オルレアン奪還作戦11
燃え盛る火炎があらゆる方向から飛んでくる。
いよいよ、攻めて来ましたか。
戦闘本能に身をゆだねたまま、火炎を無尽蔵に飛ばしてくる。
シーセルは疑問だった。
彼に与えたダメージはどうなっているのでしょうか。
少なくとも致命傷にはなっているはずなんです、経験上他の方ならもう立つことさえできないはずなのに。
一旦距離を取りたいけど逃げ場はなくならゆる方向から飛んでくる。
「捕まえたァ!」
一瞬気がそれたシーセルの足を、手をかたどる炎の手が鷲掴む。
炎に直接触れられるゆえ、普通ならダメージに対してあまりの苦しみからよろけるだろうが、シーセルは違う。
彼は焼けるダメージをものともせず、シンマネで硬質化した手を、掴まれている足とは逆の足で
「ッラァアアッ!」
大きく蹴り上げ、脱出した。
「やる!」
一旦の脱出を果たしたシーセルにライは
【ブレイヴ・ハンド・グングニル】
ライが掲げる手がそのまま巨大化したような、炎の手が更に彼を追尾する。
「これは、ユイさんと同じ!」
自動追尾弾、彼もまた、シンマネコントロールの手段の一つとしてグングニルを習得していた。
逆にこうして攻撃に意識を固めているということならば、ぼくの攻撃も更に通りやすくなっているはずだ。
何故、こちらのダメージがあまり入っていないようにぼくが感じているのか、その疑問を確かめましょう!
参謀役としても慕われている彼。
信頼の理由は、なんの才能もないと蔑まれた中でもあきらめずに実力をつけてきたその過程が一番の理由ではあるが、わからない事をまず自分で確かめようとするバイタリティも大きな部分を占めていた。
なんとか攻撃のスキマを縫うように接近して見る。
見た所傷は負っているように見えたが。
もっと近づかなければわからない。
「そこです!」
死角に潜り込んで、むき出しの後頭部を狙おうとしたが。
「それはもう読めてんだよ!」
すぐに振り返り、手をかざし、火炎を展開する。
が。
「何だと!」
焼かれているはずのシーセルがいない。
努力と自信は表裏一体で、自分の中の可能性を信じられないと、目標に向かって歩くことは難しい。
あの時シキさんは、打ちのめされていた使いどころもわからないようなぼくにそれを教えてくれた。
バカになる方法を教えてくれたんだ。
狂気の先にある冷静を使って、ぼくはシキさんを守る。
「とったッ!」