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奇跡の巡り会い
作:浅見 希



21-強い、龍太郎!


龍太郎は一流ホテルのレストランに麻耶を連れて行った。
まずは、オーソドックスなロシア料理が良いと決めて、
ホテルのレストランを選択した。
龍太郎は、無難にコース料理を選択した。
始めに、ザクースカ (オードブル盛り合わせ)、
ボルシ(ロシアスープ)、
ピロシキ、
ガルショチク(海の幸クリーム煮つぼ焼き)と、基本はフランス料理に似て
順番に出て来る。
そして、シャシリーク(牛ヒレ串焼)、サラート(ドレッシングサラダ)
アイスクリーム、コーヒー又は紅茶と出て来る。
 龍太郎の感覚では少し味が濃い目なのと、質素な感じだ。
ロシア家庭料理の特徴はというと、先ほども述べた様に質素さだと思う。
ロシアには、昔から人々に親しまれている食べ物に、シチ(キャベツのスープ)と、
カーシャ(お粥)があるのだが、ついでに、それにまつわる、こんな諺を麻耶に話す。“シチのためなら人は結婚する”“シチとカーシャがあれば満ち足りた食事”
ロシア人の食生活が伺える気がする。
と、なんとなく龍太郎は先ほどの失言を挽回するように、ロシア人の諺や風習、
食生活を雄弁に喋った。
麻耶もその辺の事は当然知っているが、うんうんと頷く。
微かに大きな瞳に涙を浮かべて・・・
やはり・・・あの惨劇は忘れられるものではないだろう、そう簡単に・・・
 そんな和やかな時間ときに、龍太郎の携帯が鳴った。

「はい!」
「そうですか!!」
「わかりました、では後ほど!」
 麻耶はすぐにピンと来た。おそらく、昨日の拉致に関する情報だろう。
龍太郎は、あえて、普通に振舞っているが麻耶には嘘は通用しない事も・・・
 この雰囲気が急に寒々しく感じられて、麻耶の顔が強張るのが、龍太郎には、
悲しかった。
しかし、行動を共にする以上避けて通れない事実があることも。
龍太郎は麻耶の明るく振舞う様が痛々しく感じると共に、昨夜の暫らくぶりの
男を感じ、実感した感覚が・・・
その麻耶の女の部分が、愛おしさとも、切なさとも取れる表情に複雑な心境だ。
めったに見せない龍太郎の男が顔を出すと、その優しく接してくれた男、もうこの世にいない。 会ったことも無い、あの男に嫉妬に似た何かを感じてか・・・激しく腰を振っていた自分を・・・まだ自分にもこんなに男が・・・
龍太郎は己そのものを・・・、それ以上に強く、深く、押し付けた、・・・り、
そして、麻耶の若々しい肉体の、弾ける様な感触にさえも、何か競争心みたいなものを出していたのを思い浮かべる。
まさしく牝豹に襲いかかる若豹のごとく・・・、強く、逞しく、激しく、メヒョウを絶頂の極みに追い込み・・・・悲鳴に似た叫びを・・・恍惚感を・・感じさせた。
龍太郎自身こんなにも激しく、長く、強く、続くとは・・・・
“俺は・・・、まだ男だ・・と”新たに再認識した夜だった。
 
麻耶は本当に可愛い、こんなにバランスの取れたスタイル・・・
それに、実に良く似ている・・・・でも・・・それは無いと・・・
思い込むが、心のどこかに微かに・・・・一抹の不安が・・それを覆い隠すように激しい動きが、あの夜。
所で、北海道に調査を依頼した件がまだ・・・
麻耶も同じように、疑った事柄はけりがついて・・・・、
そうでは無いと言い切ったのだ。 はっきりと・・・・
そんな事を自問自答していると、その結果なのか日本からの電話が携帯に。
 
「はい、そうです!」
「そうですか?」「はい、では引き続きお願いします。」
麻耶も今度は日本からの発信とわかったので、龍太郎に聞いた。
 「どうしたのですか?」
「いやぁ、僕も君と同じ事を調べて・・・」
 「で、勿論、そうでは無いという返事でしょう!!」
「そうだな、違うと言っていた・・・!」
 「麻耶の気持ちは少し複雑ね・・・!!」
「出来れば、両方であっても??」
「両方って・・・??」
 「だから、本当のパパ・・・・!?」
「何を・・そうなら・・、決して・・・」
 「そうよね、昨夜の様な事は、禁・・」
「あー、よかった、違って!」
「勿論だろう・・・!! もちろん・・・」
一瞬ヒヤリ、とする。麻耶も龍太郎も・・・
しかし、今度は麻耶が昨夜の事を思い出したようで、何故か体をゆする素振りが、なまめかしい。
そして、龍太郎を見つめる眼が、異様に輝いていく。メヒョウが誘う眼になって、そう獲物を捕らえるように・・鋭く光輝く。
どうも、龍太郎は麻耶の女も開花させてしまったようだ。明らかに誘う眼だ、
男を・・・夜を・・・、
麻耶自身セックスの経験は無いわけでない。
それなりに・・・しかし、本当の性の素晴らしさを、開発されてしまったのか・・、龍太郎に。
少し龍太郎、今夜が怖いか・・・性に目覚めた牝豹に、どの様な・・・・
あの、目の前で死んでいった、青年ヴィクトル・ムラブレンコフのブルーに光り輝く瞳に虜にされてしまったのも事実だ。
あのまま誘われれば、どうなっていたのか、おそらく、そのまま誘いに乗って、
別の世界に・・、世界を彷徨っていたかも・・・
実際麻耶は、あの透き通る様なブルーの瞳に、ノックアウト寸前と言うか、ノックアウトされていたのだった。












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