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奇跡の巡り会い
作:浅見 希



4-龍太郎の生き様


4-龍太郎の生き様

龍太郎の人生は、かなり波乱万丈だった。
生まれは東京近郊の比較的静かな町、高校時代までは平凡そのもの。
都心の理数系の大学に合格、そして、そのまま進学。
学校よりもアルバイトと言うか、事業にかなり真剣に取り組んだ。
学生時代に、一般学生よりも金が自由に使え、学生時代はかなりいい思いをした。
あらゆる面で・・・。
学校の出席や単位も、その得たお金でかなり融通が効いた。
単位の取得には、特に女性の友達から、ノートをコピーしてもらい、先輩から過去問を手に入れて、上手く世渡りを行い、試験は問題なかった。
出席も友人に代返や出席カードを工面してもらい、上手く立ち回れた。
当然その代償として食事を奢り、困ったときには金銭の援助も・・・

その当時から、株の売買に目をつけ、アルバイトで稼いだ金や、親から借りた
お金を、かなりな金額まで増やした。
4年間で卒業したが、あえて就職はせず、それまでの株に対する知識で、さほど大きくない証券会社で嘱託みたいな感じで働いた。
かなりの上客を持ち、卒業して、2年もしないうちに数千万、と言うより、
億に近い金額を動かしていた。
まるで、万札など千円札と同様に扱っていた。
その当時はまだ、バブルの始まる前で、これから少ししてバブル全盛期となる。
飛ぶ鳥を落とすような勢いはあった。
勢いに乗って、貿易会社、不動産会社などを手がけ、若い頃、若造にあるまじき生活をしていた。
生活の拠点は、渋谷の高級住宅街に大きな一軒家で、英国の商社の重役が帰国する時に居抜きで買い受けた。
それこそ今で言う六本木のヒルズ族以上の優雅な生活をしていた。
当然女性にも不自由はしなかった。クルーザーなども所有して、船上パーテーなども催していた。

そんな自分が怖いくらいだった。
しかし、大きな館に一人で住んでいた。数多くの日を・・・・
毎夜訪れる、その女性たちとは、一夜限りのアバンチュールを楽しみ、その日に金とともに消えていった。
女性など、本気で愛した事など殆ど無かった、一度を除いて。

その一人の女性は、純粋無垢で本当に穢れを知らなかった。
数多く近づいてくる女性の中で、その彼女は、特別だった。
たしか北海道の北の方に住む、色白の女性だった。名前もうろ覚えだ。
決して、出しゃばらず、不動産会社の事務員として、雇用したはずだった。
しかし、ひょんなことから、龍太郎の世話を焼いてくれるようになり、ほかの龍太郎のお金目当ての女性とは、明らかに違っていた。
その女性とは何かのきっかけで、一度だけ男女の関係になった事があった。
 
しかし、そんな生活の中でブラックマンデーと言う、恐ろしい日がやって来た。
その様は、金持ちほどひどい仕打ちを受けた。
2億の額面が一夜にして10%ダウン、次の日もまた、10%、20%ダウン。・・・・。
有頂天で踊らされた龍太郎は、勢いに乗って信用取引も行い、
追証、追証の追い立て地獄で、持ち金はあっという間に空になり、
数億の借金を背負うようになってしまった。

ほうほうのていで、九州に逃げ出した。
どうも、あの女性はそんなドサクサの時、一人の女の子を身ごもって
しまったたらしい事は、風の噂で何年か後に聞いた事があった。
 その当時、龍太郎の両親は息子の連帯責任を取らされる形で、財産も没収され、程なくして、その両親も心労苦で父親、そして母親も他界した。
その知らせも九州で風の便りに聞いた。

東京の夜景は、そんな全てを見てきた。

 九州で身を隠すように、生活をしていた 龍太郎。
今度は地味にこつこつと学生時代の専攻である、メカそれも、精密機械にめきめきと頭角を現し、その工場の責任者的存在になった。
 龍太郎は、メカの技術、それも精密機械の技術はかなりの素質があった、
何より、彼の発想力が他の人と比べて素晴らしい。
 働いていた場所で、その工場は、精密機械の部品、特にそれは、コンピューター部品、それに携帯の部品において、無くてはならない部品の、特許を取得した。
龍太郎自ら、その設計に従事しその会社で、かなりの地位に上り詰めた。

 しかし、彼の特許の発想は、彼の賃金に見合うほどの保障をしてくれなかった。
有る時を機に龍太郎は、その会社に見切りをつけて、東京にやって来て自分の会社を設立した。
 その会社も、あっという間に業績を伸ばし、いまや、液晶技術や、電子機器の超小型化に有用なパーツを一手に引き受ける、そして、軍事産業にもその技術が必要とされるようになっている。
 地味ではあるが、堅実に事業を拡大させ、日本には無くてはならない機関産業に成長させた。
その会社を順調に成長させ、もう心配がなくなった頃、龍太郎はその責務を優秀な後輩に譲った。
 彼にとって、今潔く優れた後輩に譲る事に、何の未練も感じていなかった。
へたに、すがり付くような事は、彼の美学に反する。
そう、心に決めていた。
 決して、自分の跡継ぎが居ないからではない事は、多くの人に明言していた。
会社は己のものではない事を、長い経験で、他の企業を見て着て実感しているのだ。

「決して、会社を私物化してはいけない!!」と 

 そして今現在、悠々自適に、好きな事をして、余生を過ごしている。

 しかし、そんな彼、人間的に優れた龍太郎には、彼を慕って来る人々、人脈、
交際関係は完全に彼を、“ある種の神”とまで祭り上げたてられている。
 絶大な信頼と権力(この権力は彼自身決して意識していない)を彼に委ねている。
在る時は時の総理でも一目置くような存在なのだ。












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