日常に潜む非日常
よくわからない内容です。
「みーちゃん、コーヒー淹れてよ〜」
「なぁ〜、俺の時計知らん?」
「コーヒーまだ〜?」
「時計〜!」
半年前から同棲しているフミクンが、昨日から二人になった。
なんでって言われてもあたしにはわかんない。
昨日一緒に、TSUTAYAで借りてきた最新作『オフィスクリスマス道子2』を見ていた時、フミクンはあたしの目の前で、突然二人になってしまったんだ。
丁度、主人公の道子が、悪を倒してムエタイの踊りを披露し、拍手喝采を浴びている場面だった。
急にフミクンが、
「あれっ?なんかヘン。ちょっと見て?」
と言い出した。
「ど〜したの?」
「なんかお尻がムズムズしてるみたいな…」言い終わらないうちに、フミクンのお尻のあたりがもぞりと動いた。
「えっ?何?お尻、なんかヘンだよ?」
「う、うん。ほんと何だろ?あれ?あれれれ?」トランクスの裾から、誰かの足の指がのぞいた。
驚いたあたしは
「ひぃっ!!」と、その場から飛び退いた。
「えっ、何?どうなってんの?ええっ?」
フミクンは半狂乱で、自分の尻のあたりをまさぐる。手が、例の足(の指?)を捉えた。
何らかの手応えを感じたのだろう、フミクンの顔はみるみる真っ青になって、ブルブルと震えだした。
もう何が何だか訳がわからない。あれは本当に足の指なのか?皮膚炎かも…?いや、ないな。確かにあれは、人間の足だった。でもなんで?
めちゃくちゃ怖いけど、やっぱり確かめなきゃいけない。という結論が出るまでに、軽く10分はかかっただろう。
あたしは部屋の隅から、
「フミクン!ちょっとパンツ脱いでみなよ!」と叫んだ。
フミクンは、
「え?今?」とでも言いたげな目で、こっちを見た。
恥じらっているんだ!
直感的にそう悟った。
いやいやいやいやいや、あんた今、それどころじゃないでしょ!
ちょっと彼への鬱陶しさを感じつつも、あたしは勇気を振り絞って、パンツを脱がしにかかった。
パンツに手をかけるとフミクンは、
「あっ、ダメ…」と切なげな声を漏らしたが、あたしは無視して、それを一気に引きずり下ろした。
!
なにも無い!
そこにはいつものフミクンの尻があるだけだった。
「なんだ、見間違いだったのか〜、大丈夫、なんもないよ〜」と、言おうとした時、フミクンの鼻から、ちらりと足の小指が覗いた。
つづく
ほんとうに続くのか…