アルフレーガシ14
僕はシキと同行している事を話した。
その経緯も。
「ふふ……」
月明かりの光だけが、街を照らしていた。
クスりと笑うユイさんが垣間見える。
やはり儚げに憂いているような表情は、今にも存在が消えてしまいそうで。
「何かに必死になって、シンマネを使ってくれるヒト」
「ん?」
「何度も来てたの、見てたから」
「ああー、ちょっとシキに技を教えてもらってて」
「技……?」
「すごく習得するのが難しいんだ。シキのお母さんくらいしかまともに使える人はいなかったらしい」
「へぇ〜、じゃあ習得できたら私のおかげってことね」
「そうですねぇ」
「いいなあーシキくんの旅」
いいよ、来なよ。
そう言いたかった。
しかし街の要は彼女そのものであり、何度も来たからこそ分かる。
街の人々はユイさんをとても大事にしている。
だからこそ、揺れる天秤に頭を悩ませているだろう。
かつての友達と一緒に行きたい気持ちと、ここまで発展させた街に対する責任。
「多分私、行けないだろうから。やっぱり絵を描いてくれない?私の遥か祖先はこことは別の世界に住んでいたらしくて、その世界は色々な生き物に囲まれて共に生きていて、楽しそう……」
「だから生き物の別の絵、なんでもいいから……」
僕は即決出来た。
「うん、約束だ」
絶対に習得して、必ず恩を返そうと思えた。
「必ずジャンヌさんの技を僕が使えるようになって、必ず描くよ」
「ジャンヌは本当に強かった。頑張って」
僕と同じヒトなのに、纏う雰囲気が全然違う。
やはり別世界のヒトなんだ。