覚醒、受け継がれた能力6
「俺のちんけな身体じゃ、受け止めるだけで精一杯かよ……」
ナイトメアの突き立てた剣に、シキの血が滴る。
傷は深く周りの肉が引きつる。
急所には刺さらなかったが、右肩を貫かれた。
ギリギリのところで無理矢理剣の軌道を変え、身を盾にシキはユイを守ったのだ。
すぐさま付随するビットからシンマネ弾を射出して、ナイトメアを倒し、剣から逃れたが。
「シキくんっ!シキくんっ!」
その傷口は大きく、とめどなく鮮血が溢れ、彼はついに膝をつく。
「傷が大きすぎるよ!」
「場所が場所だから、大丈夫ですよ」
「いつもそうだよね!私の為だけじゃない、あらゆることに全力で、そのくせ誰かに頼ったりしないで全部やろうとする!」
「そうですか?」
「アルフレーガシで私達再会できた時だってそう。私だって欲しいよ!!その痛みが欲しいんだよ!ユウゼンくんだって……意地っ張り!」
瞳の底には嵐が吹き荒び、ユイは動かぬ身体を必死に動かそうとする。
「いいんすよ……今に限っては死にはしないし、この傷はアルフレーガシの時とは違う。それよりもそんな顔しないで。そんな顔して色々言われると気恥ずかしくなっちまう」
シキはまだ辛うじて動ける。
そして右手を気力の限りに酷使して、髪がくしゃくしゃになるまでユイの頭を撫でて見せた。
こんな状況でも彼女は気持ち良さそうに目を細めた。
こんなふうに、誰かに撫でてもらいたかったから。
「ヒトの身体はタンパク質って言うものが集合して出来ているらしい。それは本来この世にはないものだ。だがナイトメア達は違う。あいつらの身体は強固なシンマネが幾重にも重なって出来てる。だから傷を負っても血が出ないし、痛みも感じない。でも俺はね、この違いが、俺たちにしか味わえないこの感覚が嫌ってわけじゃない」
「だって俺は、ユイが側に居てくれれば、どんな痛みだって怖くない」




