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奇跡の巡り会い
作:浅見 希



44-彷徨


麻耶は過去を彷徨う・・・・、
生まれ育った、北の大地で・・・夢の中で・・・
大自然の空気を吸いながら・・・つらかった事、寂しかった事
 あらゆる出来事・・・を この北の大地で・・・
凍える大地で・・・・、緑燃える大地で・・・・

麻耶にとって、はるか昔の、はるか彼方に・・・はるか・・遠くへ・・・
 そして、女の幸せ 愛する幸せ 愛される快感を・・・
女である幸せ・・・・女でいる誇り・・・を
女である・・・・・、女にしか出来ない・・喜び・・
女であるからこその 快楽からの恍惚、恍惚からの快楽・・・を
 
生命の神秘・・・、男と女の融合に・・・新たな固体の・・・、そう生命体を
新しい命の誕生を・・・卵子と精子の合体で・・・・
その後に宿る新しい命に、新しい性別を与える。

地球上に最初の生命が誕生して、もうはや40億年。
その間に生物は生殖を繰り返し、新しい命を生み出し進化を繰り返す。
いつの間にか生物に、性別がはっきりするようになり、
そしてずっとそう・・・・、
とても長い年月を繰り返して、いつの間に人類の誕生。 数多くの経験を繰り返しそう少しずつ進化して・・・・
近縁での生殖活動には大きな失敗と、ほんの僅かの大きな大成功を・・・
 
「あっ、うっ・・・凄く感じる。」
「あぁ・・・幸せ・・・感じるわぁ・・・」
「もっと・・・奥まで・・・・お願い・・!」
「そう・・そこ・・・あたる 龍太郎が!!」
「ねえ、龍太郎・・セックスって・・・・・」
「ねえ・・・・こんなに素晴らしいものだったんだ!」

龍太郎との楽しい思い出なのか、心が弾んでいる。
体がはじけている。
龍太郎に抱かれ、人生の最高の幸せを実感している様子だ。
「麻耶!」
「麻耶?」 


「おいしいかい? 麻耶?」
「うん、おいしいよ!」
 「そう、よかったね! 麻耶!」
「おばばの作る、スパゲティーすっごく美味しいよ!」
 「麻耶、大きくなったら 何になるんだい?」
「うん、お嫁さん!!」
 「そうかい・・、そうかい!・それじゃあ・・・しっかり勉強せんとな!」
「うん、いっぱい勉強して・・・東京に行って・・パパみたいな人と・・・」
 「そうかい・・・・! 麻耶はパパの事、覚えているのかい!」
「うん・・・、すっごくかっこよかった!」
 「そうかい・・・パパみたいな人かい?」

殆ど記憶が無い筈の時に、父親はいなくなったはずなのに、どうして・・・
麻耶の頭には父親の記憶など無いはずなのに・・・どうして・・・・ 
「麻耶!」
 「麻耶?」

緑燃える初夏の草原を、麻耶は楽しそうに手を繋いで歩く
「麻耶こんな事 ずっと夢見ていたんだ!」
「ねえ、龍太郎 ここは何処!?」
「二人の愛の巣だよ!」
「そうよ・・・ね!」
「麻耶!」
 「麻耶?」

 青く輝く空に・・・、痛いほどの緑に・・・、麻耶の心は癒される
透き通る水に・・・・湧き出る自然の水に・・・、麻耶の喉はゴクゴクと
癒される。自然に・・・・

「麻耶、寒くないか?」
「うん・・・平気よ!」
「麻耶、寂しくないか?」
「いいえ・・・平気だよ!」
「そうかい・・、麻耶は偉いね・・・頑張ってるね!」

「麻耶!」
 「麻耶?」

何と麻耶は、おばばの寝ていた傍で、泣き疲れて寝てしまったのだ。
おばばの亡き骸は既に無い。
麻耶が東京へ行ってしまった後の、隙間を埋めるように・・・
そこへ、アナスタシアが追いかけて来たのであった。
そして、何度も麻耶の名を何度も呼んでいた。

「麻耶、どんな夢を見ていたの?」
「えっ、アナスタシア! どうして・・ここへ?」
 「麻耶の携帯、GPS 付いてるでしょ?」
「そうか・・・そうだよね?」
 「麻耶・・どんな夢?」
「そうね、いっぱい・・昔の事や・・龍太郎と・・・ね・・!」
 「なんだか・・・時々・・変な声も・・・よ!」
「それって・・・えっ・・」
急に頬が熱く・・・上気しているようだ、それを隠すように麻耶は、
「それより・・・アナスタシア・・・大丈夫?」
 「何よ、麻耶・・・変な事考えていた?」
「別に・・・何か・・・変?」
 「何でも・・・・・」

 麻耶とアナスタシア・・・北の大地を、
真っ直ぐに何処までも伸びるアスファルトを、
緑燃えるこの季節にのんびりと・・
暫し祖母の追悼の意味を込めてか・・・、
それとも目に見えぬ不安を感じてか・・・
それとも、麻耶の心を癒すためにか・・・

目的を定めずに走り続ける・・・あの人の帰りを待つために・・・・












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