心の在り処1
「オルレアンってどんな場所だったの?」
燦の言葉に俺は首を傾げた。
オルレアンの付近に位置する集落、その長が空き部屋を貸してくれた。
椅子に座り、コップの水を啜り、対面しているこいつは俺の弟子であり、友だった。
一方俺はベッドで包帯を巻かれて、天井を見つめて、自分の今を見つめなおそうとしていた。
桜吹雪の襲撃から逃れ、オルレアンに向かう電撃的作戦の発動を決心したが、一人のナイトメアブレーキによって、俺とユイだけが分断させられ、20日間もの間メンバーの顔を見る事が出来ていなかったが、ようやくこうして合流出来たのだ。
「最悪な場所だったよ、お前も覚悟はしておいた方がいい」
「真剣に聞いてるんだけど」
「ヒトとナイトメアの間の隔たりの根深さや、この街を狙い続けるナイトメアブレーキの存在……それに対抗する為に代々受け継がせ存在を誇示させ続けた巫女」
燦は変に納得したような様子で、俺の顔を見ていた。
そうだ、こいつは何を考えているのか、よくわからん。
よくわからんやつだから、次はどんな反応をするのか、それが気になって色々口を滑らせてしまう。
「俺はあの街の人達に命を狙われてたんだよ」
「え……」
「狙われ続けても、何とか生きてたんだ。でも他に生き方を見出す事も出来ない。ずっとこんな街嫌いだったのに、ずっといた」
「なんで狙われてたの?」
「分からないな。でも基本的にはやつら何もしてこないんだよ、だけど丁度こんな雨の日だな。沢山降る日は、かなり危険だった」