覚醒、受け継がれた能力9
アカツキが奴の身体を掠めた瞬間、更に巨大な球体へ変貌し、二人を包む。
その絵図を見て、直感的に理解した。
ユウゼンの目論見は道連れなのだと。
「そんなこと、させるかッ!!」
「リベール!ゲフィアンズ・シルスだ!」
同時に脱兎の勢いで駆け出す。
フェンリル・パックを外し、何物をも斬る事ができない剣を一本発現させ、二人の元へそれを突き出す。
漆黒の球体の中へ入った剣からはシールドが展開され、間一髪のところで、ユウゼンの手を引き救出する。
化け物になろうが、父親である事には変わりはないのだ。
一人になったブレーキはそれを笑っているのか、自分が追い込まれているこの現実に笑っていた。
「良い技だ……このシンマネの感覚は今までに味わった事がなかった。あなたたちに挑んでよかったなぁ」
やがてアカツキの球体は縮んでゆき、敵を圧壊させていく。
「そして私はあなた達の関係というものに気づいてしまいました。命の尊さを感じられずにはいられないというものです。それではみなさん」
「さようなら」
アカツキが内包した全てを圧壊させると同時にその役目を果たしたかのように、霧散していく。
名前を知らないあいつ……あのシンマネだけをその身に受けることで、それだけで俺たちがただの他人ではないということを見抜いたっていうのかよ。
改めてそんなやつらを擁するアゲハのブレーキ軍団への恐ろしさを肌で感じる。