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異世界に呼ばれて追い出されて神様に会う

「よし、後は自分で何とかしろ」


俺は屈強な兵士に捨てられて、地面にもののように置かれる。


体を起こして後ろを振り返るともう姿は無い。ずっとかぶとみたいなものを被っていたから、顔はついに分からなかった。


さて、俺の名前は田島修二。


簡単に言うとここは異世界であると思われる。というかそうだ。


ちょっと前まで学校にいたら、俺を含めて何人かが呼ばれて、俺以外はなんかすごい能力持ってて、俺は戦いに向かない能力持ってて、追い出されて今に至るというわけだ。


さて、どうすればいいんだろうな。


大体俺の能力はひどいもんだ。自分ではよく分からんが、周りの反応を見れば分かる。


俺と一緒に何人か来た友人は、やれ武器なら何でも使える英雄だとか、やれ全ての魔法が使える賢者やら、やれ回復スキルがある治癒士だとか、1番すごいやつは時間を止める能力まで持ってやがった。時間止めれりゃ絶対もう負けないじゃん。


いわゆる最高ランクの能力ってやつだな。この4人が明らかにすごくて、あとはちらほらすごいのとかがいたと思うが、追い出されたのは間違いなく俺1人。


さて俺の能力は、やたらと臭いという能力であった。


確かにここに来たときから、妙に人が周りからの目線が変な感じはしていた。呼ばれてすぐはそれどころじゃなかったので別になんとも思わなかったが。


それで、なんかスキルをチェックしてるときに、俺のせいだとばれて、追い出されました。


俺を連れて来た兵士が兜を被っていたのは、匂い避けのためらしい。まったく失敬な。


「別に能力とかいらねぇけどさ。戦うのとかめんどいし」


俺の人生というのはそういうものだ。というか、俺に限らず他力本願な人間は多くないと思う。


実際世の中には、どうしてもいないとまずい人というのはあまりいない。そういう人は、自分の人生を楽しむのではなく、世の中のために身を粉にする。


時々いるのだ。人間としての人生を生きるためではなく、世の中の発展のためだけに生きる人というもの。


才能あふれる人間はそうしなければならない。力のあるものは、そのために力を振るわされるのだ。


だからある意味力がない、能力が無いというのは、自分の好き勝手にできるので、幸せではある。


要は、能力が無いなら、能力のある人に任せて平和に生きとけばいい。


ちょっとだけ聞こえてきたが、何か魔王的なものを倒せば、帰れることになる的な話が聞こえてきたので、

なんとか俺は生きぬいときゃ、そのうち帰れるはずだ。


だが、この能力は単純に生きるのに邪魔臭い。本当に邪魔臭い。


『タラリラリラ~。神参上』


いかん。幻聴が聞こえてきたか。早く食料と水をちゃんと確保したほうがいいな。幸い森は綺麗だし。


『ちょいちょいちょい。こんな神々しい声を無視すんなよ』


「声は確かに天使の声ですけど、内容があまりにも聞き苦しいので。俺は頭のおかしいやつとは話さない主義です」


『まぁまぁ。いろいろ話したいこともあるし、君もいろいろ聞きたいだろ? 本当だろうが、嘘だろうが情報は欲しくない?』


「まぁそうですね」


この自称神にも一理ある。仮に神ではなくても、俺よりはここのことを知ってるかもしれん。


「とりあえず、俺のこの能力を説明してくれませんか」


『うんうん、そうだよね。えーとね。ここには君以外も何人か呼ばれたと思うけど、これははじめてじゃないんだ。この世界がピンチになると、この世界の人が、召還魔法を行って、他の世界から人を呼ぶんだ。その人は、たいてい最高ランクの能力を持っててそれで世界を救ってくれるんだよ』


