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でっぱりとお散歩

「ヒトとヒトガタを両方受け入れてる国があんのか?」



のんびり生活も一週間ほど経った。もちろん何もなかったが、今日は少しだけ違った。


でっぱりから情報を聞いて、俺は興味が沸いた。そっちには俺の悪評が広まっていないはずだ。


「サンタマリアはいい町だにゃ。ライニングと違ってヒトガタをあまり差別しない場所だにゃ」


「そこならでっぱり達が行っても大丈夫なんじゃないか?」


ヒトガタに嫌悪感がないなら、ヒトデナシでも大丈夫なんじゃないのかと思った。


「ヒトガタとヒトデナシは違うのにゃ……。見つかれば貴族に売られてしまうらしいにゃ」


「なるほど、そういう考え方もあるのか。というか、そもそもヒトガタとヒトデナシってどう違うんだ? 変身できないだけだろ?」


実際見た目違いが分からん。


「ヒトデナシはヒトといることはまずにゃいにゃ。ヒトに買われたヒトデナシは、家に幽閉されてることがほとんどにゃ」


「あーそうか」


「にゃ? もしかしてシュウジと一緒にゃら、町に出てもばれにゃいにゃ?」


「やめておいたほうがいいぴょん。何が起こるか分かったものじゃないぴょん」


でっぱりの提案をわるものさんが止める。


「でも、少し町に出てみたいにゃ。いずれシュウジが戻ったら、もうそれはかにゃわにゃいことににゃるにゃ」


でっぱりがわるものさんに抱きついて甘える。いや、そんなんじゃ駄目だろ。


「……。少しでも危ないと思ったら、逃げてくるぴょん。何かトラブルがあったら、絶対に関らないぴょん」


思ったよりチョロかった。


「わかってるにゃ。じゃあちょっとだけ出かけてくるにゃ」


「大丈夫なのか? 俺はその場所知らないし、でっぱりも知らないんだろ。迷子とかにならないか?」


「大丈夫にゃ。でっぱりはしっぽがレーダーににゃってるから、絶対に元の場所に戻って来れるにゃ」


「本当に気をつけてぴょん」


「本当に何もないようにするにゃ。ちょっとうろうろして見るだけにゃ」


「……、他の子にはうまく言っておくぴょん。タジマくん、何かあったら許さないぴょん」


「はい、まぁなんとかしますよ」


最悪の場合、異臭騒ぎ作戦で逃げる。そのあと町に出れなくなるが。


「……、これを持って行くと安全だぴょん。でっぱり、これをつけておくぴょん」


わるものさんが、チョーカーのようなものをでっぱりに渡す。


「これは、わるものちゃんのお母さんの形見だにゃん。どうして渡してくれるにゃん?」


「このチョーカーは、私のお母さんがつけていた奴隷の証だぴょん。これをつけていれば、でっぱりはタジマくんの所有物になるから、危険度が下がるぴょん」


「なるほど。でも奴隷扱いをしても大丈夫なのか? 平等な国じゃないのか?」


「それは大丈夫にゃ。サンタマリアにも奴隷はいるにゃ」


うーん、やっぱり奴隷の存在は必要なのか。まぁ、俺には関係ないけど。


「ありがとにゃん。一旦借りておくにゃん」


そんなこんなで、俺とでっぱりは村を出た。


本当に大丈夫なのか不安で仕方なかったのだが、でっぱりのおねだりにどうしても首を横に振ることはできなかった。


まぁ、ヒトガタに対して温和な土地柄だというし、大丈夫だよね。



「にゃ~、ヒトの町にゃ~」


目をきらきらさせ、耳と尻尾をご機嫌にして、サンタマリアの町を歩くでっぱり。


俺にとっても、まともに町を見れたのはここに来て初めてだったし、悪意の無い目線を向けられるのが、平和でほんとうに心地よかった。


サンタマリアの町は、俺が召還された場所……、ライニングだったかな。の町をそんなにしっかり見ていないから、単純に比較はできないが、それでも十分町に活気はあるのは分かった。


