アルフレーガシ16
シキは僕に肩を貸してくれた。
年は下にも関わらず、その腕は逞しく。
頼り甲斐さえ感じさせた。
アゲハに追い縋る程のキレを持つのは、流石だと思える。
「無茶をして……ごめん」
「いいんだ。俺は自分の事を棚に上げてモノを言うことはしない」
「お前は俺によく似てる、集中しすぎると周りが見えなくなる所とかな」
「ああー、うん。わかる」
「後は【大変だ】って分かっている事をあえて選んでしまう所か」
その言葉に何処と無くいつもと違う雰囲気を読み取る。
「ジャンヌはそんな俺を見て憤ったんだろうな。自ら険しい道を歩いていくように見えて」
その時のシキの瞳は揺れる事なく、まっすぐに前を見つめていた。
「俺は、俺にできることが何なのか。ひたすら考えていた。ジャンヌのような力と統率で仲間を引っ張っていける人にはなれない」
「シンマネで全てを守りきったユイさんのようにもなれない。アゲハを討つ程の力もない。」
「俺は、俺が今まで見てきた奴らの代わりにはなれないし、知らない事も沢山あんだ」
「だが、それでも。俺にしか出来ないことが、出来る事がやっと見つかったよ。何番煎じでもいい」
「アゲハがこの世界の脅威になるなら、俺が奴をぶっ飛ばす。誰も傷つけさせたくねえ」
今にして思うと、シキの不得手な紅慶刃はその一心でなんとかモノにしたんだろう。
悔しかったろうな、完成させられなくて……
シキが抱えていた思いには、一切の反論の余地もなく。
一度決めたら遂げたくなるのは、僕も同じだ。
今日の彼は、とても喋りたがっていた。