覚醒、受け継がれた能力8
『使えませんね〜〜〜』
『いやホントに使えない、なんでそんなに抵抗する?受け入れれば全て楽になってしまうのに。私のシンマネにはそういう力がある。無限の快楽が待っていますよ。ならそっちに飛びついた方がいいに決まってるでしょ』
ユウゼンの隣に立ってる奴のあの不敵な顔が、憎らしい。
「それが出来ないなら、もっと私のシンマネを取り込んでもらうしかないな!」
奴の手にボヤがかかる、不味い。
やめてくれ、それ以上テコ入れなんてされたら。
あいつは、あいつは!
「そいつに触るなぁあああああああ!!!」
そう叫び、ブレーキが触れた瞬間、ユウゼンが微笑んだような気がした。
『あの二人が希望を持ってこの場を繋いでくれたから、僕も諦めずに耐える事が出来た』
「なにっ!?」
『そして待っていたよ……お前が僕に触れてくれるこの瞬間を……!』
ユウゼンの手が動き、そのボヤがかかる手を掴んだ。
「バカな!こ、こいつ、動ける!抵抗しているのはわかっていたのに、まさかここまで私のシンマネを取り込めているとは……キサマッ!」
『故郷には帰らない……!帰らないが、僕はあの子たちを守る!スイだって、風の強い日を走ってきたんだ!』
『早めにッ!返してあげるよ!』
「離せ!クソが!!私に触るな!!!」
あれは、まさかっ!
「そんなまさかぁああ!!!」
シキの目には、涙が溢れる。
『はぁああああああッ!』
片方の手で作り出した漆黒の球体が、ユウゼンの命の叫びと共に困難を破壊する。
「弁慶刃!」