ちゃんと商売もされていて、装飾品のお店もあるということは、生活水準が低くないということだろう。


そして、何よりヒトガタの姿が目立った。


あまり記憶はないが、ライニングの町では、ほとんどヒトしか見かけなかったのに対し、こちらはヒトガタが普通にいた。


「どうしてサンタマリア国はこんなにヒトガタがいるんだ? 確かヒトとヒトガタはあまり仲がよくないんじゃなかったのか?」


「普通はそうにゃ。このサンタマリアだけが、法律でヒトとヒトガタを平等に扱うようにしているにゃ。あ、地図があるにゃ。これで分かりやすいにゃ」


でっぱりが俺の手を引いて、本屋の前にある看板につれてくる。


そこには、世界地図のような大きな地図が載っていた。


その地図は、南1国をのぞいて陸続きであり、真ん中に大きな国が1つあって、その周りに4つ国があり、合計6国あるのが伺えた。たとえるなら、アフリカ大陸というか、そう言う感じの大陸だった。


「えーとにゃ。でっぱり達がいるにょが、このライニング王国とロロロレ王国とサンタマリア帝国の間の山にゃ。場所としては、ロロロレに該当するにゃ」


でっぱりが指を指したのは、左上と真ん中と左下。どうやら俺が召還されたライニングは、最も北西の国のようだ。中心じゃなかったのか。


「右上にょ国が、ヘス王国にゃ。そして、その下が、左からロロロレ王国とトトトトッソ王国にゃ」


「下の2国がカオスだな」


噛まずにいえる自信がない。


「そしてにゃ。海を挟んで一カ国だけあるにょが、ユクタビ王国にゃ」


でっぱりの説明でようやく俺はこの世界の地理を理解できた。それだけでもなんとなく安心する。


「なんでこのサンタマリアだけ帝国なんだ?」


「サンタマリアも元々は王国にゃ。これは伝説にゃんだけど、大昔に異世界から召還されたヒトが、1回この世界をユクタビ以外全て制覇して、帝国ににゃったにょにゃ。周りの4国は全部サンタマリアから独立して王国を築いたにょにゃ。でもその時の思想で大きく分かれてしまったにょにゃ……」


「どういうことだ?」


「ヒトにもヒトガタにも差別感情が無ければ、そのままサンタマリア帝国にいればいいにゃ。にゃけど、やっぱりどこかお互いへの敵対感情はどうしてもあるにゃ。それで、最初はヒトだけの国でライニング、ヒトガタだけの国でロロロレが成立したにゃ。その後、ヒトガタに対して、より強い敵愾心を持つ国として、ヒトの国ヘス、ヒトに対してより強い敵愾心を持つ国として、ヒトガタの国トトトトッソができたにゃ。ユクタビは魔王の国にゃ。ヒトからもヒトガタからも警戒される国にゃ」


「じゃあうらないさんやかなずちさんは」


「そうにゃ。ロロロレ出身にゃ。たまに戻ってるのは、ロロロレに行って周りに疑われないようにしてるにゃ」


「ここでもヒトデナシは駄目なのか?」


「駄目にゃ。法律で平等とか、比較的お互い友好だとはいっても、やっぱり異種族間の関係はご法度にゃ。一応サンタマリアは法律でそれを禁じようとしたけどにゃ、戦争ににゃりそうだったから、多分駄目にゃ」


「サンタマリアが1番偉い国じゃないのか? 帝国だろ?」


「そういうわけでもにゃいにゃ。いくらサンタマリアが大きくても、周りの4国を同時に敵にできるわけじゃないにゃ」


「ほー、なるほどな」


「もしサンタマリア帝国が昔みたいに、圧倒的な力を取り戻してくれれば、でっぱりたちももう少し堂々としてられるのににゃ」


「昔は大丈夫だったのか?」


「そうらしいにゃ。少にゃくともトトトトッソとヘスの過激派が出るまでは、ヒトデナシもある程度は普通に大丈夫だったらしいにゃし、ヒトデナシという言葉じたいにゃかったそうにゃ。この過激派2国が戦争が圧倒的に強いから、あまりおおっぴらにはできにゃいにゃ。ヒトガタとヒトがある程度にゃかがいいことすら、この2国は嫌で、たまに人攫いや殺人とか、テロが起きることもあるそうにゃ」


「でっぱりめっちゃ詳しいな」


「いつもこの町の噂を聞き耳立ててたにゃ。情報にゃら任せてにゃ」


でっぱりがテンション高く話してくれたおかげで、かなりこの世界に詳しくなれた。


つまりは、でっぱりたちがいるのが、比較的安全なロロロレとサンタマリアの近くの山だった。


俺はけっこうライニングから歩いていたことが分かった。サンタマリアめっちゃ近かったからな。


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