崩壊24.1
ここから話すのはシキとユウゼンの邂逅の話。
壮絶な人生と、訪れる運命が、これから二人に何をもたらすのだろう。
いつ頃だっただろう。
雨の降りしきるオルレアンに、骨に皮がくっついただけのような、それはもう哀れな生き物が、のたれ死ぬだけだと言わんばかりに、建物の隙間の小道で座り込んでいた。
本当に幼い年で、赤子と子供の境界線を漂う様相を呈している。
数ならぬ身。
「子供……こんな所で何してるんだい?」
「あー?」
言葉も知らない赤子のような何かは、虫が集り、変色したパンをじっと見つめていた。
彼に話しかけ、濡れないようにと傘を差し、そっと静かに微笑む少年の風貌をした男。
もう二人は、とうに昔のオルレアンで会っているのだ。
「とりあえずウチにおいで。そうじゃないと大変だよ?」
ユウゼンは糞にまみれた道を這いずり、死にかけた子供を連れ出そうと手を差し伸べる。
その手をつかもうと、子供は手を伸ばす。
と見せかけて。
「わっぶっ!?」
野糞を手で掬い、ユウゼンの顔にぶち当たる。
そのあまりの衝撃的な行動と臭さから思わず手で必死に払い、落ち着いた時には。
「いない……」
「上等だよ……このガキァ……」
今まで見た事がないほど、目の色を変えて、怒りを露わにした。
「まてェ!」
幼い体躯を利用して、すばしっこく、ユウゼンの追跡を流れるシキ。
やがて、街から外れた場所まで逃げ、岩が不安定な場所まで登り、上からユウゼンを見下ろす形に。
「追い詰めたぞ……子供のクセしてすばっしこい……いや、子供だからこそなのか」
息を切らしながらユウゼンはそう言うと、シキはニヤリと笑った、ような気が。
そして岩の隙間に挟まる小石だけをユウゼンめがけて蹴る。
「そんなもの、痛くもないよ!いいからおいでよ!」
小石は軌道を見切られたユウゼンによって回避される。
しかし、本命は。
「うわぁ!」
瞬間、突然巨大な岩がユウゼンめがけて転がり落ちてくるではないか。
「この岩場を登る途中であの小石が岩を支えていたのを見ていたのか」
「頭いいな!キミ!」