「じゃあ俺のこの能力でも世界は救えるんですか?」


『いやいや。ただ単に臭いだけで何すんの?』


「真顔で言うのは勘弁してください」


『まぁこれはこっちの不手際なんだ。実は召還されるときに神である僕がどんな能力にするか決めてるんだ。大体みんなすごい能力もってるけど、その中でも高いランクの能力の持ち主の子も何人か選ぶんだ。召還される子の仲にも差をつけとくと、自然とリーダー格が決まって、統率がとれるからね。それで、君の最強ランクの能力を与える予定だったんだけど、〔最強ランクの能力〕じゃなくて、〔最強のRANK能力〕がついちゃったんだ。ごめんごめん、けっこう久々だったから入力間違えちゃった』


「それはどう違うんですか?」


『うーん、RANKには、名詞だとくらいとかの意味があるんだけど、形容詞になると「とても臭い」的な意味になるんだ。本来は入力したときに間違えるとエラーが起こるんだけど、うまいこと通っちゃったみたいでね』


「えらい大迷惑なミスですね。俺は別に戦えなくてもいいんですけど、これじゃ街中を歩けないんですが」


『もちろん。その説明のために来たんだよ。神様も本当は暇じゃないんだけど、わざわざ呼んどいて、野垂れ死にさせたら、給料に響くからね』


「さっきからちょいちょいお役所みたいなこと言ってるのか気になるんですけど?」


入力とかミスとか給料とか。


『最近は皆が神様を望みすぎて、神様が増えたからね。うまいことお役所仕事にしないと全員に仕事がいきわたらないから。数が多いからミスはフォローしないと怒られちゃう』


「何か大変そうですね。で、何してくれるんですか?」


『えーと、まずはこれを渡しとこうと思ってね』


神から渡されたのは、やたらと分厚い本のようなもの。タウン○ージくらいある。


「なんですかこれ?」


『説明書。いいでしょ。自分の能力の説明書なんて超レアだよ』


「すげぇ読みにくいです。分厚いのに文字が小さくて」


『でも便利だよ。普通はわかんないよ。ゲームとかだと、レベルいくつになったら技を覚えるとか、進化するとか、倒す敵によって、能力の伸び方が変わるとかあるじゃん。それこそ細かい説明があってさ』


「それは分かります」


俺はポケ○ンとかドラ○エとかやってたからな。そういう攻略本は持っている。


『つまりこれは君専用の自分の説明書ってわけさ。今君、というか、ここに召還された時点ではレベル1だけど、レベルを上げれば覚えれる技も書いてあるのはもちろん、どうやってレベルを上げるかによって能力の伸び方が変わるのかまで詳しく書いてあるんだよ、というか、そこを細かく書きすぎて分厚いんだけどね。ぶっちゃけ、そこを気にしないなら最初の1割くらいがあれば大体なんとなかるよ。そっちの簡易版もつけとくね』


「あなたをはじめて神だと思えました」


携帯電話の説明書がやたら分厚くて、必要最低限の説明だけがある簡易版の説明書は欲しいと思っていた。

そういう気遣いは神ってる。


『さて、これだけでもすごいんだけど、今回は大サービス! 本来レベルを上げないと得られない能力を2つまで教えてあげるんだよ! お勧めも書いといたから、分かんなかったらそれ使ってね!』


「神様の神対応……」


さて、その簡易版のほうには星マークがついて、お勧めと書いてある。


レベル1  ランク1→とりあえずずっと臭い←今これ!

レベル10 ランク2→とりあえずずっとめちゃ臭い

レベル20 ランク3→とりあえずずっとものすごく臭い

レベル30 フレグランス→最大1時間無臭になる。

レベル40 ブラッドスメル→常時臭い状態ではなくなる。血液が本人を離れると臭くなる。その匂いはランク1と同じである。

レベル50 セパレートランク1→常時臭い状態ではなくなる。分泌物が本人の体を離れたとたん臭くなる。その匂いはランク2と同じである。

レベル60 セパレートランク2→常時臭い状態ではなくなる。分泌物が本人の指から離れると臭くなる。その匂いはランク3と同じである ☆神のススメ!

