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アルフレーガシ18
屋敷の中には、まずユイさんが足を踏み入れた。
その次にウィザーさんが足を踏み入れた。
そうして漸く僕もお邪魔しようかと思い足を進めたその時。
「んぅ」
ウィザーさんはピクリとも動かないまま、その場に立ち尽くしてしまった。
「……」
「ウィザー?おーい」
「これ、もしかすると、眠っているんじゃないの?」
横から顔を覗き込むように拝見すると。
もう完全に寝ていたのがわかった。
「……んはっ!?ここは……」
「大変だったね……とりあえず、寝てていいよ」
「いえ、仮眠をとっておりました故、大丈夫です」
仮眠とは……
「メイドたるもの、最低限の睡眠は必ず摂り、万事に備えるものです。それが今だったのです」
「ウィザー、私は大丈夫だから、おやすみ」
「むぅ……」
ウィザーは不満そうに振り返り、フラついた足取りで廊下を歩いて行った。
「はははは……大切にされているんですね」
「そうだね」
素っ気のない返事に違和感
最近になってこの世界に足を踏み入れた僕からは、嘘みたいで規格外な力を持つ存在に見えてしょうがなかった。
だから、今になってこの時の違和感にも気付かなかったのかもしれない。