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奇跡の巡り会い
作:浅見 希



32-不安、そして戸惑い


暫くしてアナスタシア婦人の家に屈強なボデーガードが2人玄関の門を叩いた。
事前に、麻耶の携帯電話に知らされていた。
相手の素性をしっかりと確認して、家の中に入れた。
当然身分証明書の提示も行った。暫く家の中は緊張が走った。
既にこの部屋を守っていた仲間が玄関を開けたのだが・・・・・、
安全が確認出来て、麻耶も、アナスタシアもほっと安堵の表情が蘇った。
麻耶は、来てくれた事への感謝の意を伝えるが、2人は頷くだけでほとんど無口
当然の事だろう彼らはプロなのだから。
 麻耶は彼らが来てくれた事を、龍太郎に連絡した。
会話の内容は英語にして、そしてトイレでダイヤルした。
前回の失態を繰り返さないためにだ。

「ボデーガードが2人来てくれました。」
「そうか・・・、で、彼女の状態は?」
 「始め、われわれの話を聞いていた時は、かなり引きつって・・・」
「すまなかった、僕も迂闊うかつだった。」
 「そうね、龍太郎にしては・・・でも私も油断して・・・」
「君の話の様子だとかなり日本語も理解できそうだな?」
 「そうね、片言ぐらいかと思っていたが・・・!」
「川本ワレリーは、ロシア人の二世だから当然と言えば当然だがな!」
 「それより、龍太郎は大丈夫なの?」
「あぁ、大丈夫だ!」
 「でも脚が・・・?」
「確かに撃たれた。だが弾が脚をうまく貫通したので・・・」
 「えっ、撃たれたの?」
「そんな話・・・、龍太郎・・言ってなかった・・・」
「すまん・・・、君が心配すると思って・・」
 「そうよ!  麻耶すごく心配よ!!」
「だから・・・言わなかったんだ!」
 「それとね・・・、私たち特別な関係だって・・アナスタシアに言われたわ!!」
「どうして・・・?」
 「2人の雰囲気が・・・すぐに判ったって!」
「そうか・・・!!」
 「そして、“頑張って、ね!”って!!」

龍太郎、かなり複雑な心境だ。 
もう麻耶との関係に、男女の関係は・・・これっきりに・・・
そして、何とか近いうちに麻耶から離れていかなければ・・・ならない・・と
 グレーゾーンでは倫理的にまずいだろう。一度は親子ではないと言う確信が、
しかし、私が依頼した調査員の報告では・・・その可能性も否定できないと・・・

 「龍太郎、どうしたの? 急に黙って!!」
「あっ、いや・・何でもない!」
 「何かあった・・・?」
「何でもない・・、よ!!」
 「嘘・・・龍太郎何だか話し方が・・まるで・・・!!」
「まるで・・なんだい?」
 「すっごく、遠慮して・・と、言うより、他人みたいに冷たく・・!」
「僕と麻耶は、他人なんだろ?」
 「そうよ・・・でもそういう意味で・・・言ってないわ?」
「どういう意味で・・!!」
 「もう・・まったく!!  龍太郎・・・急にどうしたの?」
「事実を言った・・だけだと・・!!」
 「そうね、事実ね・・・他人だわ!!」

今度は麻耶の方が言葉尻が・・冷ややか、と言うよりかなり龍太郎の態度に怒りさえも。
いつも、あんなに優しく、相手の事を第一に考える龍太郎が・・・麻耶を避けようとしている。何かあったに違いない・・・それは・・なんだろう。
気になってしょうがない麻耶。心の中で何か思いつめたように・・・そっして、1つの大きな決心をした。

「麻耶・・・!? 少し言い過ぎた様だ ごめん、先ほどの言葉、撤回だ!」
 「わかったわ! で、龍太郎は今何処に?」
「今はホテルに戻っている!」
 「そう? 病院に入院しなくて大丈夫??」
「少し、痛みはあるが・・・じっとしているわけには!!」
 「麻耶、龍太郎が死んだら・・・私・・・ うっ・・」

どうも、麻耶あふれる涙が止まらないようで、
ずっと我慢していたのが一気にあふれて、龍太郎との電話の中で、
ついに泣き出してしまった。
龍太郎は、麻耶の感情の起伏が痛いように分る。
今現在龍太郎自身、どうしてよいのか分らない。 今の状態では、すぐには別れるわけにはいかない。しかし、このままの状態でずるずると・・・
 おそらく、2人が傍にいれば麻耶の誘惑に負けて・・・
実際、龍太郎自身も今、麻耶の事は女性として、女として傍におきたい。
それに、今麻耶も、龍太郎も危険な状態は最高だ。
下手をすると殺される危険も・・
 俺はいい、好き放題の事は数知れないほどやって来た。
それに引き換え麻耶はまだ若い若すぎる、どうしても守らなければ・・・

「大丈夫だ、大丈夫だよ!」
 「本当に?」
「あぁ、本当だ・・麻耶も・・僕も・・死なない!」
 「生きて、早く日本に帰ろう・・!」
「そうよ・・ね・・・2人して!!」

その会話中に、龍太郎の携帯から部屋をコールするチャイムの音が、
けたたましく鳴り響くのが、麻耶の電話越しの耳に響き渡る・・・

「すまん、誰か来た!」「電話を切るぞ!!」
 「龍太郎・・・無理しないでよ・・絶対!」












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