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僕の学校は厨二病 ~厨二病でも平穏に学生生活を送りたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆
第一章 大学生?

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101.「あれ、ですか」

 宝神には夏休みという制度がないので夏期合宿とかそういう行事? も存在しない。

 だけど最近、ずっと大学構内で何かやっている集団がいるという噂が聞こえてきた。

 日中だけじゃなくて夜中にも煌々と灯りがついたままなのだそうだ。

 信楽さんに電話して聞いてみたらあっさり応えてくれた。

「ヲタ……エンタテイメント講座ですぅ。

 夏コミ用の作品をぉ作っていると聞いてますぅ」

 信楽さんにしては珍しく伝聞形式なのは、本人があまり接触したがらないからだろうな。

 娯楽事業(エンタテイメント)部門は何かよく判らない講座をいくつか配下に持っていて、人事や予算を独自に動かしていると聞いている。

 言うまでもなくシャルさんたちだ。

 前にちょっと聞いてみたけど黒岩くんや八里くんが関係するのを嫌がって避けているために、矢代興業内ではほとんど独立国並に好き勝手やっているらしい。

 シャルさんは前世では貴族家の当主な上にトラブルメーカーだったとかで、みんなカカワリアイになりたくないみたいなんだよ。

 王国や帝国はなぜか前世における身分がそのまま通用しているため、シャルさんに意見出来るのは高巣さん(王女様)(アキラ)さんくらいだもんね。

 王女様は事なかれ主義だし(アキラ)さんは帝国の将軍として何度も王国軍司令官だったシャルさんに煮え湯を浴びせられて、マジで嫌っているからなあ。

 いや嫌いというよりは苦手か。

「つまりシャルさんと宮砂さんがやらかしていると?」

「みたいですぅ。

 あの部門はぁ人事編成上、矢代興業本体から切り離して運用されてますぅ。

 もうほとんど別会社ですぅ。

 予算もぉ独自に調達したみたいでぇ」

 信楽さんにすら嫌われ……じゃなくて匙を投げられていた。

 でもそれはそれで凄いけど。

「人事はともかく予算はどうやって?」

 矢代興業が発展しているのは未来人が産む金のタマゴのせいなのに。

「知らないですぅ。

 聞きたくないですぅ」

 信楽さんが低い声でブツブツ言い始めたので慌てて話題を変える。

 トラウマになっているらしい。

「それはいいや。

 つまり僕としては放置して問題なし?」

「はいですぅ。

 もちろん矢代社長はぁ総責任者なのでぇ、現状をぉ把握しておくべきとは思いますがぁ」

 あっ酷い。

 自分は投げた癖に僕には責任論を振りかざすって。

 まあいいや。

 僕の強みは矢代興業や宝神総合大学の運営に一切関わってない、じゃなくて直接関係していないことで、つまり何が出てきても平然としていられる。

 信楽さんなんかは自分が進めている矢代興業の経営に影響が出るんじゃないかと疑っていて、サン値がゴリゴリ削られるんだろうね。

 そういう風に考えたら信楽さんの思惑が判ってきた。

「つまり僕に探ってこいと」

「そんな畏れ多いことはぁ考えてないですぅ。

 ただ何か判ったらぁ教えて欲しいですぅ」

 考えてるじゃないか(笑)。

 まあいいや。

 僕も気になるし、それ以前に毎日毎日書類にサインしてるだけじゃつまらないからね。

 僕は社長であり理事長なんだから査察、いや視察を拒める者はいない。

(そうとも限らんが。

 まあこの場合は大丈夫だろうな)

 無聊椰東湖(オッサン)もそう思う?

 そう、相手はシャルさんと宮砂さんだからね。

 ああいうヲタクの性格は判っている。

 誰かに言いたくてたまらないはずだ。

 というわけで僕は噂の不夜城に向かった。

 なぜかパティちゃんが一緒だ。

 理事長室にふらっと訪ねてきて、そのままついてきてしまったんだよ。

 ちょっと考えたけど別に問題ないでしょう。

 そもそもパティちゃんもカラオケでアニソン歌うくらいのファンだからね。

 美術関係専攻らしいし、だったらビジュアル的にシャルさんたちと話が合うかも。

 宝神の構内を一緒に歩きながら話す。

「シャーロットさん、ですか」

「うん。

 イギリスのマナク伯爵家のご令嬢で。

 王国の貴族でもある。

 そして矢代興業のヲタ……エンタテイメント事業を率いていて」

 パティちゃんはもちろん矢代興業の中身について知っている。

 本人も厨二病(ヴァイトン)だし。

「Princess of the Kingdom!」

「まあ、ビジュアル的には。

 Previous life is not a princess.」

 確かシャルさんはご本人が貴族家当主ではあったけど、とても姫などと呼べる存在ではなかったらしい。

 むしろ女戦士?

 今は金髪美少女騎士だから姫でもいいかもしれないけど。

 一応、警告しておく。

「You should not talk about previous life.

 There is a past that people do not want to touch.」

 抽象的な概念なので英語で言いました。

「...I will keep in mind.」

 パティちゃんは神妙な表情で頷いた。

 まあ自分も精神生命体(ヴァイトン)だった前世(過去)について色々聞かれたら嫌だろうしね。

 ていうか前世って過去なのか。

(忘れたい過去だろう)

 僕は無聊椰東湖(オッサン)を忘れたいけど。

(それはこっちの台詞だ。

 矢代大地(ガキ)が俺の未来というのは有り得ん)

 あるからしょうがないじゃないの。

 心の中でボケとツッコミを繰り返しながら無駄に広い構内を歩く。

 暑い。

 そろそろ初夏だね。

 ていうか時期的には梅雨だ。

 静村さんのせいで日中は雨が降らないからいいんだけど、湿気はそのままだからなあ。

 どうも本体が龍神らしい静姫様はどっちかというと高い湿度を好むから、頼んでも改善されないんだよね。

「あれ、ですか」

 パティちゃんが指さす方を見ると信じられない光景があった。

 何あれ?

「モビルスーツ?」

「No!

 That is a walker machine!

 great!」

 パティちゃんが叫んだ。

 ウォーカーマシンって、アレか。

 戦闘メカ・ザブ○グルだったっけ?

 あれって40年くらい前のアニメだよね?

 パティちゃんがカラオケで最初に歌った銀河漂流○イファムと同じ頃の作品だったはずだ。

 ひょっとしてパティちゃんってリアルロボットアニメ勃興期作品のファンなの?

「Hurry up!」

 あっという間に駆け去ってしまうパティちゃん。

 夢中だ。

 そんなに好きなのか○ブングル。

 ていうかよく覚えてないんだけどウォーカーマシンってこんなのだったっけ?

 確か設定上は「ガソリンエンジンで動いてハンドルで操縦するロボット」という無茶なものだったはずだ。

 つまりそれって普通の車を改造すれば出来てしまうということ?

 ゆっくり歩いて近寄ってみると、問題のブツはウォーカーマシンとは似ても似つかないものであることが判った。

 むしろトラン○フォーマーの出来損ないというか、車に無理に腕と頭をつけたみたいな?

 パティちゃんが操縦席にいる人と夢中で話していて大喜びのようだ。

 周囲に立っている人たちは無視されている。

 どうせヲタ仲間だろうね。

「that's cool!」

「You see?」

 この声は。

 すると操縦席の人はヘルメットを脱いで言った。

「ダイチ久しぶり!

 How do you do?」

 シャルさん何やってんの?

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