10-麻耶 の心
麻耶は、龍太郎の拒みに自分は嫌われているのかと思い悩む。
そんな時、同僚の上原からデートの誘いが・・・、
あれから、龍太郎のマンションは仕事の関係で週に1回ぐらいしか行けてない。
そして、いつも龍太郎は子ども扱いで、抱いてほしいのに、抱いてくれない状態が続き、フラストレーション気味の時に、ついふらふらと誘いに乗り、飲みに行ってしまった。
ある晩、仕事が一段落した時誘われた。
断る理由も無かったので、その晩、付き合った。
それ程好きでもない上原に、抱かれてしまった。惰性で・・・・、
「好きだよ、前からずっと!」
取って付けたように、美辞麗句を次から次へと麻耶に耳元でささやく。
ずっと狙っていた獲物を仕留めるように・・・・。
都心にある、シティホテルのダブルベッドの中で、麻耶の均整の取れたバストを触りながら・・・。
決して、女性を満足させられるような雰囲気はない。己さえ良ければいいといった感じで・・・
そんな、彼に麻耶は、セックスはしたが何故か物足りなさを感じながら・・・・、流れに任せるように、この場所に来てしまった事に、少し後悔の気持ちが・・・
決して不真面目でもなく、かなりいけている男性の一人だが、麻耶にとって、何か物足り無さを感じる。
やはり、麻耶が本当に好きなのは、龍太郎だとつくづく実感する。
「ねえ? どうしたんだい?」愛情の無さを痛切に感じながら、
「別に、・・・疲れてるのかな・・・?」心を悟られないように・・・
「誰か、好きな人いるの?」
「そんな人・・・いないわ・・・!!」
しかし、上原もさすがに、そんな素振りを見抜いて、付き合っている男の事を追及され、白状する。
「年上の人だろ?」
「・・・」無言が、現実を物語る。
「そうか、あの人か」
「最上の階にいる・・・」
「・・・いいえ、違うわ!!」
「俺、前に見た事あるやつだろう?」
「・・・・!!」
「やっぱり、なっ・・・!」
「君は、騙されている!」
「そんな事は無いわ!!」
「あんな親父、何処が良いんだ?」
「麻耶の親父と同じ位の年齢だろ?」
「べつに、年齢なんて・・・」「関係ないわ!!」ついに、言ってしまった。
「あんな親父、どうするんだ、」
「結婚なんて・・・出来ないだろう・・・」
「いいの、あなたなんかよりよっぽど素晴らしい人だわ!」
すると、むきになって、大友は危ない人間だと言う。
「仕事なんかしないで、偉そうに・・・」
「きっと、あいつ、危ない人間だよ・・・」少し興奮気味に・・・
それに対し麻耶は、
「彼は、そんな人ではないわ!」かなり大きな声で、大友龍太郎の事を、そんな人間でないと強く言う。
そして、服を着て逃げるようにホテルを出て行った。
目にいっぱい涙をためて・・・
道すがら、とめどなく流れる涙を拭きもせず、走り去るようにシティホテルを後にした。タクシーを止め、彼のマンションへ向かった。
マンションを、人体認証システムで中に入り。エレベーターで、彼のいる階に急いだ。
ドアを開けて、飛びかかる様に、龍太郎の胸に飛び込んだ。
彼は優しく、抱きかかえて、
「どうしたんだ?」
「そんな、悲しい顔をして・・・!」
「・・・!!・・・」彼に対する罪悪感がどんな言葉を選んでも言葉に出来ない。
ただ、彼の大きな胸に抱きつくだけがせーいっぱい。
「何か、辛いことがあったんだね!」
「何も、言わなくていいよ!」
「じっとしていて良いよ!」
「気の済むまで・・・!」
その優しい言葉で、余計に大粒の涙があふれて来てしまった。
なんて、優しい人なのだろう。
先ほどの自分の行いを恥じるばかりで、言葉が出ない・・・
“やっぱ、わたし、彼しかいない”と心に思う。
そして、彼の体を、ふさふさの真っ赤な絨毯に押し倒した。
龍太郎は少し驚きながらも、麻耶の体をいたわるように、麻耶の体を受け止めてくれた。
そのまま、麻耶は龍太郎の首筋や唇、耳たぶに、溢れるくらいのキスを浴びせた。
龍太郎は、黙って麻耶の反応を受け止めてくれた。
「うん・・うん・・」
そう言いながら、麻耶の少し長めの髪を撫で続けてくれた。龍太郎は、倒れたまま麻耶の重みを受け止めてくれ、体全体をやさしく包んでくれた。
そして、初めて、龍太郎から麻耶の唇に自分の唇を押し当ててくれた。包み込むような、やさしい、やさしい口付けだった。それから少しずつ麻耶の口腔内に舌を差し込んでは、いたわるようなやさしい唇への愛撫が続いた。
気がつくと、麻耶は、麻耶が使っているベッドに運ばれていた。そして、龍太郎は、近くの、ロマネスク風の椅子に腰掛心配そうに麻耶を見つめてくれていた。
麻耶は、薄目を開けてその龍太郎の様子を観察するような格好になってしまった。
どうして、麻耶を抱こうとしないのだろう?いつでも抱けるのに・・・
麻耶の事、嫌いなのだろうか・・・
それとも何か、抱いてはいけない理由でも・・・・
そんな事を考えながらいつの間にかまた深い眠りに陥ってしまった。
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