27-触発された二人
龍太郎と矢吹は、アナスタシアの家を後にして再び現場に向かった。
そして、今後の対応策、改善点を見直す事にした。
破壊された物件はすべて個人レベルのもので、人体認証システムが破られたわけではない。
建物を爆破され、そこから賊が侵入して金品を奪い取った形なので、
龍太郎の心配も、さほど大きなものではない事を再確認した。
建物を厳重にするのは個人の責任であり、認証システムには何の問題も無い。
が、しかし、保証に関して保険会社と協議の必要が出てくるだろう。
龍太郎自身、現在の人体認証システムには絶対の自信をもっている。
他の研究員たちも同じような考えで、システムが破られていない事に一安心した。
しかし、現実問題として社員が1人、命を落としている。
不運な事に、たまたま定期点検で訪問した先が強盗被害に合い、
その現場にいたために道連れになってしまったのだ。
それにしてもやる事が派手だ、まず日本ではありえない。
プラスチック爆弾なんて、日本では殆ど入手不可能だ。
出来るとしたら密輸、それとも何がしかの組織・・・スパイ・・・馬鹿なこれは現実の世界だ。
その点この地では、不可能な事ではない。
拳銃、麻薬、爆薬、下手をすると戦車、戦闘機等、軍から払い下げや、
放置されたままの状態の武器を勝手に横流し。
あり得ない事ではなさそうだ。
その辺の事に考慮が足りなかったと、痛切に反省する龍太郎だった。
日本の感覚では通用しない。ここはそれなりに危険がいっぱい。
それだからこそ、龍太郎の製品が飛ぶように売れる。
ロシア国民の富裕層に。安心を求めて、だが、さすがに爆弾で破棄して進入なんて、龍太郎の心の何処にも無かった。
しかし、賊はセキュリテーが優れているからこそ、爆破と言う手段を取ったのだ。裏を返すとそれだけ、龍太郎の人体認証システムが、優れている事の証拠でもある。
人体認証システムを共に開発した研究員、2名も納得の表情だ。
龍太郎は、大きなビルや、政府関係のビルに立ち寄り今回の現状報告をしていった。
あくまでも、本質である人体認証システムには問題が無い事を。
それぞれの関係者もその事は、新聞、TV等情報は把握していたが、
龍太郎自ら現状視察を行ってくれた事に、感謝の意を表明してくれた。
“さすが、龍太郎だと”
ホテルに戻ってみると、麻耶はまだ戻っていなかった。
おそらく、麻耶にとって相当のショックを受けた事だろう。
部屋に戻って、より一層麻耶が恋しくなった。
すさんだ現状を見ると男は何故か、女性を傍に置きたくなる。
所詮男は、一生涯母親の乳房が恋しくなる。
すなわち女を抱きたくなる。無性に。
大きな仕事をした後とか、心に残る大きな傷を負った時に。確実に・・・。
ベッドに倒れるように横になり、麻耶のぬくもりを感じるために・・・
普段の龍太郎、とくに現役を退いてからは決して、その様な弱みは微塵たりとも見せなかった。
しかし、この地に来て大きな仕事をすると、今みたいに女が欲しくなる。
麻耶が恋しくなる。
おそらく、表ざたに出ないが、大きな仕事の後、多くの男は同じような気持ちに、なると確信する。
急に、母の乳房に寄り添いたくなる。それの代わりに若い女性を傍にいさせたがる。
ベッドでうとうとしていると、そこには待ちに待った麻耶が立っていた。
しかし、麻耶の目は泣きすぎて目が充血している。
相当泣き明かしたんだろう、アナスタシアと共に。
そんな、麻耶の気持ちを察してか、それとも龍太郎の男がそうさせるのか、麻耶を抱き寄せ優しくキスを何度も何度も、首筋やおでこ、頬、そして濡れた目頭に・・
麻耶もそれに答えるように龍太郎に積極的に愛撫を行う。まるで、何かに取り付かれた様に。
「麻耶、アナスタシアの様子は・・・」
「えぇ・・何とか!!」
「今君は僕の傍にいるが、彼女は?」
「優秀なカウンセラーを、ある人物から紹介してもらって、アナスタシアの傍にいて貰えるように、手配して来た所よ!」
「さすが、君は何でも完璧にこなすな!!」
「お褒めに預かり光栄ですわ!!」
「それより、龍太郎?」
「麻耶のこと・・・・でしょ?」
「そんな事は・・ある・・よ!」
そして、麻耶と龍太郎今夜は今まで異常に燃え上がった夜だった。
とにかく、女を・・熟女の様な振る舞いを、いつの間にか習得して、
龍太郎の精気を、完全に吸い取る勢いが、ありありと伺えた、夜だった。
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