第1節 「孤島へ」
◆船 移動
修学旅行当日、学校生徒とそれを引率する先生方は、孤島へ向かう船に乗った。
デガラシ「やっぱり来たんですね!」
「デガラシが、行くっていうから、心配になって」
そして揺らり揺らり進み、変わり映えのしない景色にも飽きてきた頃、目的地に到着した。
◆流離島 船着き場からホテルへの道
孤島に着いた。生徒達はぞろぞろと船から降り、そして島唯一のホテルへ向かった。陸に上がったとき、人ごみの中、肩を叩かれる。「よ!」、ヘレネーがいた。生徒の行列は移動しているので、刃沼たちも進みながら会話をする。
刃沼「やぁ」
デガラシ「あれ! なぜここに? ヘレネーさんは違う学年だったはず」
ヘレネー「驚かせようと思って。あんまり驚かなくて残念」
デガラシ「びっくりさせるためだけに、わざわざ遠い所まで来たんですか」
ヘレネー「そうそう。……いや、本当はな、ヘルが心配になって、ついさっきここへ来たんだ。とーころが、ホテルで部屋は空いてない、なんて云われちゃって……。どうしよか」
デガラシ「あらら」
「こっそり部屋に泊まらせてくれない? 雨風寒さをしのげる、寝るとこさえあればいいんだ」
刃沼「そこ」
刃沼の指差す先には、「民宿ずんだら」の看板が、木の葉に隠れていた。
ヘレネー「民宿、あったのかア。空いてっかな」
ヘレネーは民宿ずんだらの方へ向かった。刃沼たちは生徒の流れとともにホテルへ入った。