テンプレ通りの魔王討伐・・・いかないけどね
「二桁ですか・・・プッ」
事情知ってるくせに何かを我慢したかのように口を抑える茜がいらつくのであとでバロスペシャルをかける事にしよう。
「さて、真打登場です。刮目してください」
アカネ・ユウサキ
HP 00003/01012
MP 00103/00103
力 00862
硬 00562
速 01024
魔 00202
成長性 A+
まぁ、俺とは比べ物にならないステータスだよな。特にこの成長性。レベル上がるごとに初期ステータスを基準にプラスするのだがA+は30%から50%。ちなみにFランクは1%から5%。昔は非常にうらやましかった。まぁ、今となってはどうでもいいけど。
「おぉ、さすがは異世界の勇者だ。初期から四桁越えまである」
「あぁ、これで魔王討伐の切り札に」
「しかし、HPが何故瀕死状態に」
魔王か。やっぱりいるのか。まぁ、当然のように茜を皆で褒めたたえてるな。だが、ゼルツ国王の視線が俺にきているのは気のせいか?無能だから死刑とか言われたらどうしよう。
「うむ、これで人類の生存は約束されたも同然じゃな。勇者たちよ。宴の準備をさせてもらっている」
「その前に俺等がこの世界に呼ばれた理由を知りたいんですが」
「今日は存分にくつろいでもらおうと思ったのじゃがのう」
冗談ではない。パーティなんて開かれたら断りづらくなる。まぁ、魔王なんて言葉が出ているくらいだから予想はできるけど。この国の建前が知りたい。
「まぁ、わざわざ余が話すこともなかろう。ケネスティ大臣に聞くといい。余は少し別で話がある。レジェスタ。マルティア。ついてこい」
マルティア王女。そしてその向かい側にいたのがレジェスタ王子だろう。それが王の後ろに並んで退室した。そして護衛なのか身なりの良い騎士の一人がそれに後からついていった。
「では、私から説明させてもらいましょう勇者様方。私はダラク・ネスト・ケネスティと申します」
背の低い小太りのいかにも運動不足気味の中年の男が俺等の前に出てきた。騎士に隠れてて全然この人に気づかなかったよ。
「私共が勇者召還に踏み切ったのは魔王討伐のためです。ここ数年魔国との小競り合いが激化しておりまして。戦争は避けられない状態になるだろうと」
「って事は魔王とは魔国の王で人種の王ということですか?話の出来る」
「人とは言い難いですが。隠してもそのうちにわかると思いますのでそうだと言いますが・・・一応人の言葉と人とはかなりかけ離れていますが、人に似た姿をしています。正確には魔物と人の混じり物というのが我々の見解です。ですので、その性格は大抵好戦的で残忍なものが多く友好的とはとてもいいがたいですが」
とりあえず頷いておくけど、その言葉を鵜吞みにするど馬鹿じゃないけどね。こちとらいろんな世界を渡り歩いてるんだから魔族なんて珍しくない。魔族は確かに何処も人より優れたステータスを持っているが、根から邪悪な存在だったのは本当に一握りだ。
「魔国建国以降、人族と魔国お互いに不干渉の約束でした。しかし、奴らはその間に力を蓄え我々人側にちょっかい出してくるようになったのです。しかも、魔物を連れて。今は互いの国境線上での小競り合いですが。いつ大部隊で侵攻されてもおかしくない状態です。この事には我が国はじめ六カ国が同盟して事当たる次第ですが、何分個々が強くこちらの被害はどれくらいになるかわかりません。ですから、勇者様方には魔王討伐、及び魔国の殲滅を・・・・」
「おグゲッ・・・・」
馬鹿が騒ぎ出しそうだったので肘打ちで黙らせる。言いたいことはわかるが、ここで騒いでも仕方がない。
「えっと・・・・」
いきなりの肘打ちに大臣さん言葉を失ってるが、話すすまないから続けるとしよう。
「我々の世界は正直戦いとは無縁の世界で。魔国の人に似た生物と戦えるとは思いませんし・・・・何より茜はともかく、俺はすぐに死にそうなステータスですから・・・」
「確かにジンナイ様で宜しいんでしょうか。ステータスは戦闘にはとても耐えられるものではありませんが、異世界の勇者には我々よりも優れたスキルがあるはずです。それ次第では十分戦えますし。何かしらの役に立つはずです。それにユウサキ様のステータスは初期でも我等の騎士並みに優れてます。将来は魔王すらしのぐ力に。お願いします。是非とも我々の力に・・・」
「まぁ、少しレベル上げながら考えてみますよ」
まぁ、答えはノーだけどね。
さて、ヒロインを力づくで黙らせる主人公は有りか無しか