私が居た気がした。
一人ぼっちで、悲しげな顔を涙で冷たく濡らして、ただそこに居た気がした。
何もせずに立ち尽くす私は悲哀の色で染められていた。その色は温かみを纏っていない。
辺りの暗闇にも混じることが出来ずに虚無に縛られる私は孤独に身を包まれていた。
私は何がしたいのだろう。暗闇にならすぐに混じれるのに。
一人が嫌ならそのまま暗闇に呑まれればいいのに、楽なのに。
私は暗闇と一つになるより一人でいる方がいいと思っているのだろうか。
私の暗澹たる瞳は先を見据えてはいない。ただ暗闇を拒絶していた。
うっすらと見えた光のせいかもしれない。
しかし暗闇は誘っていた。私を。
それでも私は拒んだのだ暗闇を、死を。
私は眼を良く凝らした。相変わらず暗闇は私を死へと導こうとしていたが、そんなことはどうでもいい。
私は、はっきりと見えた光、生へと歩を進める。それが自分が作った光だと理解するのに時間は要らなかった。
振り返った先で暗闇が魅力的な手招きをしていた。確かに私はそれに心から惹かれた。だが私はそれをしっかりと忘れることのないよう瞳に焼きつけ、生へと続く道を選んだ。
それよりも魅力的なモノが私を待っていると分かったからだ。
私ができるのは暗闇を消すことではなく光を【ツクル】ことだったのだ。
―――――
―――
―
私は手首に押し付けていた剃刀を投げ捨てた。
|