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奇跡の巡り会い
作:浅見 希



39-過去を振り返る、龍太郎


龍太郎からの連絡の無いまま1ヶ月余りが過ぎ、
麻耶と未亡人の二人の生活は続いた。
麻耶は日本に帰ってきて1週間後から、会社に復帰した。
今迄と同じように通訳と重要な交渉にはかなりの権限を持って臨むことが出来た。
 何故か、龍太郎の話は出来る雰囲気にならない。
現在は、シュメルダ・カラヤン霧島の元で働いている。
 一方アナスタシアは、定期的に産婦人科に通っている。順調に経過している。
買い物等は、龍太郎のときの家政婦が週に二度ほどやって来て、必要な食料、日用品は手配してくれる。
すべて、龍太郎の指示で行われており、二人の女性たちに何の不自由も無い。

「ねえ、麻耶 龍太郎さんは、今何処にいるのかしら?」
「そうね・・・、まるで、分からないわ?」
 「どうして、連絡してくれないの?」
「やり残した事って、・・・何かしら?」
 「麻耶さんでも・・・分からないの?」
「そうなの、一切連絡取れない状態なの!」
 「麻耶さん! 彼と一緒になりたいのでしょ?」
「そう思っているわ! でも・・何故か不安が・・・」
 「どんな不安?」
「うまく言えないわ!」
 「そう・・・それって、年齢差?」
「うーん・・・それは関係ない・・・そう、その事は気にしていないわ!」
 「じゃー・・・何?」
「私が・・心配している事、それは解決している・・・って思っているわ!」
「でも・・・彼も気にしている。そしてそれを調べている・・の!!」
 「それは、どんな事?」
「それは・・・ね!! もしかすると・・・」
 「もしかすると?」
「・・・・・龍太郎は・・・父・・かもしれない・・・」
 「えっ、父!! それって・・・近・・」
「そう、夫婦になれない・・ でも・・その事は違うって解ったの!!」
 「なら・・問題ない・・・でしょ・・!!」
「そう、問題ない・・・わ!」
「私は、確認したわ!」
 「それでは・・何故?」
「龍太郎は・・・あらゆる手段を使って調べているみたい??」
 「その事で・・・、今龍太郎は調べて・・・ここにいないの?」
「たぶん、そうだと思うわ!」
 「でも麻耶は調べて・・・違う事・・・確認したのでしょ?」
「そうね、龍太郎は父ではないわ!!」
 「そうよ、絶対・・!!」

 二人の会話は、そのまま行き詰まり暫く沈黙が・・・・

 今龍太郎は、余り踏み込みたくない地、そう九州にやって来ている。
熊本だ。そこに、逃げ込むように身を隠した場所。
明らかに自分の事を知っているような場所は、信頼の置ける人間に
調査を依頼した。
 そして、自分と少しの間暮らした、そして身ごもったらしい一人の女性を、
ある程度特定できた。その名は何と霧島という性だった。
と言う事は・・・あの霧島・・・
そう、シュメルダ・カラヤン霧島と何か関係があるのか・・・
何故、彼女が・・・偶然なのか・・・
 新たな疑問が・・・果たして彼女は・・・何者・・・彼女の過去は・・・

この地にやって来て、龍太郎、新たな疑問が・・・。
熊本の一流ホテルのラウンジで、つらかった日々を、沈む夕日を・・・
今はかなり余裕を持って見られる。
感傷にふけり、昔をゆっくりと、ページを、人生のページの28ページあたりから、一ページずつゆっくりとめくる。
29ページ、30ページ、32、・・・・35ページからかなり色がついてきた。
再生の糸口が、明るい光が、そして、その頃はあの彼女は姿を消していた。
とすると、・・・・そう、彼女の年齢を考えると・・・無理か・・ぎりぎりありか・・・
もう、頭の中は少しずつ混乱し始めて来ている。何故にか・・・アルコールのピッチが、早い・・・一人で飲むわりには、早い・・・。
龍太郎は一人のつもりだが、傍に寄り添う30前後の女性が隣にいる。
ラウンジにやって来て、飲んでいると、いつの間にかその女性がそっと寄って来て、少し離れて座っている。
彼女が近づいて来た時、別にいやな気がしなかったので眼で合図して、OKを出した。
しかし、二人の会話はまるで無く、二人して沈む夕日をボーっと見つめていた。
龍太郎は、客として扱われ、いろいろ聞いてくる女性は好まない。
その事を知っているのだろう、名前すら言おうとしない。
カウンターに置かれたボトルを、龍太郎のグラスが無くなる位に、
絶妙のバランスで継ぎ足してくれる。
そして、いつの間にか、その女性もグラスを持ち、同じブランデーを飲んでいる。
当然龍太郎の了解は、眼で確認している。
そうこのラウンジに、やって来るのはこれで3度目になる。
いつもの龍太郎らしいのみ方だ。
龍太郎は、この場所で、連絡を待っているのだ。












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