アルフレーガシ17
また朝日が昇り、すぐに修行を再開した。
僕には、この技をなんとかモノにしてやろうという覚悟を決めるに至った動機が出来た。
それを他者に背負わせたのは気が引けるような、後ろ髪引かれるような感覚があったけど、力を手に入れることにはなんのためらいもない。
そんな想いを固めながら足をユイさんの元へ運んでいくと。
一人の使用人らしき者が、ユイさんの元へ駆け寄り、声を荒げていた。
「こんな朝から誰がシンマネを貰い受けにくると!?いい加減やめて戻ってきなさい!」
「あ、燦くん!助けて!めんどい人に絡まれてる!」
「はぁ……?」
ユイさんはたまに、自身の家に帰る事があった。
どうしてもシンマネに触れ続けた代償に、疲労が蓄積された時が帰る時である。
いや、観察眼に優れた彼女の使用人が無理矢理連れてくるのだ。
「とっとと帰っておいでなさい。貴方が無理をすればするほど私の立場が悪くなるのですよ」
「あはは、ごめんなさい」
「というより私は前々から、貴方がこのようなことをする必要はもうないように感じています。もうそろそろ自由になられてみては?」
「うーん、もうちょっとだけ頑張ってみようかなー、と。もっとここに住むナイトメアが増えてくれれば、それで大丈夫になると思うから」
「その前に貴方が大丈夫じゃなくなってしまいます。無限に使えるシンマネを大衆向けに最適化して配り続けるなど、正気の沙汰じゃありません」
この人は本当にユイさんを心配してくれて、ユイさんもそれを感じているからこそ、心を許していると言った感じだ。
家はアルフレーガシの中央部から少し外れた場所に位置するらしく、僕もまた。居合わせたところを無理矢理連れてこられた。
「貴方、一体何者ですか?ユイと同じ感じがする、とても不思議なナイトメアです」
「すいません、代わりに私が紹介しますね。彼女の名前はウィザー、いろいろあって私の相棒になってくれて、あらゆるシンマネを感知して、その人の色々な情報を読み取れる頼れるナイトメアです」
「私以上に私の体調の具合が分かったりするから、ウィザー以上に私の相棒になり得るナイトメアはいない」
「ウィザー、この人は私の友達で、私と同じヒトなの」
「な、なんですと……道理で」
ウィザーは途端に焦った様子で、尚も僕を観察するように見ていた。
気まずさと落ち着かない環境の中、なんとか僕たちはユイさんの住む家に着いた。
「で、でかい……」
家というより、屋敷だった。