バットマン「狗神 杉川村編」(5/29)PDFで表示縦書き表示RDF


優の過去に触れた真弓の目的とは?
バットマン「狗神 杉川村編」
作:オリオン



バットマン4ー2



 学校から帰った優は、アパートの鍵が開いている事を不審に思った。


 いつもなら、母親は仕事に行って居ない筈だ。
 

「ただいま〜」

 玄関を開けると、煙草の匂いでムッとした。男物の派手な革靴が、優を不安にさせた。

「おかえりー」

 母親が、脳天気な声で答える。

 既に、かなり酔っているようだった。


 居間には、母親の他に男の人がいた。

 浅黒い色の、少し年配の人だった。

 薄手のシャツをはだけている彼は、体に直接絵柄がプリントされているのが見えた。

 彼は、優を見ながらニヤニヤしていた。

 いやらしい視線が突き刺さる。


「嫌だな〜」


 優は、心の中で呟いた。


「優、ここへおいで」


 母親の手招きに、優は素直に応じた。 

「優ちゃん、お母さんね、凄く困ってるの…。 実はね、麻雀の借金が溜まっちゃって払えなくなったのよ…
 それを、この但馬さんが肩代わりしてくれたの…」

 優には、母親が何故こんな話をするのかが理解できなかった。だが、声のトーンから、不安の匂いを感じとっていた。

「それでね、但馬さんが、お前の事を前に見た事があって、気に入ったんだって…」

 話の方向が見えて来た優は、ハッキリ拒否した。

「やだよ! 借金の代わりなんて!
 お母さん、いったい幾ら借りてたの!」

「300万」

「300万!
 麻雀で!
 バッカじゃないの!」



「うるさい!
 お前のロクデナシの父親にあたしは不幸にされたんだ!
 それくらいの金はお前が返せ!」



 酔った勢いもあったのだろう。母親は、怒鳴り散らした。

 優は、元から大人しい子だったので、すっかり脅えてしまった。



「おじさんは優ちゃんを虐めるつもりは無いんだよ。ただ、目を瞑って大人しくしていれば、済む話だよ」



 今まで黙っていた但馬は、優に猫なで声で迫った。


「いや〜! 近づかないで!」


 但馬を押しのけようとする優に、母親の言葉が突き刺さる。



「これからお父さんになる人なんだから、言う事を聞きなさい!」



 母親の言葉に、優は唖然とした。

 その隙に、但馬は優を畳の上に押さえつけた。


「やだ〜、お母さん助けて!」


 娘の悲痛な叫びに、母親は答えた。



「近所迷惑でしょ! 静かにしなさい!」



 その台詞と共に、優の口へ布巾を押し込んだ。

 但馬に抑えつけられ、口も塞がれた優は、涙を流す以外なかった。



「血の繋がらない優ちゃんが新しいお父さんと仲良くするには、こうするしか無いのよ」



 母親は、自分勝手な言い訳をしながら、但馬の命令で実の娘の両手を抑えていた。

 彼女は、自分のために、優を但馬に売ったのだ。

 但馬は、優の衣服を手馴れたようすで脱がせた。
 
 優は、但馬が満足するまで目を瞑って耐えた。
 

 何も考えたくない…。



 何も感じない…。




 ただ、苦痛だけが続いた。


 透けるような、薄くて白い柔軟な皮膚が、膨らんでは萎む。

 その動きは、ツンとした二つの隆起の下で起きていた。

 匂いたつような若い肌は、赤味を帯びている。

 優が目を覚ました時、窓からは夕陽が射していた。


“あの男”と母親は、気絶した優を残して何処かへ行ったらしい。


 裸のまま放置された優は、怒りを通り越して悲しくなった。


「この場所に、私の居場所はない」


 そう考えるのは、当然の結果だった。

 優は、シャワーを浴びた。

 体中が、あの男の体液でベトベトな気がしていた。

 熱いお湯をかけて擦っても、汚れが取れる気がしなかった。

 どうしても涙が止まらずに、頭からお湯をかけて泣いた。

 シャワーを浴び終わると、手早く着替え、身の回りの物をバッグに詰め込んで家を出た。


“もう、この家には帰らない!”


 そう決めていた。


 夕暮れ時、よく買い物に来ていた商店街を抜けて、駅へ向かう。



“顔見知りに会いたくない”



 そう思った。

 下を向き、足早に歩いている自分に気が付いて



“もう帰る場所が無いんだ”
 


 と思うと、また泣けて来た。




 上京した優は、男に声をかけられた。

 優しい笑顔の彼は、スーツ姿が似合うホストだった。

 衣食住を与えられ、優しく愛された家出娘の恩返しは一つだけ…。

 風俗で稼ぐ事。

 強制はされなかったが、優は恩返しがしたかった。















ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう