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第6節 「異常変化」

◆広間

 広間で昼食を食べていた、刃沼とデガラシ。そこで奇声がつんざく。音のした方を見ると、口から泡を吹いたタコヤマが暴れているようだ。片手で頭を押さえ、片手で周囲の者を叩いている。目も血走っている。左目と右目で違う方を見ている。

「どうしたんでしょうね」

「憤慨したか、発作が起きたのかな?」

 タコヤマはしばらく暴れていたが、やがておさまった。そののちまた騒ぎが起きた。タコヤマを見ると、大人しく座っていた。今度はタコヤマではなくその取り巻きの一人が異常だった。頭が割れて、身体が溶けていくように見える。

デガラシ(あれはまるで、化け物と同じ……)

 猛獣の雄叫びが響く。その異常化した生徒が発したものだった。みんな、そちらを注視したまま動かない。場が緊張に包まれる。

 ズルズルズルズル

 依然として刃沼はざるそばを食べており、凍りついた雰囲気の中では、その音が妙に目立つ。

 異常化した生徒は、猛獣のように近くの人間に襲いかかった。相手の喉笛を噛み切った。悲鳴が広がる。あちこちで生徒が倒れる。刃沼は、食事をしながらも、頭の中では、手持ちの銃の残弾数を考えていた。もはや化け物となったそれは、かがみこんで人肉を噛みついていた。

デガラシ「刃沼、危ないですよ! 逃げましょう」

 広間に誰か駆け付けたようだ。突然入ってきたその大きな赤い影は、駆けるままに、化け物じみた生徒に近づく。その背中を、瓦割りするがごとく、手刀で叩き割った。うずくまる相手に、さらに跳びかかり、その大きな手で頭部を握り潰した。脳などの臓器を一部外にはみ出して、その化け物は動かなくなった。が、回りの生徒数人も失神して、動かなくなった。

レッドパス「これで十匹目だ……」

 レッドパスはその場にいる者に向かって語りかける。

レッドパス「おい! 聞け! 化け物は日に日に増えている。まだ収まる気配はない。自分の身は自分で守れ」

 それだけ云うと、立ち去った。

デガラシ「あの……刃沼、あの化け物、もしかして生徒……」

刃沼「化け物の元は生徒かもしれないね」

 刃沼は、どんぶり血飛沫ちしぶきが入らないよう、身体で遮りながら、ざるそばを食べ終わった。

「……」

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