19-麻耶、龍太郎は・・
部屋は一応二部屋用意してあったが、麻耶の気持ちを考えると・・・
と、言うよりも、崩れるように倒れ込む腰砕けの麻耶を、
抱きかかえる様にして部屋に運び入れるのが精一杯だった龍太郎。
あえて、ソファーに寄りかからせ、麻耶の肩を強く抑えて、
麻耶の震えを止めるのに必死な龍太郎。
小刻みに、時折大きく揺れる身体。
おそらく、今日あった事が蘇ってきているのだろう。
何せ、平和ボケの日本人それも、うら若き20歳そこそこの乙女の、
目の前で行われた、・・・事実。
発砲された拳銃により、今の今まで会話を交わしていた人間の、死。
身体から鮮血が飛び散り、おそらく、話が出来なくなってしまった。
少しずつ意識が薄れて、青年の命の灯火が弱くなり、痛みを訴えて、
叫び苦しみ、意識の薄れ行く様を、麻耶は・・・・その瞳で。
何も出来ずにただ呆然と見つめるだけ・・・そんな、残酷な・・
おそらく、麻耶も拘束されていたに違いない。
その状態で、何千キロも離れた地で、やっと、優しさに触れ、
麻耶の心を、疵かってくれた、ただ一人の青年。
その青年の死を見続ける、はがいなさ、むなしさ、
それも、どうやら、麻耶を庇って・・・そんな心優しい青年を死なせてしまった。
麻耶の正常な理性が蘇るたびに、麻耶自身を攻める気持ち、
小さな胸が張り裂けそうだろう。
いっそ、自分が身代わりに・・・彼に頼まなければ・・・こんな現実は・・?
もう少し、情報を得てからとか・・?
とにかく、自分のした事がこんな悲惨な結果に、
それに、彼らの話では・・・、身柄拘束の身代金は誰が・・・?
それはすぐに推測出来る。
しかしその額が、麻耶にとって、半端ない金額。
確か1億とか・・・その金額が相手に渡った事で、今の麻耶が生きている。
もう、頭が冴えてどうしようもない。
普通の同年齢の女性なら、ただ泣き崩れるだけで・・・
そこは、麻耶の頭脳明晰さが、悲しみを超越している。
そんな麻耶、普通の男なら可愛さに欠けて見えるだろう。
だが,さすが、百戦錬磨の龍太郎、懐の大きさが違うのが、肌で感じられる。
本当に逞しい男だ、そう、そう言う男だ!!
「麻耶、・・・!!」龍太郎、相変わらず身体を抱き寄せながら、その一言だけ
龍太郎の胸の中で「ぅ、・・・ぅ・・・!!」これが最高の会話なのだろ。
暫く・・・、ずっと・・・、永遠に・・・と想える程に・・・
“ねぇ・・!”
“抱いて・・、1つになって麻耶を安心させて!!”麻耶の心の叫びだ。
「!!!・・・!! !」言葉の代わりに、麻耶をベッドに優しく横たえてあげた。
汚れきった、血みどろの麻耶と、1つになる事。
それが、最大の理解者である証に・・と、麻耶・・・龍太郎は強く確信した。
麻耶は、全ての衣装を脱ぎ捨て、生まれたままの姿で龍太郎の前に自ら横たわった。
龍太郎は眼をそらさず、じっと見つめる。
やはり驚く、似ている、そっくり・・・そっくりだ。
“そっくり・・・だ!”
黒子の場所や、麻耶の一番敏感な場所が・・・・
もちろん、体全体のつくり、ぴんと張った円錐形のバランスの取れた胸、
きりっと締まったウエスト、すらりと伸びた脚、
太ももから膝、膝から足首までのラインが・・・
麻耶、閉じた瞼を少し開けてみる・・・締め付けられるような、胸の痛いような、大きなどきどき、龍太郎に見つめられる自分・・・それも全裸で・・・
何とか、してよ・・・私・・・ 恥ずかしい・・・龍太郎さん・・・
「そっくり・・・だ!」
「えっ、・・・!」「誰に・・・?」
「うん・・・!!」
「だれに・・・?」
「昔の人に・・・!」
「そう・・・なんだ・・・!」
「龍太郎は,その人を・・・愛した・・・んだ・・!」
「そうだな・・・、そして、昔・・・風の便りで・・・!」
「その人に・・・子供が・・出来たと・・!?」
「そうなんだ・・・!」
「おそらく、生きていれば・・・君ぐらいかな・・?」
「それれで・・もしかして・・・?」
「そう、その子が・・・君かも・・・って!!」
「それで・・・私のこと・・・躊躇っていたんだ!!」
「そう・・かもしれない、な!」
「それに、俺と君は親子ほどの・・・」
「麻耶は・・・そんな事・・・どうでも!」
「そう言う訳には・・!」
「麻耶は、本当にうれしいわ・・・!」
「どうして?」
「だって、恋人と・・、父がいっぺんに、出来たみたい!」
「本当・・よ!」
「・・・でも、そんな関係・・!!」「まずくないかい?」
「どうして!!」
「もしかすると、君は僕の・・・」
「それは、違うと思う!!」
「どうして・・??」
「だって、・・・麻耶の本当の父親は??」
「それを、確かめる為に・・・」
「そうだったのか・・!」
「そう・・・、危険を覚悟で!」
「それは、本当にすまない!」
「いいえ、私、本当の事が知りたくて・・!」
「で、結果は・・・」
「よく分からないって!!」
「もしかして、麻耶・・・!」
「俺を、疑ったか・・・?」
「そうね、少し・・・」
「・・・・!!・・」
「実は、俺も、今調べさせている!!」
「やっぱり、ね! 龍太郎は、麻耶が娘では・・・!!・・・と!」
「で、結果は!!」
「まだだ、調べに行ったやつが難航している。」
「そう、・・・でも、違うって・・!」
「祖母に聴いて、会いに行った、人は、違うって!!」
「そう、私の父は、どうも、ロシア人らいしと、言われたわ!!」
「決して、龍太郎ではないって??」
「そうか、それは・・・」
「それは・・・何・・・」
「近親相姦にはならない、と言う事になる。」
「だから、今度は、麻耶を本当に抱ける?」
「・・・!!・・」
「抱いても問題はないって事よね!!」
「そういう事になるかな・・・!」
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