瀕死
そこ・・・ゴールはどの建物でもなかった。実は例の交差点のど真ん中だった。上条は建物から脱出する際に相当の恐怖を感じたのか、気絶している。仕方ないので神崎がお姫様抱っこをして上条を抱える。
神崎たちがそこに立つと光が地面から現れる。そしてそれは神崎たちを包み込み始める。
「わー!やっとだー!」
そして神崎に肩車されて、肩の上のシャルル・・・・・白髪の少年は歓喜の声をあげていた。
時は遡る。
命からがらビルから脱出し、敵の強烈な攻撃を回避した。その時にはすでに上条は気絶している。
「てめぇ!何しやが・・・」
言葉が詰まる。なぜならその少年は泣いていたのだ。泣きじゃくっていた。
年は小学生くらい。いくら殺すことに対する恐怖を失っていたとしてもこの状況に対する恐怖は相当なものだろう。
「お、お、お前ぇ!
お前も僕のことを殺すのかぁ!」
少年の悲痛な叫び。相当な恐怖を受けたのか、小学生にしてはありえないほどの殺気を出している。本能的な殺意。生存本能と同じ。
もしかしたら。ただの少年だったのならばここまで殺気を感じることもなかったのかもしれない。しかし、今少年には能力がある。しかも、最強の部類に入る能力を。それも相まって、神崎は殺気を感じたのだろう。
「殺さない!」
「嘘だ!てめぇとか言った!」
(うう、言っちまった)
頭を抱える。
「ほら嘘だ!」
少年がこちらに手を向ける。まばゆい白い光が収束したかと思うと、そこから先ほどと同じ殺気があふれる。
「うわぁああああああああああああああああああ!!!!!」
攻撃が来ると直感した神崎はとりあえず、"簡易テント"という道具を使用した。これは先ほど爆発の能力者から奪った道具で、触れたものをこの掌サイズの立方体に吸い込んで回復させるというアイテムである。生き物であればどんなに大きいサイズのものでも入る。ドラ○もんの四次元○ケットに吸い込まれて回復する、と言ったらわかりやすいだろうか。
上条とドラゴン2匹を瞬間的にその中に入れると、目の前から飛んでくる衝撃波を感覚で横っ飛びし回避する。
なんとか、と思って立ち上がろうとするが横を見てぞっとする。その衝撃波は今までのように発射されるものではなく、ムチのようにしなるように操作出来るエネルギーの塊となっていた。少年がそれを操作していて、こちらへ迫っていたのだ。衝撃の位置は破壊された物体の粉々になった破片や塵を纏っているのでかろうじて目視出来る。
前に言ったように衝撃には実体がない。だから剣などで剣を受けるのとは話が違う。衝撃に対してそんなことをすれば剣に隠れていない胴体や脚は吹き飛んでしまうだろう。
「<<状態変化・長剣>>」
そして神崎は切っ先を地面へ突き刺す。
そのまま剣は長さ数10mの長い剣となり、それを掴んでいた神崎の体は空高く飛び上がる。
(1回落ち着かせる!)
剣の先を素早く縮め、衝撃は回避する。少年の顔には不意をつかれたような、驚愕の表情をしていた。
「落ち着けぇえええええええええええええ!!!」
<<状態変化・巨鎚>>
神崎の持っている柄から巨大な鎚が形成される。それは重力がプラスされて凄まじい威力となって少年の上方から襲いかかる。
「<<衝撃球>>」
少年の体中からエネルギーが出て、一定の大きさの半球が作られる。
それと巨大なハンマーが空中でぶつかり合い、そこで衝撃波が生まれる。ぶつかった衝撃で付近の木やある程度低めな建物は全壊する。
「ぐっ・・・・・」
(弾かれる!)
そう思ったときにはもう弾かれていた。加えた衝撃が倍となって返ってくる。その威力のままビルの5階の壁へと叩きつけられる。
「がッ・・・!」
肺から空気が絞り出され、呼吸が出来ず頭がはたらかない。落下しながら頭を降って覚醒させる。
しかし、この状態から頭を上にすることは出来ない。何かの出力がなければ。
手に持っている無幻の刀を一旦しまう。そしてレーザーガンを手に出す。そして急いで神経を集中させエネルギーを溜める。
2階付近を過ぎた時に、地面へ向けてそれを放つ。
爆炎や爆風、他にもビルを構成している鉄くずはアスファルトの破片が舞い上がり、回りを見えなくする。
「ぐぅうう・・・」
発射時の爆炎や舞い上がった破片が弾丸のように体に刺さったり肉体を燃やそうと暴れ狂ったがなんとか耐え、落下の勢いを殺して着地することが出来た。働かない頭でなんとか周りを理解しようとするが上手くいかない。攻撃が来るか来ないか、敵の位置は。やがてそれらが恐怖へと変わっていく。そしてそれも切り替わり、懺悔に変わった。
現実世界で今までお世話になった人、アルマとフレイ。そして一番は、上条に。
「・・・・・ごめん」
その時だった。腕輪が光り出すのと同時に敵の衝撃を集める光が同時に視界に入った。
腕輪を見ると、初めての"ショップ開店"であった。
命の危機に世界が止まる。スローになり、先ほどとは打って変わって頭が光速で動く。
状況の打開策を考えていると、アルマの言葉を思い出した。
{時々、ショップが開いて、武器や能力開花の液体が手に入る}
神崎は少年だけ見て腕輪に触れる。それと同時に衝撃波が放たれ焦る。
(頼む・・・力を・・・・・死ぬわけにはいかない・・・・・!)
何も見ずに液体を1つ選ぶと、使用した。
その直後、衝撃が神崎の体に直撃した。




