安堵
中心付近に撃ち込んだ拳は見事に敵の鳩尾に入った。かなり強かったのかその衝撃で気絶した。本当は頭部を強打して気絶させるつもりだったらしいが、まあ結果オーライだ。
神崎は敵を起こさないように色々と探している。ここであることに気づく。敵の腕輪に触れるとアイテムの欄が表示されるのだ。むしろそこ以外は見れないようになっている。そしてそれをタッチすると自分の腕輪へとアイテムが光の粒となって吸収された。相手を殺さずともアイテムを手に入れる方法を見つけたのだ。
(こいつには悪いがゲームオーバーにしなかっただけマシだと思ってくれ)
ありったけのアイテムを自分の腕輪へと取り込む。すると見慣れないアイテムまで持っていた。疑問に思いながらも一応それも貰っておく。
(肝心の武器はー・・・おおお!!!)
その武器は結構待ち望んでいた銃であった。銀で装飾された携帯型。回転式である。回転式、とは、銃弾を一発ずつリボルバーにこめる形式のため、銃弾充填がめちゃくちゃ面倒くさい。さらにリボルバーを誤って回してしまい、撃鉄がリボルバーの空き部分を叩くと空撃ちとなり銃弾は発射されない。
色々あさっている間に外で大きな爆発が起きた。窓が全壊し、風通しのよくなった神崎のいるフロア。音を遮断するものは何も無かったため、遠かったが神崎はその音にかなり驚いていた。
あらかたあさり終えた後、神崎は上条を探し始めた。あの時は必死だった為考えていなかったが、隠れられたら神埼が探すのも苦労する。だから待ち合わせ場所や出てくるための合図を決めておかなかったのを非常に悔やんでいる。
「面倒くさい・・・・」
敵はいないと信じて、上条を探す。
「帰ってきたあああああああああああああああああああ!!!
うわあああああああああああああああああああああああああん!!」
神崎はまだ上条を見つけてはいない。しかし、上条は物陰からずっと様子を伺っていたのですぐに見つけたのである。
「んー・・・ん!?ぐはぁっ!?」
不意打ちで対応できず、泣きながら抱きつこうと突っ込んでくる上条の頭が脇腹にクリーンヒットした。神崎は地面に転がり悶えている。
突撃してきた方向の後ろからドラゴンが2匹歩いてくる。小さいのに向こうの方が威厳のあるような、そんな雰囲気が一瞬漂う。彼らから感じるオーラというか、そういうものは非常に現実の人間と似ているところがあるのだ。それを神崎はヒシヒシと感じ取っていた。