レベル70 オリジナルフェロモン→特定の種族にだけ好意的になられる香りになる ☆神のススメ!

レベル80 ダイレクトフェチ→常時異臭レベル3の匂いを一定の範囲の相手に強制的に嗅がせる。

レベル90 インフェクトラ1→自分の体液に触れた相手を一次的に同じ匂いにする。本人がインフェクトラを解除するまでは絶対に解除されない。

レベル95 インフェクトラ2→自分の体液に触れた相手を永久的に同じ匂いにする。解除不可。

レベル100????????→レベル100になると開放。


「なるほど、ちなみにこれは、今2個決めないと駄目ですか?」


「うーん、そうだね。できないことはないんだけど、後々問題になったりしてできなくなるともう駄目だよ。上が最近こういうのうるさくてね。あんまり個人個人に対応してると結果的に全員に遅れが出ちゃうからさ。できればここで済ませて」


「そっか、まぁ別にいいです。詳しい説明がほしいですね。ちょっとこれだけじゃ分かりにくいので」


「詳しくは説明書にあるけど……、まぁお勧めしてるしサービスしちゃうかな、ブラッドスメルは、基本的には臭くないんだけど、血を流したりすると、今と同じ匂いが自然に出ちゃうんだ。怪我さえしなければ常人と同じになるし、匂いもそこまできつくないから、あまり使いどころは無いと思うよ。セパレートランク1は血液だけじゃなくて、汗とか涙も同じ効力を持つようになる。それの2はそれを更に限定的にした感じ。これだとほぼ無意識に飛ばせないけど、指から狙いを定めれば、一定の方向に向けることもできるんだ。ある程度戦いに使うなら、こいれがお勧めだよ」


「そっか、じゃあ1つははお勧めのレベル60をもらいますよ」


「OK、もう1個は?」


「レベル90ですかね」


「おっ? こっちはお勧めじゃないね。フェロモンはいいよ。ハーレム作れるよ?」


「いや、ハーレムとかいらないですし。俺は普通にもとの世界に帰りたいし、それならここに余計なしがらみを持ち込みたくないので」


「別に持ち帰ってもいいんだけど? テイクアウト可能だよ」


「持ち帰りませんよ」


「イートインですか」


「どこのファーストフードの店員ですか」


何で神様が、テイクアウトはまだしもイートインを知ってんだ。一般的じゃないだろ。


『まぁいいや。じゃあこんも2個をあげとくから。ヒラヒラ~』


口で言いながら手を振る。基本的に軽いなこの神様。


『さてさて、どうなっていくんだろうね~。これで君が結果を残してくれたら、面白いことになりそうだね~』


「何で楽しそうなんです?」


「えーとね。ちゃんと説明書があるってことは、この能力は君だけの突然変異ってわけじゃないんだよ。こっちの手違いだからもともとチート能力じゃないちょっと強いくらいの能力だから、これを普通に持ってた人もいたんだよ。もちろん、ろくなことになってないけどね」


「そりゃそうですよね」


レベルを上げる方法もさっぱり分からんし、レベル30までずっと臭いまんまなんだもん。社会生活を送れるとは思えん。戦える気もしない。


「大抵は野垂れ死にさ。だから、最近はこの能力を渡してることはなかったけど、君というイレギュラーを得たこの能力が、どんな影響をこの世の中に及ぼすか今から楽しみさ。じゃ、また気まぐれに来るかもしれないし、呼んでくれたとき都合よければ来るかもだから。できれば、生きて出会えますように。ちなみに、スキルは常に1個しかつけられないけど、いつでも入れ替え可能だから」


そういって神は去っていった。


「えーと、今俺はランク1の能力がついてるから、これをセパレートランク2に変更してと」


『変更完了しました』


神に言われたとおりにしてみると、頭の中に変更を知らせる声が知らされた。誰の声だ?


まぁそんなことはいい。これで匂いがもれ続けることはないということだ。これなら町に繰り出せる。

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