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奇跡の巡り会い
作:浅見 希



40- えっ、二人とも・・!


ここは主のいない高層マンション、麻耶はなんだか気の抜けたような毎日だ。
何不自由なく・・・・、と言っても物質的な事だが・・・、
麻耶とアナスタシアは、龍太郎からの連絡がない生活が続く。
そして、アナスタシアのお腹の子は順調に育っている。
「あっ・・・動いた気がする。」
「えっ・・!本当・・・何処!!」
と、言って麻耶はアナスタシアの少し目立ち出したお腹に手を添える。
「ねぇ・・・今ボーン・・と!」
「蹴った・・感じ・・・みたい?」
 「そうよ・・・ね!」
「あなたのお腹の中に・・・」
「新しい命が・・・、感じるでしょぅ?」
「うん、・・・すっごく感じる・・・わ!」
「本当ね・・・ねえ・・・アナスタシア、本当に・・・良かった・・ね!」
 「はい、彼と私の・・・愛の結晶・・・が!」
「うらやましいな? あなた!!」
 「そうね、人生捨てたもんじゃ・・・ない・・・かも!!」
「アナスタシア・・! よかった・・・ね!」
 「うん、うれしい、すっごく!!」
「龍太郎に感謝ね・・! 日本で暮らせる手続き・・してもらって!」
 「はい、ホント・・・、一時はどうなるかと思ったわ!」
「悲しかった! ワレリーが死んだ時は・・・」
「そうよね、あなた・・まるで幽霊みたいだったもの!」
 「はい、あの時は・・・もう死んでしまおうかと・・実際に・・!」
「私がこの子の父親になってあげる。母親にも・・・」
 「あっ、母親はだめ、それは、 わ ・ た ・ し」
「そうね、じゃー父親で・・・!」

 そんな無邪気な会話が、ほぼ毎日のように続く。
麻耶は、苛立ちと、寂しさ、羨ましさを必死に隠して・・・。
毎日規則正しく決まった時間に、龍太郎のいない、巨大ビルの中に消えて行く。
そして、決まった時間にその無機質な巨大ビルから決まった時間に出てくる。
 今の麻耶にとっては、仕事場のビルは無機質そのものなのだろう・・・、
龍太郎がいないビルは。
相変わらず龍太郎の話は仕事場ではしない。誰も、そして麻耶自信も・・・
彼がいなくても仕事に支障はない。
その事も彼の存在を確認する必要がなく、そしてしない。
おそらく、本当に必要な事は指示を出しているのだろう、上の者には。
 麻耶自信、意地で触れない、その事を聞いた途端に、すべてが壊れる気がして・・
あのエレベーター、そう龍太郎との出会いの場所。そのエレベーターから降りて、少し歩き出した頃何故か、麻耶に異変が・・・

 うっ・・、そんな馬鹿な・・・違う・・・、
私は・・今まで、よく狂っていた・・、そうよ・・・違う・・・がしかし・・・

 「ねえ、麻耶・・・最近食事や、・・・」
「何・・・アナスタシア?」
 「あなた、・・・・もしかして?」
「違うわ・・・私、不順よ・・・だから・・・違う・・!!」
 「調べたら・・?」
「違う・・・と思う!?」
 「でも、可能性は・・・あるんでしょ?」
「それは・・・そう・・・だけど!」
 「わぁ・・・うつった!?」
「馬鹿言わないで・・・よ!」
「そんなもん・・・うつる訳ないでしょ!」
 「そうよね・・勿論!」
「でもそうなら・・・、うれしいわよ ね!」
「それは・・・、勿論・・・うれしいわ・・よ!」

そう言った途端に、急に龍太郎の顔が・・・、声が・・・、手が、体が・・・
そして、涙がとめど無く流れる麻耶・・・、そんな麻耶を見てつられるように、
アナスタシアも大きくなったお腹を突き出して泣く。
声は、大きく。そう、麻耶よりずっと大きな声で・・・その大きな声でわれに返った麻耶は、あふれ出る涙を、アナスタシアの大きな瞳に零れ落ちる涙をぬぐってあげる。
まるで自分の涙を拭くように・・・・

「ありがとう、アナスタシア。有難う!」
 「よかった・・ね!」
「何言ってるの、まだ決まったわけではない・・・から!」

 しかし、麻耶は確信した。そう妊娠したと。私も妊娠・・だ・・わ
ああ、龍太郎何処に・・・いるの? 連絡して・・早く・・・

 「ねえ、麻耶?」
「何・・よ!」
 「その子、きっと男の子よ・・・龍太郎そっくりの!?」
「だから、まだ決まった・・・訳では・・ない・・から!」
 「ねえ、妊娠判定の検査器・・・日本・・、売ってるでしょ?」
「それは・・売っていると思うわ!」
 「それじゃー、明日買って来て・・・検査しよう!」
「なんだか、あなたが嬉しがって・・・」
 「そうよ、すっごく嬉しいわ!」
「有難う、アナスタシア・・でも・・!」
 「ねえ、何ヶ月?」
「だから・・まだはっきり・・!していない・・と・・」
 「いや、本当にあなたも妊娠している。これは、ロシアの神の感よ!」
「何、その・・・ロシアの神の感・・・って!」
 「それは・・・だから・・神の・・」

そこへ、暫く鳴らなかった、この部屋のコール音が・・・・












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