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奇跡の巡り会い
作:浅見 希



13-麻耶ロシアへ



麻耶が出社して来ると、何やら周りが急に話を止め、挨拶をする麻耶から目線を外す。
普段から、周りの同僚、先輩たちに妬みの混じった目線が気になっていたが、今日はまた別の雰囲気だ。
明らかに原因は麻耶には分かっている。あいつだ。上原だ、あいつが・・・・
麻耶は、暫く自分のデスクのパソコンで、ネットを開いていいたが、何故かむなしくなり、悔しさがこみ上げて来ていた。あいつ、許せない・・・絶対・・・
 そう思うと、麻耶は上原のデスクに向かった。
しかし、上原はいなかった。さすがに、上原の所在を周りに聞くのをこらえた。
 
 暫くして、デスクの内線が鳴った。内線番号は見覚えの無い番号だった。
「はい、松本です!」
 「私、霧島・・・シュメルダ・カラヤン霧島です。」
「あっ、はい、先日は・・・」
 「あなたの携帯番号、教えてくださる?」
「はい、分かりました!」
「090-323X−XXXX です。」
 「ありがとう、では、後ほど・・・」
 
 2分ほどして、麻耶の携帯が鳴った。相手は意外と言うか、ある程度予想出来たと言うか、待ち焦がれていた人物だった。
「どう・・・! 元気ない声だね!」
 「いえ、そんな事は・・・」
「無理するな・・・」
「明日から、君は、ロシアに行ってもらう!」
 「えっ、ロシア・・ですか?」
「そうだ、ロシアで、ある人物と会って貰う。」
「わが社にとって、とても重要な人間だ。」
 「はい、お仕事なら!!」
「君にとって、今その方がいいだろう!」
「あらゆる面で、それに・・・君に・・・重要な・・・」
 「あっ、はい・・でも・・・」
「心配するな、すべて、上には話が通してある。」
 「分かりました、で、その、仕事の内容は・・・」
「当然の事だが、極秘扱いになる。」
 「極秘!・・・ですか??」
「そうだ、極秘だ!」
 「で、書類や、持ち物は?」
「明日、君はそのままの格好で、成田まで、行きなさい!」
 「はい、・・・でも・・」
「でも、何だ・・・?」
 「着替えとか・・」
「そんなものは、全て現地で揃えれば良いだろう?」
 「でも・・!?」
「心配無用だ、成田で受け取れ!」
「君用のカードが出来ている、ブラックだ!」
 「えっ、ブラックカード、ですか?」
「そうだ、好きなように使っていいよ!」
「暫く滞在するようになるから、車も現地で調達しておいた!」
「ホテルも、安全のため私が用意しておいた。」
 「えっ、本当ですか?」
「で、龍太郎さんは、来て下さるのですか?」
 「時間を、調整して、何度か行く事にする。」
「それと、上原何がしという社員は、もう別も子会社に転勤させたよ!」
 「えっ、そうなんですか・・・」
「それより、君 大丈夫か?」
 「大丈夫です、私、強いですから・・・」
「そうか、それは良かった・・」
 「でも、私、とても・・・!」
「待った、その話は社内ではダメだ・・!!」
 「はい、分かりました!!」

 麻耶は早速、社で契約しているハイヤーで、成田へ向かった。
車が成田に着いた所で、いかにも仕事の出来ると言った、きっちり英国仕立ての濃紺のスーツを着た一人の男性が近付いて来た。
 「松本麻耶様ですね?」自分の写真付きの身分証を見せながらそう言った。
「はい、そうですが?」
 その紳士は、麻耶を成田空港待合室の、VIPルームに案内した。
小会議の出来る個室へ。そして、麻耶を椅子に座らせて・・・、

 「大友龍太郎様よりお預かりしました!」
と、言ってスーツケース、ビトンのショルダーバッグを渡した。
「中身の、ご確認を!」
 「はい!・・・?」
麻耶は、バッグの中身を確認すると、その中身は、先ほど電話で話した内容の一式と、パスポートが揃えてあった。
何故、私のパスポートまで・・・・
 一体、大友龍太郎の真の姿は・・・麻耶にとって、謎が深まるばかりだ。
はじめ、麻耶は、麻耶と龍太郎の関係が、社内に知れ渡った事が原因かと思っていたが、そんな単純な事が原因でない事が、少しずつ理解できるようになって来た。
 麻耶がロシアへ飛ばなければならない原因は、そんな単純な事ではないことが、
はっきりと解った。
 一体龍太郎の本当の正体は・・・・、そして、私に対する想いなど・・・
私は何か重大な仕事を・・・私は利用されるのか・・・
様々憶測が麻耶の聡明な頭脳がフル回転している。
麻耶に、危険はないのだろうか・・・龍太郎の話の内容からすると、”危険“
”重大な“ ものすごく大きな事が自分の周りで・・・

そんな不安を胸に、麻耶は成田から飛び立った。
その姿をじっと見ている、一人の男がいた。












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