 なったらヤバい。

 最初から専門家(プロ)だから。

 世間に公開出来るようなもんじゃない分野の」

 僕は溜息をついた。

「心理歴史学(Psychohistory)講座は、そういう人たちの駆け込み寺です」

 決まった。

 どや顔を作ろうとした瞬間、ドアが勢いよく開いて人が転がり込んできた。

「すみませーん!

 遅刻しました!

 河を見に行ったら迷っちゃって」

 静村さん(静姫様)

 TPOを弁えてよ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