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奇跡の巡り会い
作:浅見 希



46- 生きていた龍太郎!



龍太郎は不覚にも、麻耶との電話中に狙撃された。
麻耶が自分の子ではない事を突き止め、ロシアの地から、
飛び立ちノルウエーにいた。

 そして、一時は心臓が止まり一度龍太郎の命は終わった事になる。
だが、今奇しくもかろうじて生きている。
生き帰らされたのだ。ある政府の重要な秘密研究室において。
龍太郎は、一時期ある国の政府と、日本の秘密機関の架け橋を、
結果としてやらされる羽目になった。
今のIT産業の骨格を成す重要な発明を、双方の板ばさみに立たされ、
結果として両国に最適な和解策で終止符を打った。
それも偶然にも第三の国がその発明に到達する寸前に、
第三の追随を遅らせるような、偽情報を操作した。
そのため、龍太郎の提案が両国の窮地を救う事になった。
喜ばれる国もあれば、その事を後で知り憎むべき相手とされ、
追われる事となった。

 龍太郎は、その事を忘れるために・・・姿を隠すために、第一線から退き
悠々自適の生活を送っていた。
 だか、麻耶に出会い、もう一度生きてみよう、
実戦で・・・と思うようになった。
龍太郎は、麻耶と初めて会った時、大きな驚き、衝撃を受けた。

“嘘だろう、まるで・・・あいつと瓜二つ。”
“もしや私の娘?”
 それに、麻耶の急接近に驚くばかりの連続だ。
どうして、あのサパークラブで・・・出合ったのだ・・
店のママが仕組んだのか・・?
どうして、あのエレベーターで、二人きりに・・・
どうしてうちの会社にいるのか・?
シュメルダ・カラヤン霧島もどうして、
わが社の秘書どうしているのか・・・?

私が現役を退き、霧島吾朗に任せその後、
霧島は会長に退き、そして現社長は川西隆三だ。
 それまでの間に、自分が細かい事に首を突っ込まないようになってから、
何時の間に・・・・だが霧島なる人物は自分の同心のように動き、
共に会社のために身を粉にして尽くした。
 川西隆三は霧島が責任を持って、それに役員会で承認されて選ばれた社長だ。
龍太郎の脳裏に今回の襲撃はなぜか気になる事が・・・
今はぼんやりと何か得体の知れない何かが、少しずつはっきりと頭の中に浮かんでは消え、そして夢の中へ・・・

狙撃され、
己の命がはるか彼方へ・・
宙に浮いているような感覚が・・
俺はもうこの世から消えて・・・
ああ、麻耶にもう一度、会いたい・・・
俺の子が麻耶に宿っている・・・
麻耶は俺の子でなかった・・・・
その事をはっきりと言ってあげたい・・・
あぁせめて声だけでも・・・
打たれた瞬間の声が宙をさまよう・・・・

“「はい、早く帰って来てね?」”あの麻耶の声が耳に・・・、
脳のシナプスを刺激する。

今頭が非常にさえる、体はまるで動かす事が出来ない。
果たして、この私これから起き上がれるのか?
眼も開けてるのか、閉じてるのかまるで分らない。
ここは何処なんだ、日本なのか・・・それはまず無いだろう
すると・・・ロシア? ノルウエー?
あれからどれ程時が過ぎたのか・・・まるで分らない

実は今、龍太郎は、狙撃され、寸前の所で秘密組織に保護された。
ある国から自衛隊機で低温状態で密かに日本に運ばれ、
日本の最高秘密機関の医療チームで回復を待っている。
今の龍太郎は国家にとっても重要な存在なのだ。
かれは、ロシアに売り込んだ人体認証システムに関して、
最終的なキーワード、すなわち究極の安全管理に必要な発明を、
まだ完全に誰にも見せていない事が、あらゆる調査でわかっている。
すなわち、龍太郎は、まだ死んでもらっては日本国にとって、
困る人間なのだ。

麻耶はまさか龍太郎が日本にいる事など知る由も無い。
だが、最後の電話で変な音を聞いた気がした。それは銃撃の音・・・
あれ以来、麻耶は不安の毎日、それに祖母もこの世からいなくなった。
 不安の連続で心はズタズタの筈だ。
しかし、麻耶は逞しく生きる。アナスタシアと、それに麻耶のおなかに宿る龍太郎の子と・・・・
 今の世の中は、あらゆる面で麻耶、アナスタシアにとって、金銭的には不自由ないが、心のよりどころが・・・無いに等しい。
今の季節、北の台地北海道を、当ても無く彷徨う気持ちだけが、
二人の気持ちを気丈にしてくれている。
 彷徨いはある人から見ればマイナスなイメージだが、
この北の雄大な大地を彷徨うと本当に心が大きく、穏やかになれる。
 きっと二人も、もし二人だけで生きて行くとしても、
大きな気持ちを持ち続ける事だ出来るだろう。

 「おい、麻耶・・・麻耶・・・待っててくれ!」
そんな声がオホーツクの海から聞こえて来た様な錯覚が・・・・












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