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『Offline2/2』






 このオフ会は、ブラックローズに一緒に戦い続けてくれたお礼を言いたいという思いと、ただ彼女に会いたいという思いが理由で参加しようと思った。


 リアルの、彼女に・・・・・。


 と、速水さんとの話が途切れた時に違う世界に飛びそうになっていた僕の手が、配られたコーラの入ったコップに触れた。
「あっ・・・・・わあああっ!!」
 コップは倒れ、割れる素材ではなかったから良かったものの三分の一しか入っていなかった中身が零れてしまった。
 慌てて転がって行くコップを取り、拭く物を借りて床に落ちる前に全て拭き取る。
「何やってんのよ、相変わらずね」と、速水さんも手伝ってくれる。
「ご、ごめん。ありがとう」
 僕は失敗して恥ずかしくて、真っ赤になってしまった。
 でも速水さんは全然気にしていないようだった。
 慣れてるんだろうな、聞いたところ文和君以外にも小さい弟さんがいるって話だし。
 一番上って、そんなものなんだろうか。
 Δ隠されし禁断の聖域で彼女の本音を聞いた時は、掛ける言葉が無くて黙ってしまった。
『お姉ちゃんは我慢しなきゃダメ?お姉ちゃんはいつも元気でいなきゃダメ?アタシだって・・・・・・アタシだってねえ・・・・・・』
 ブラックローズ・・・・・・・。
 隣で拭き終えた彼女が雑巾を片付けに行くのを見詰めながら、目的のお礼を告げることも出来ずにその日は去っていた・・・・・・・。





 そのお礼が言えたのは、半年後の事。
 腕輪が消え、高校受験が迫ってきている僕と大学受験の勉強がある速水さんがする、最後のザ・ワールドでの冒険の日。
 僕は思い切って、言った。


『ザ・ワールドで会うのは今日で最後だけど』


『これからは、リアルでよろしくね』


 彼女の返事は、


『う、うん。こちらこそ、よろしく』
 その表情には、照れ笑いが含まれていた。




 リアルで会うのは二回目。
 僕達はあの日の約束通り、学校の無い休日に勉強会と称して会おうと約束した。
 待ち合わせたのは、彼女の家と僕の家のある場所のちょうど中間あたりにあるファミレス。
「晶良さん、ここに使う公式ってこれで合ってる?」
 一心不乱に回答していた数学の問題集を、彼女の前に差し出した。
 彼女も今勉強中だったが、僕の声に反応してすぐに顔を上げて問題集を覗き込んでくる。

「ん?どこどこ?・・・・・・お、大丈夫合ってる。そのまま当て嵌めて計算したら答え出るよ」
「ありがとう」
 再び計算式を書き出した僕は、視線を感じてすぐに手を止めた。
「・・・・・・何?何か付いてる?」
 ベタな問い掛けに、晶良さんは顔をさっと赤らめて何でもない、と返事をした。
 それが何だか可愛く思えて、笑ってしまう。
 そっとペンを持つ手に触れた。
「ね、晶良さん」
「な、ななな何っ!?」
 目に見えて動揺した晶良さんは、ぽろりとペンをノートの上に落とした。
「好きだよ」
「・・・・・・・・え」
「好きだよ、晶良さん。・・・・・あの、・・・・前、ザ・ワールドで“リアルでよろしくね”って僕、言ったけど・・・・・それは――――その、相棒とか、そういう意味のじゃなくて・・・・」
 僕は晶良さんの手を握ったまま、緊張しているせいか上手く言葉が言えなくなって俯いた。
 ずっと言おうと思ってた・・・・・・。
 なのに、言う内容も言葉も考えていたのに出てこないのがもどかしい。
 一つ、深呼吸をした。
「・・・・・・ううん、そういう意味で言ったつもりだったけど。でも、もし・・・・晶良さんが・・・・・・えっと、それは晶良さんの気持ち次第だけど・・・・・その、良ければ、僕の恋人として、傍に居て欲しい。・・・・・駄目、かな」
 精一杯言い切って、僕は晶良さんの顔を見た。
 オフ会の日に見た時よりも数㎝伸びた髪で顔が隠れていて、彼女は今どのような表情をしているのか分からない。
 今までのリアクションからして、脈ありかなって思っていたけれど・・・・・こう、ずっと俯かれていると不安になってくる。
 僕の事、やっぱり相棒以上には思えてなかったのかも・・・・・・・。
 ならば今の告白は間抜け過ぎる。
「あ・・・・・・と、ごめん!!さっきの忘れて!!急に言われても困っちゃうよね。ごめんね、晶良さん。忘れてくれていいから。さ、勉強続きしよう」
 どうにか取り繕うとする僕に対して、晶良さんはまだ黙ったまま。
 居辛いし、注文していたドリンクバーでクラムチャウダーでも貰ってこようかな、などと席を立った僕の服を晶良さんが掴んできた。
「な、何?」
「アタシも、アンタと同じ・・・・・・だから、忘れてなんて言わないでよね」
「え?」
 上目遣いで見詰めてくる晶良さんの目には、涙が浮かんでいる。
 強がりな彼女が素直に泣いたのは僕の前ではこれで二回目。
 いや、それよりも気になるのは先程の返事。
「え・・・・・本当に?」
 小さいが、ハッキリと頷きが返ってくる。
「良かった・・・・・・良かった。僕、フラれるかと思って・・・・・」
 今にもスキップし始めそうな僕を見て、晶良さんは苦笑した。
 居ても立っても居られないので、とにかくドリンクバーを取りに行って、飲んで落ち着こう。
 僕はいつもの自分からは想像出来ないほどのハイテンションのまま、晶良さんの振り向いた。
「晶良さんも何か飲む?僕クラムチャウダー取ってくるつもりなんだけど」
「他にスープ何があったっけ?」
「コーンスープ、クラムチャウダーとあとオニオンスープかな?どうする?」
「じゃあ、同じヤツで」
「分かった。取ってくるよ」
 予想外な脱線で集中が切れてしまった勉強を再開しようとした晶良さんに、僕は再び声を掛ける。
「晶良さーん」
「何よ?」
「受験までは、どうしても勉強会になっちゃうけど・・・・・・それが終わったら」




「ちゃんと、デートしよう」
 僕は照れ隠しに足早に走り去った。







「アンタさ・・・・・・この勉強会、デートにカウントされないんだ・・・・・」
 ま、集中して出来てるし、捗ってるからいいんだけどね・・・・・・。
 晶良は嬉しさに満面の笑みを浮かべながら、やや呆れ気味に言った。



PS2持っていなかったので.hackの第一作目をここ一年間くらいでプレイしています。

ストーリーは小説や設定資料、攻略本で熟知しています!!

謎が深くて、.hackは本当に好きです。
カイトとブラックローズが好き過ぎる。最近のにも若干彼等出てるけど、欲求不満なんだよなー。

この二人は絶対に結ばれて欲しい!!
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