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第1節 「異常」

 近未来、20XX年。地球に似た場所で。

◆獄牢町 早朝

 ここは「獄牢町ごくろうちょう」とう名の町。灰色の朝日の下、行き交う人々。刃沼はぬまは学校へ向っていた。その登校風景の中で見かけた光景だった。

刃沼(?)

 奇声を発する者がいた。何かウガウガと叫びながら、アスファルトを何度も叩いている。こぶしが血で染まる。が、その行為を止めようとしない。周りは、じろじろ見て、ひそひそ声を出す。刃沼は耳を澄まし、その一部を聞く。――「あれは何を」――「さあ」――「頭がどうかして」――「精神病?」――「今どき珍しくもない」――「つまらん」 周囲の様子は、冷えた心持ちを感じさせた。

刃沼(…………)

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