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奇跡の巡り会い
作:浅見 希



15-麻耶、拉致!!



麻耶、強烈に会いたくて・・・、龍太郎に・・・、抱いて欲しくて・・・
今度こそ、きっと龍太郎も・・・・はやる気持ちを抑えて・・・
 しかし、麻耶ロシア語は堪能とは言え、まだ人生経験が浅い・・、それに・・・
帰りの交通手段がままならない。
目的の人物に会うために・・・夢中で向かった道程、
果たしてちゃんと帰れるか・・・自分の現在地が確認できれば、
・ ・・何とかなる。

近くの売店で、地図を何冊か購入した。
バースタイルのカフェで、真剣に地図を見ていると、
日本人の麻耶が珍しいのだろう。
それに、麻耶の可憐さ、スタイル、小顔、均整の取れた・・・、
モデル以上の洗練さ・・・成り立ち、風格全てが・・・、
普通の健康な男子なら間違いなく惚れる。
まるで、猛獣の折に放り込まれた小鹿だ。

当たり前のように、しきりと声をかけて来る地元の若い男が、後を絶たない。
 片言で、ある者は英語、またある者はドイツ語、
そして、ロシア語で、話しかける。
しかし、麻耶・・・殆ど全ての言葉で、
“大丈夫です”と正確な発音で答える。
英語や、ドイツ語などは、麻耶の方がしっかりしている。
そして、俺が、俺がと、ハントしようとするアブナイ輩は、
おずおずと引き下がってしまう。
 そのなかでも、はっきりとロシア語で対応する一人の、
比較的まじめそうな青年には会話が成立した。

 麻耶が、“何処に行きたいのか?” 
“ここは何処なのか?”
“どうしたら最善の方法でモスクワのホテルに帰れるのか?”
を、聞き出す事が出来た。
 一刻も早くモスクワに帰りたい麻耶、列車では当日中に目的地に着かない事と、列車では、何度も乗り換えが多く大変な事が判明した。
 麻耶の残された選択は、いける所まで列車で近付くか・・・、
それとも・・・車を飛ばして、夜通しモスクワへ向かうか・・
 すると、先ほどの優しそうな、会話を交わした青年が、
ホテルまで送ってくれる事を申し出た。
麻耶的には、かなり心が揺れる・・・かなりのイケ面でスタイルが良く、
吸い込まれそうなブルーの瞳。
27歳ぐらいのきりっとした、彫りの深い甘いと言うか芸術家風の風貌。
身長は180ぐらい、ヴィクトル・ムラブレンコフと名乗った。
 麻耶、もう一度彼の瞳をじっくりと見つめた。
彼なら・・・・・・大丈夫かな・・・ それとも・・

 ヴィクトル・ムラブレンコフの車は、決して新しい車ではない。
恐らく時流に上手く乗れなかったのだろう。
誠実だが不器用そう、そして、絵か彫刻をやっていそうな雰囲気だ。
麻耶は何故か多弁になる。不安がそうさせるのか・・・
 「私のためにわざわざ、有難う!」
「いいえ、丁度暇でしたから・・・!」
 「そうですか、本当に有難うございます!」
「あなた、このまま放って置くと心配です!」
「治安が心配です、それに・・・あなたみたいな・・素敵な方・・!」
 「・・・えっ・・・」
「いや、とにかく一人では心配ですから!!」
 「あり・・がとう・・!」
なぜか、ロシア語で愛の言葉を聴かされそうで・・・麻耶ドキドキだ。
“やっぱり、私の目に狂いはない・・・わ!!”
 
 「あの・・・ぉ! お仕事は・・!」
「僕ですか?」
 「はい、・・」

声の響きも何故か懐かしい・・・確かに、昔そんな優しい話し方、
誰かと誰かが・・・話していた・・・様な・・・そうだ・・・・

「私は、売れない画家です!」
「だから、生活の為、町で観光人相手に人物画を・・・・」
 「そう、・・・なんですか?」少し納得の麻耶
「しかし、それだけでは・・・無理なんで・・・父の残した・・・」
 「遺産・・・?」
「そうですかね・・」
「あっ、それと少し日本語喋れます・・・」
「例えば、“ソウヤ”“リシリ”“オトサン”かな・・・」
 「えっ、何処で、誰から・・・教えて・・?」
「わかりません!?」
 「そうですか・・・?」非常に興味が沸いて来る麻耶、身を乗り出す様に聞き入る。 
「ただ、昔、父が船に乗っていたようです!」
 「えっ、船に・・・」
 「じゃー、きっと北海道に・・・」
「よく分かりません、もう父が死んで5年になります。」
 「そうですか・・?」
「それは、大変でした・・ね!」

そんな会話を交わしながら道を進むと、人気のない交差点の前を、
一台の軍用車らしき車が道を塞いであって・・
突然、銃を持った男たちに取り囲まれてしまった。
 ドアを、開けるように指示され、麻耶も、ムラブレンコフも両手を挙げさせられ、車の外に出された。
外の気温は初夏でも寒い、麻耶からだの震えが止まらない・・・












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