国王たちの陰謀
「さて、何の話かは理解しおろうな?」
子供二人を目線を向けるが二人とも困惑した顔をしたままだ。何とも忌々しい。前から思っていたが二人とも将来国を背負って立つ人間だというのにこれでは先が思いやられる。
「レジェスタ。貴様はあの二人をどういう風な印象を持った?」
まだ馬鹿ではあるが、武人としての才能はなくはないだけましな息子の方に話しかける。
「何って親父、見たまんまだろう。女の方は使えるが、男の方はゴミの役にも立たない」
「そうか・・・・マルティア。お前はどう見る」
「・・・非常識な方々でしたわ。正直関わりたくありません」
二人の意見に思わずため息が出る。頭が痛くなる。
「貴様等は確か異世界の人間がいた世界についての情報は聞いているな。なら、おかしいと思わんんか」
思わず声を荒げてしまった。二人ともその声を聴いて体を震わせる。
「何言ってるんだよ。どう見たって常識外れの奴しか」
「シュバルツ・・・貴様は二人をどう思う?」
随伴してきた近衛騎士団長。地位に見合った実力を持つ確かな男だ。
「ハッ。異世界の世界とかは私にはわかりませんが。少なくてもそれなりの修羅場をくぐった武人なのは間違いありません」
ふむ、満足という答えは得られなかったが。まぁ、二人よりはましだ。
「なっ、向こうの世界は平和なんじゃなかったのかよ」
呆れてものが言えん。伝承の勇者召還は200年も前の話だ。向こうも同じ時間を過ごしているかわからんがずっと同じく平和だった保証もない。しかし、それも正解ではないだろう。
「奴等は我等騎士団がいる部屋でも威圧されることなく。国王の視線すら平然と受け止めていました。身のこなしも二人ともただ物とは思えません。特に女の方は高い資質を宿しております。男の方は残念ながらくぐった死線は感じられるのですが、資質はないように感じられます」
ギリギリ及第点といったところであるか。
「おそらく奴等は召喚が初めてではない。伝承ではかの世界にはレベルやステータスは存在しないものであったらしいからな」
「まさか勇者と同一人物なのですか?」
「伝えきく容貌とは違うから恐らく違うじゃろう。そして、男の方は何か隠し持っている」
「では、私は父様の言う通り私が彼を篭絡すれば・・・正直、あんまり気が進まないのですが」
「あの程度の事で悲鳴を上げて逃げ出すような奴には無理だな」
マルティアは特に過保護に育てすぎてしまった。それにあの二人の仲も問題だ。もし、恋人同士などであれば逆効果だ。やはり篭絡するのは・・・
「いや、そうでもないかもしれんな。レジェスタ、あの女勇者に言い寄ってこい」
「「「は!?」」」
素っ頓狂な声が全員から上がった。
「失礼ですが正気ですか父様?兄様に女性を口説くとかそんなこと無理に決まってますよ」
「正直あの女が好みじゃないわけじゃないが。女を口説くなんて言うより力付くでものにすることしかできないぞ俺は」
全く情けない事話なんだがな。じゃがそんなことは分かっている。むしろ、それが良いのだ。
「そうしろといったつもりじゃ。お前はあの女に近づき決闘でもなんでもすればよい」
それで、あの二人の関係性もはっきりするし。決闘になれば実力の一端でも見れるじゃろう。まさかそんな馬鹿なこと余の命令だとは思うまい。恐らく殺されはしまい。
「いくら勇者だからと言って俺があの女に負けると思ってるのか?」
こう見えてもレジェスタは年の割には強い方だ。ステータスもあの勇者の四倍は超える。しかし、それでも負けるじゃろうな。
「父様。その勝負受けると思いませんし。万が一受けて勝っても意味がないような」
「隷属の指輪を使えばいいだろう。あれを使えば勝者には逆らえねぇ」
レジェスタはどうやら乗り気になってくれたようだ。まぁ、捨て石じゃがの。