心の在り処4
あれから少し時間が経って、僕らは集落の片隅で少し揉めた。
「なんでとめたんですか?燦さん……」
「あなたはどこか別の世界から来たと聞きました。だったら黙ってて欲しかったです……あのヒトがわずらってるものは放置していればそう遠くない内、シキさん、必ず死んでしまいます」
「心に巣くう闇が、シンマネを全て奪い去り、自分で立つ事もままならなくなってしまう、しまいには半身が動かなくなって最後には、自分を失くしていきます……その原因を取り除くには、まずは知る事しかできない!じゃないと、どうしようもないじゃないですか!」
「その病気……この世界に住むみんなが知っているの?」
更にシーセルは声を荒げて言った。
「当たり前ですよ!!ぼく達ナイトメアには関係はないですよこんな病気!でもヒトは脆くて弱い……力も精神力も脆弱だ……!だからヒトはどんどん壊れてしまいどんどん少なくなってきています……きっとシキさんは……こんな世界をどうにかしたくて戦う事を決めたんだ」
「ぼくたち桜吹雪は散り行くヒトの想いを拾って、理不尽に抗うことを決めた。ヒトという生き物を守る為に結成された!シキさんはナイトメアもヒトも関係ないっていつも言うけど、こういう時に陥ったら、誰が個人を助けてあげられるんですかッ!!!」
これがナイトメアだっていうのか……
誰かの為にこんなに怒ったり出来るこの人が、元は鉄塊の奴らだと?
「優しい人達が集まった場所なんだね」
「何を……」
「ナイトメアは強いね……これまでの旅で感じた。そして君みたいに優しいのもいるんだ。知ってたけどさ。ヒトは弱いというのなら、壁が出来るのも道理なんじゃないのかな」
「こんなに沢山の仲間を一人で抱えて、心の闇が作られることがない世界でヒトを救う、そんな大きい事の為に立ち上がったシキ自身が闇を抱えてしまったのは、弱い生き物だって証でもあるんだって分かったんだ」
「そんなシキを理解しようとするのなら、まずは壁越しに話をする事だと、その時理解出来た。壁を作りたいならそれでもいいよと、思ってる」
「それ以上近づくなって、シキはぼくたちに言ってるとでも言うんですか?」
「かもしれないね」
「なんなんですかそれは……」
「近づくなって言われた時に『分かった』って言えるのが、分かり合う為の第一歩だから」
「くっそー……」
「桜吹雪が救おうとしているのは、そんな拗れに拗れ続けた者達だと思う」
「くっくくく……そんなめんどくさいのを助けようとしてるんですか、ぼくたちは」
「だね!もっともあいつは飛び切りだけど!」
「やりがいがある」