14-麻耶の父親は!
龍太郎は、今までの様に悠々自適の生活が、まま成らなくなってしまった。
それは、ロシアとの交渉が急激に重要な状況に変化しているからだ。
現在開発中の人体認証システムの、ハイレベルでの交渉が急務になってしまったのだ。
急激に変貌する、ロシア経済。急激に財を成し、自分の身は自分で、
守らなければならない状況がひしひしと、感じる人間が増えてしまったのだ。
それは、個人だけでなく、政府関係者も同類だ。
治安は決して良いとはいえない。
経済成長が著しく発展しているが、中にはそれに乗り遅れたと言うべきか、
完全に今の政治に不満の分子がそれなりにいるのが現状だ。
石油経済の温床にあずかる者、温床からはじき出されたもの・・・、
完全に自分の身は自分で守らなければならない。
拳銃も思いのまま。 KGB崩れのスナイパーは、金で動く、
特に世渡りが下手な人間などは・・・
そこで、自宅の要塞化と、セキュリテーに重要度が高まる。
結果として、人体認証システムがひそかに注目を集めているからだ。
龍太郎に、現役でバリバリ交渉していた当時の、
政府関係者が、名指しで龍太郎を指名してきたのだ。
そして、そのアシスタントとして、麻耶を選んだ。
たまたま社内で、自分との、噂を立てれられ、窮地に立たされていたので、
一挙両得の考えもあった。
あの日の麻耶の同僚の上原は言葉が過ぎたのだ。
相手が悪かった。恐らく、龍太郎の事を知っていたら・・・、
あの様な暴言は決して、吐かなかった事だろう。
今彼は子会社に出向させられ、彼の人生は恐らく、終わったのと一緒だろう。
飼い殺しだ。
龍太郎も一日遅れで、ロシアに飛び立った。
少し前にも殆ど秘密にロシアの政府高官と、密談を交わしたばかりだったのだ。
そう、麻耶と急接近したすぐ後に。
麻耶のホテルも、その他の手配も済まして来たのだ。
しかし、当初麻耶は人選されていなかったのが現実だ。
あの噂さえなければ・・・
何故か、龍太郎は責任を感じるというべきか・・・・、
傍においておきたいと言うべきか・・・
どちらかと言うと、後者の方が大きい事かもしれない。
しかし、ロシアの生活は、危険が大きい。
その事もかなり心配である。
もう一つ心配な事は、麻耶の誘惑と、己の我慢に勝てるかが心配だ。
いったい、あの時、麻耶の裸体を見て、かなり驚いてしまった。
そっくりな証拠というべきか、印があまりにも似ていた事。
そして、あの娘の母親・・・、そして、父親は・・・まさかと思うが、
完全に否定できる証拠もない。
しかし、現在、北海道と、九州に信頼のおける調査員に、
調べさせているのが現状だ。
一日早くロシアのモスクワに到着した麻耶は、北海道の祖母に、
自分の父親の事をかなりしつこく聞いていた。
が、なかなか本当の事を教えてくれない・・何故だ・・
麻耶自身やはり、心配な事があった。それは、もしかして、龍太郎が・・・・
父親では?
何故かその事を、龍太郎も感じて、麻耶と1つになるのを・・・
しかし、親子なら・・・どうしてもそれはまずいのだろう・・・、
その事を祖母に確かめたくって・・かなり真剣に祖母を問いただした。
麻耶が微かな記憶では・・・背の高い白人が何度か母親の元を・・・
いまは、その白人が父親であってくれる事を大きく望む。
それなら・・龍太郎と・・・一つに・・そう抱いてもらえる。
その反面もし、龍太郎が本当の父親ならそれも・・・いいかも・・・・
しかし、それでは男女の関係には・・・なれない・・・それも・・・・つらい
結局、祖母は、「わからない」と、の答えしか返って来なかった。しかし、あるロシア人の名前を教えてくれた。「その人に聞け」と・・・
今、その人の住む場所に向かっている所だ。
麻耶は、今祖母から聞いた人物の前に立っている。
「私は、松本麻耶です!」
「あなたは、私の父親ですか?」
相手の男は暫く無言だ!暫くして、麻耶の迫力に負けたのか、ぼそぼそと訛りのある、ロシア語で「違う!」と答えた。
「では、私の父親は?」
「・・・・!!・・」
「大友龍太郎と言う、日本人ですか?」
「違う!!」と今度は力強く答えた。
「それでは、誰?」
「・・・・!!・・」無言だ
だが、日本人ではないとはっきり断言して、去って行ってしまった。
麻耶は、少しの不満と、それよりも少し大きな希望でモスクワのホテルに戻ってきた。
“そう、龍太郎とは親子ではないのだ!!”
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