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衝動系作品

依存

作者: サキバ

依存の仕方にも種類はある。

これは当たり前だ。

薬物だったり、偏食だったり。それをさらに細かくだって分けられる。

だから当たり前のように流行りもある。


そんなことを私が理解したのはここ最近だ。

昔から何かに依存する性質だった。

子供の時は大きな積み木やさび付いたブランコ、そして赤いランドセル。

そして少し成長すると誰かの物に興味を持つようになった。

使いかけの消しゴムや、ばねのないペン。

完全ではないものに強く惹かれた。新品でないものを愛することが尊くさえ感じた。私はその価値観と何かが欠けたものに依存した。


そして今私は依存すべきものを探している。

私の中での流行を感じ取ろうとする。


だから知り合いの薬物中毒者や偏食家に話を聞いたりもした。


ある薬物中毒者は言った。


「コカインは良い。覚せい剤も良い。最近のハーブだって気分を落ち着けてくれる。ああ、煙草も何も言われないからありがたいな」


ある偏食家は言った。


「もう僕はマヨネーズがないと死んでしまう。マヨネーズは完全で不変だ。そう、とても素晴らしい」


私は薬物に手を出そうとしたがそれでは薬物中毒者に失礼だと思いやめた。

私は偏食にでもなろうかと思ったが偏食家の美学を汚してしまうようでそれもやめた。


私は何に依存しようか。何が私を落ち着けてくれる。

物か?食品か?人か?それとも思想か?

どれもはっきりとしない。しっくりと来ない。

今の流行はいったいなんだ?私の中のブームはいったいなんだ?

探しても探しても流行は見つからない。

なににも依存できない。

薬物中毒者が羨ましい。

偏食家が妬ましい。

一つのものに依存できない私はいつだって何かを探している。

依存するための依り代を。私を守ってくれる砦を。

もしかしたら私はそんな私に依存しているのかもしれない。

依存する私に強く依存しているのかもしれない。ずっとずっと。


「だったら嬉しいな」


ある依存者はそう言った。

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