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驚きましたぞ

「ドラゴンさーん、どこにいるのですかー」

「呼んでも出てこないから」

ミレアのバカ度にも呆れる。本当に出て来ちゃったらどうするんだ、武器一つも持ってないんだぞ。

「まずは武器屋でも行ってみないか?殴る蹴るで倒せるドラゴンじゃないだろ」

あぁでもここは現実世界、武器屋なんてないな…

「そうですね、ではキラータウンの武器屋へ行ってみましょう」

あんのかよ。どこまで侵食されてるんだこの世界。

「そこの人とお父さんは仲がいいので、もしかしたら剣の一本ぐらいもらえるかもしれませんね」近所付き合いがいいらしい。王様なのにもう完璧に一般市民じゃねえか。


「こんにちはーーー」

ミレアが大きく挨拶をすると、店の奥から一人の男が出てきた。

「へいらっしゃいきょうはなにをしに来られたでござるでございますか」

ちゃんと日本語しゃべれよ、それじゃ敬語がぐちゃぐちゃな忍者みたいだろ。

「今日は武器をもらいにきたでござるでございます」おーい、言葉うつってるぞー。

「剣が欲しいのですが、おすすめとかありますか?」割って入って僕が要約する。この二人の会話じゃなにもわからんわ。

「おすすめかい?じゃあこいつはどうだ、キラーソード!キラータウンでしか売ってないぞ?」

「あ、じゃあそれで…」

「いややっぱりこっちかな、クロックソード!時計が付いてて今の時間がわかる!だけど切れ味が悪すぎ!」

そんなものおすすめすんなって…てか客の話聞けよ。

「いや、さっきのキラーソ」

「だめだだめだ、やっぱこれだな!当店一番のおすすめ、ウ◯コソード!ウ◯コの感触がして臭いもウ◯コ!何もかもウ◯コ!」

「くっせえ、なんだこれ!そんなもん当店一番のおすすめとか最悪な店だな、絶対誰にも売るなよ!くさい!茶色い!気持ち悪い!」

思わず最悪な店なんて言ってしまった。これは言いすぎたか…?

「罵声ありがとうございます、そんなあなたにはキラーソードを無料でプレゼント!」

まさかの店長マゾ気質ですか、結果オーライ。キラーソードを無料で入手、やったあ。

あれ…?あんま達成感がないのは何故だ…?

「早速ドラゴンを倒しに行きましょうシゲマル様!」勢い付いたミレアが僕を急かしてくる。お前なにもしてないのに勝手に一人ではしゃぐなよ…

「仕方ない、行くか」

乗り気じゃないけど討伐しなきゃ進まないから行こう。

「イヤー!ドラゴンの襲来よ!」

叫び声が聞こえた。誰かと思ったらお隣さんじゃないか。お隣さんRPGに登場していいのか?

「さっきのキラーソードを出してください!弱点は腹だったはずです!」

ミレアがアドバイスするが前科があるから信じがたい。だがよく見ると、ドラゴンの腹にバツじるしが付いている。あ、弱点ね、はいはい。

「とりゃー」

やる気なさげにドラゴンの腹に剣を刺した。

「おほぉぉぉぉぉ!気持ちイィ!」

ドラゴンが日本語をしゃべった!しかもなんかキモい!

「お主が勇者か、なんと気持ちイィィィことをしてくれたのか、で、わしはここで素直にやられた方がよかったのか?」

「いや、僕に聞かないでください」

「じゃあやられておこう、ギャァァァ勇者のチンケな一刺しでやられるなんて…屈辱だ…」どさっ、とドラゴンが倒れた。おかしい、勝ったはずなのに負けた気がする。そしてミレアがいない。

「おーいミレア、どこだー?」

近くにドラゴンが来てるというのに開いていた屋台の中から、ミレアの声が聞こえた。

「はいなんでしょうもぐもぐ」

呑気に焼き鳥食ってる…

「焼き鳥って美味しいですね!私焼き鳥大好きになりました!」

王女かどうかさえ疑いたい。僕がその王女と結婚する勇者だということも疑いたい。

「はぁ…行くぞ、城に戻ろう」


「ただいまです、お父さん!」

まるで幼稚園児みたいにお父さんに抱きつく。お父さん首絞められて死にそうな顔してるけど。

「ドラゴンは無事倒してきました」

「ぐえええおぉ、そうか!それはよかった!シゲマル殿も強くなったということですなぐえええ」

首絞めるのやめてあげようよ…お父さんやばいことになってるぞ…

「疲れました、寝ていいですか?」

目をパチパチさせながら上目遣いでお父さんにお願いしている。その目は卑怯というかお父さん骨抜きになってるし。

「あぁ、自分の部屋で寝ていいぞ」

「ありがとうございます、ではお言葉に甘えて」

ダッダッダッダッと階段を登り、ドアを開ける音がした。2階にミレアの部屋なんてなかったはずだが。

「シゲマル殿、2階にミレアの部屋を作らせていただいたのだがよろしかったか?」

やっぱこの王様の仕業か。もう慣れたな。

「そうですか、どこを改造したんですか?」

新しい部屋っぽいのは作られていないので、元からあった部屋を作り変えたのだろう。

「そのことなのだがシゲマル殿、こんなものが出てきたのです」

王様がダンボールを取り出し、中身を床にバラっと出す。

「僕の18禁RPG…まさかあそこを改造したのか!?ちょっとおおおお!」

「いやいや、なんとなくきらびやかな部屋が好きで壁紙などはそのままにしてあるので安心してくださいな」

そ、そのままって…やばい!18禁の壁紙が…

階段を素早く上り、「秘密の部屋」を開ける。辺り一面に見えたのは、花畑…のようなものだ。

「地獄絵図だ…」

18禁のモザイクがかかるレベルの部屋で、ミレアが寝ている。豪華なベッド、なのにミレアの寝相が悪すぎてぐっちゃぐちゃ。

もうこんなの20禁でも30禁でもなんでもいいや。

「あれ?シゲマル様、どうしたんですか?」

お、起きてしまった。何事もなかったように立ち去らねば…

「ななななんでもない!僕も寝るからミレアもおやすみ!」

後ずさりしながら部屋の外へ出て、ゆっくりドアを閉める。そして王様へクレームを。

「王様、なんてことを…」

王様が僕のクレームを聞くと、突然にやけ出した。

「ところでシゲマル殿、そなたにはあんな趣味があるんですなあ、驚きましたぞ」

「あぁもううるさい!寝る!」

逃げるように退散。もー最悪だ。寝て忘れることにしよう。

「おやすみなさいシゲマル殿、夜ご飯はいいのですか?」

「今日は食わない!がああああ!」

自分は猛獣になってしまったのかと不安になった。猛獣はスリープモードに入ります。

「ひでえ一日だった…」

色々考える暇もなく、寝てしまった。明日はどうなることやら…

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