オカンに異変!? 2
(昨日まで普通のオカンだったのに……)
さっきまでのありえない光景に親友の呼び声に気付かなかった俺、いつものオカンのことを考えてしまっていた。ヒョウ柄Tシャツにスパッツの姿で少しウザイけど俺のことを考えてくれているオカン・パーマの癖が目立った……典型的なオカンだったのに……と思い出していた俺はオカンが寝そべってスナック菓子を食べている姿を脳裏に浮かべる。それが何で女の子になっているか訳がわからない。
「おい!」
親友から現実世界に戻される強い少し困惑の入った声がかかる。
「アツシ!! 悩み事でもあるのか!?」
「い~や!」
親友が肩を叩いて心配してくれたが、問題ないことを強調するかのごとく、不自然なくらいの笑顔で親友を安心させるのだった
“言えるわけねーよな”
「アツシ……今日何か暗くないか?」
「そうか?」
親友にわかられてしまわないように疑問を疑問で返した俺、親友は釈然としない様子ではあったがそれ以上追求してこなかった。
「おはよー!」
華やかに素敵な笑顔で級友の女の子の方から挨拶してきてくれる。
「おう菜花」
「あっ、おはよ」
俺は菜花さんのことを素敵に思っているので顔が赤みがかっているのを隠す感じで親友の斜め後ろ辺りから挨拶を返す。
「里山クン、元気ないね」
気になる女の子から声をかけられて悪い気がしない俺、心配をかけたくないのでいつもどおりの仕草を見せた。
「いや、そんなことあらへんよ」
「アツシ―――!!」
どこからともなく聞き覚えのある女の子の声が聞こえたかと思ったら、中学校の正門に自転車で待っていた。無理して自転車で来たのか高さが合っていないのでプルプルしている。
「弁当忘れてたで」
その姿に俺は言葉も出ない。
「あ、ありがと……」
この女の子についてどう説明していいかわからない俺は、弁当を持ってきたお礼を言いつつも顔は青ざめていたと思う。
「里山クンって妹さんおったんやね! かわええやん」
菜花さんは子供の扱いに慣れているのか、(信じられないことに俺のオカンな)女の子に人懐こしさがある笑顔で語りかけた。オカンは菜花さんに(何やねん、こいつ。アツシのことを好いているなら挨拶の一つでもしたらどうや)といった気[オーラ]を発している。
“い……今……何かものすごい殺気を感じたんやけど”
菜花さんが引いているうちにオカン(?)は帰っていった。
「ほんなら!」
俺は何余計な真似してくれとんのやと思った。
オカンが十才になって二日目―― 俺はオカンがあまり変化していないのを見て飯がなかなか進まない。
「おとーん!! ホンマやねんて!!」
オカン(?)が海外出張中のオトンに電話しているが信じろという方が無理というものだろう。三日目は日曜日で学校が休み、オカンだと本人が主張している女の子がほうじ茶と煎餅を用意して韓流ドラマを観ている。確かに行動はオカンそっくりではあるのだが。
四日目――オカンは中学の女子と同じくらいの背格好になっていた。こんな状態で同年代になったオカンと一緒の生活は気まずい俺、オカン(?)が気づいたことを話しかけてくる。
「アツシ、さっき気づいてんけど」
その後にもったいぶるオカン。俺が黙っていると面白くなさそうにしながらも話を続けてくれた。
「かーちゃん……一日ごとに一才年とっとるみたいやねん」
そんなこと言われても俺はどう対応していいかわからない。
最後も楽しんでもらえればと思います!