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雑音ステップ 〜ALONE〜  作者: 白井 雲
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心の在り処8

「まさか飛べるようになるほどに力をつけていたなんてね、ふっ!」



それらをかわし、こちらも鋭く研ぎ澄まされた無数の刃を上空の彼に飛ばす。



「お前の力じゃ、俺には届かない。氷を使う能力では何が出来るんだ」



「違う!今は……」



「何が違う!」



「お前の力と憎しみを、結局誰も受け止められずに、あの街の住人はのうのうと生きてきた!だから滅ぼされかけて、ブレーキ共に付け入る隙を作らせてしまった!」



指差す方には高いところから見下ろせるオルレアン。



「母に力を擦り付けられ、街の人々はみなお前を恐れて、憎んだ。昔言ってただろ!オレと戦っている時が一番安らげる時間だったのだと!」



すっかり街の建造物は様変わりし、あのころみていたものとは決して違うものにはなってしまっている。



「オレも昔は誰にも必要とされないナイトメアだったが、アゲハがオレを必要としてくれていて、きっとそれが悪いことなのだと分かっていたけど!」



見はらしとしては素晴しいものだったが、どれだけ眺めていても楽しい気分にはなれなかった。



「オレはこうして戦える相手に出会うために、ここまで生きてきたァ!」



全てがよそよそしく、そしてどこかしら異教的だった。






あちらも翼をはためかせ回避に専念したその隙に。



「そうなんだ。その結果が私の力を増幅させて……」



氷で作った弓を引いて、矢を放つ。



するどいひびきをたてて空気を裂き、彼の中心めがけて天かける。



「超密硬度の矢を!」



溶かすまでもないと思い、同じように回避行動をとるも。



まるで彼の元に誘導されるかのように矢は向きをかえて飛んでくる。



「あの景色を見ると悲しい気持ちにはなるけど。夜も眠れないほどあれを憎んだ事もあったけど……あれから時間が経ってたくさんの人達と出会っていく内に憎しみも凍りついたよ」



狼狽したような瞬きをするも、手の平の周辺に燃え盛る真っ赤な炎を作り、氷を食い止めるが。



即座に二本目の矢を、さっきよりもより巨大なサイズのものを打ちだし、誘導をかけながら身動きを封じられた彼の元へ向かわせる。



「その凍りついた憎しみを、お父さんとシキくんが溶かしていっちゃった」



「二本目だと!」



さらに続いて二本目が解けかけた一本目の矢に着弾し、お互いが砕け散った衝撃で、制動力を失ったその一瞬で。



「桜水練(グングニルact2)!」



ユイの周囲に一瞬で生成した数多の弓矢を空中に留まらせ、プログラムされた殺意がそれぞれに自律的に弓を引いた。



その数100セット。



「だからもう、大丈夫だよ。ありがと」



戦いにおいて効率的にシンマネを吐き出す力。



背に添えられた真紅の翼を全て防御に回した。



彼はワンマンアーミーとも言えるほどのナイトメアではあったが、無尽蔵にシンマネを持ったユイとは違う。



扱えるシンマネには限界がある。



「感謝される謂れなど、オレにはない!!」



無数に追尾する矢が彼の周りに吹きすさぶ炎に溶かされゆく。






まっすぐに立ちのぼる蒸気が、ユイの姿を霞ませている。




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